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ソーシャルメディアの環境が、人の価値観をインスタントにする

Takashi Ohmoto

2012年02月23日 00:03

FacebookやTwitterで毎日のように「共感しました」という言葉を目にする。私たちはいつから、こんなに手軽に「共感する」ようになったのだろうか?

2012年はインスタント社会が訪れると題した記事を今年冒頭に書いた。急速に普及するスマートデバイスと、ソーシャルメディアがもたらす情報洪水によって、あらゆる情報を短時間で消費することになれた、消費者の感性や価値観は「インスタント」な物を好むようになる、とした記事だ。

そういった消費者の価値観の変革にいち早く気づくことが出来れば、ビジネスチャンスを掴むことが可能だろう。スマートデバイス、クラウド、ソーシャルメディアの時代に重視される価値観は以下に示す「Simple Thinking」だと考えている。



この記事を書いた意図は、二つある。一つは前述した通り、読者がインスタント社会が訪れる前提で考えた時の商機を掴む気づきが得られること。二つ目は、「インスタント社会の危険性」を示唆したかった。
 ■インスタント社会の落とし穴
 Simpleという英語の意味には「騙され易い」という意味も含まれる。ソーシャルメディア上の無料コンテンツで人は「情報欲」を満たすが、それらの情報が「事実」であるかを確認する術は乏しく、自分の見たい物を「真実」だと考えるようになる。知らず知らずのうちに騙されてしまうかもしれない。

 単純にタイムラインに流れてきた物を「読む」だけでなく、情報のソース、発言の意図などを踏まえて総合的に理解する「批判的読解力」を意識して身につける必要があるだろう。

 有識者と自分が判断した人物からの発言に「イイね」をしたり、簡単なコメントを添えるだけで、それを「理解」したと錯覚する。「情報」を得ただけなのにインスタントに「知恵」が付いたと錯覚してしまうのだ。インプットだけでなく、アウトプットをする習慣をつけることで、こういった錯覚に陥らずに済むだろう。
 引用:http://enterprisezine.jp/article/detail/3708?p=4
 スマートデバイスとソーシャルメディアは私達の生活を豊かにしてくれている。通信費さえ支払えば無料で幾らでも楽しめるコンテンツが至る所に溢れている。多くの出会いをもたらしてくれた。しかし、その一方で、共感という本来はそうそう起こりえることの無い感情を希薄なものにしてしまっているのではないだろうか。多くなりすぎた繋がりが、本当に大切な人は誰なんだろう?とふと胸に手を充てて考えてしまう時がある。

 見過ごされがちなこういった心の変化は、「共感」を通して生まれる仲間意識の希薄化や、特定の誰かに嫌われたとしても、繋がりはもっと他にもあると考え、一度崩れた関係を修復する努力を怠る人間を量産する可能性があるのでは無いだろうか。絆の数に半比例して人との関係が希薄(インスタント)なものになっているのでは無いだろうか、共感の数に反比例して「無感動」に近づいて行くのでは無いだろうかと感じる。

 ソーシャルメディア上で毎日のように目にする「生き方論」にも危険を感じる。一生を左右するような決断を「インスタント」に決定しようとする。他者の生き方を「インスタント」にこれがいいよと、勧めあう。ソーシャルメディアでは天才的な人の日常を垣間見ることが出来る。それらの天才の生き方を見て、自分も「手軽」に真似出来ると思い込んでしまう力があるのかもしれない。

 何故か日本人にはマスメディアには「バイアスがかかっている」という思い込みがあり「情報を鵜呑みにしない」という耐性がついているのだが、ソーシャルメディアは良く語られる性善説のせいか、あるいは自分でチャネルを選択しているという意識がそうさせるのか「私の見ている情報は正しい」と感じさせる魔法が備わっているようなのだ。そして人は次第に思考を他社に依存し、「思考を放棄する」。

 ソーシャルメディアは確かに素晴らしいツールだ。だからこそ人は夢中になる。良薬も取りすぎれば身体を壊す。スマートデバイスとソーシャルメディアはこれからも人々の生活に浸透していくのは明らかだ。これらのテクノロジーが創り出すインスタント社会と、そこで生きる人々の意識の変化、価値観の変化を真剣に考える時期なのでは無いだろうか。

 そして、週に一日位はソーシャルメディアやスマートデバイスから開放され、身近な人と過ごす時を強制的に作った方が良いのかもしれない。映画や、音楽、友人との会話から「本当に心ゆさぶられる体感」を創り出す努力が必要なのかもしれない。そんなことを最近良く考えるようになった。自分が人らしくあるために。

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