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中二病の誤読誌 - republic1963

chikumaonline

2012年02月22日 22:36

中二病が今、アツい。

詳しくはこちらを参考にしてほしいが、Zeebra v.s. 伊集院光のビーフ(牛肉?)が勃発したとのことで、あらゆるメディアで「中二病」花盛りである。だが、正直、これら取り上げるメディアが本当に中二病について理解して話題にしているか?といわれるとはなはだ疑問だ。そもそも、Zeebra対伊集院の批判合戦とか、どっちが悪いとかそういう問題なのだろうか。今回は、この騒動を通して、改めて「中二病とは何なのか?」という事について考えてみたい。

そもそも事の発端は、(恐らく捨てアカウントと思われる)twitterアカウントから中二病呼ばわりされた事に対して、Zeebraが反応した事から始まる。で、中二病という概念を発見したのが伊集院光だということで、伊集院への批判→周りが諌める→本人が登場という流れとなる。

そもそも、中二病とはなんだろうか。その最も基本的な定義とは
中学2年生程度の屁理屈で社会を否定し、結果何の行動も起こさなくなる「病」※1


ようするに「中二ぐらいの時分にありがちな「イタい」行動」ということだが、これだと少しわかりづらいので、具体的な「症例」を3つに分類する。

1:自意識系
社会や大人の価値観に迎合することを拒否する事。 例:「サラリーマンにはなりたくねぇなぁ」、「大人は汚い 」等の発言
2:センス競争系
「他人とは一味違った(が、比較的ありふれている)」センスを自慢する事 例:洋楽を聴き始める、ハリウッドの超大作映画を否定してミニシアター系映画を観る 等
3:邪気眼系
ゲームや漫画の影響で「自分には秘められた力(=邪気眼)をもっている」などと妄想し、かつそれを「リアル」で実践してしまう言動。 例:怪我もしてないのに包帯、自分が考えた珍設定 等

さらに、こうした「中二病の「症状」があり、それが「イタい」」事を前提として作られた「メタ中二病」もあり、話はややこしいのだが、今回はそれは置いておく。基本的に最初期(伊集院が話題にしていたぐらいの頃)の中二病理解とは、これら3つの概念がいっしょくたに「中学校時代ぐらいのあるあるネタ」として「中二病」扱いされていた。そして、Zeebraにコメントしていた人達がいう通り、この時点では、一種の自虐ネタ、つまりネタ投稿者自身が「患者」であった。だが、こうした当初の解釈通り、中二病という言葉が使われる事は現在では少ない。現在では中二病の3つの症例のうちの「邪気眼」の意味として使われる事が圧倒的に多いのだ。例えば、「中二病マンガ」としてよく例として挙げられる『BLEACH』などはより正確を期すなら「邪気眼マンガ」と呼ぶべきはずだ(黒崎一護は別に大人を否定したり、ミニシアター映画を観に行ったりしてない)。だが、「中二病マンガ」と言って普通に通用している。もう一方で、中二病に加わった新しい使い方として、単に「イタい人」「行動が幼い人」を指す罵倒語としても使われている。これは、ネットスラングにおける「厨房」とほぼ同じ用法として使われているのだ。中二病は、「厨二病」と表記される事もあり、両者の関係の近さが伺える。だが、これはいままでの中二病にはなかった新しい意味である。さらに、この「中(厨)二病」の用法において、仕様者とそれが指し示す人(患者)が分離された。つまり、どこかにいる「イタい人」を指して「中(厨)二病」と認定してバカする、という今のネットにおいて一般的な用法が確立したのだ。

翻って、今回の騒動についてもう一度振り返ってみよう。
最初にZeebraに対して向けられた「中二病」という攻撃。これは、恐らく「中(厨)二病」という意味で使われていると思われる※2。簡単に言えば「Zeebraはイタい」ぐらいの意味で使われているのだ。これまで見てきた通り、この「中(厨)二病」の用法は伊集院光の手から離れたところで作られた(合成された?)意味であり、その意味で伊集院光に責任をとれ、というのは一見無理矢理なように思える。
だが、話はこれで終わらない。Zeebraが中二病という概念に対して怒っているのは、単に「イタい人」呼ばわりされたから、というわけではない。再三Zeebraがツイートで表明している通り、中二病という概念に「他人の揚げ足を取ってなんか言った気になる」「なんもしてないのに努力を否定する」、という嫌味というか、冷笑的な部分を感じ取って批判しているのではないか。だとすると、これは単なるZeebraの勘違い乙、上手く和解できてよかったね、という話にはならないのではないか。なぜなら、確かにこうした冷笑的な部分が中二病概念には存在していた、というか、リスナーの末席に座っている人間から言わせると、こうした「毒」の部分が伊集院光のラジオの面白さの根幹だったのではないか。こうなると、どちらが正しいという問題ではなく、各人で「どちらにつくか」を決めるしかない問題になる。だとすると、「和解不可能」として対話を打ち切った伊集院の態度は全く正しかった、という事になる。

ここまで原稿を書いて、ある種の感慨に浸っている。
そもそもクラスのはじっこの方でクラスの人間に対する皮肉を脳内に再生させ続けていた人間が月曜深夜に集まるオアシス、それが伊集院のラジオだったはずだ。それが我々のオアシスとして機能していたのは、あくまでそれが「否定される理屈」だったからではなかったのだろうか。中二病だって、幼稚な理屈で社会を否定していた過去の我々にむけた、今の我々からの投稿ハガキだったはずなのだ。社会から否定され、本音をひた隠しにしながら狭いサブカルの、さらにはじっこにいるのが我々だったはずだ。
でも、今、気がつけば、伊集院的な皮肉と冷笑はインターネットの中に満ち満ちている。それなのに、なぜか全く気分は晴れない。否定されるはずの理屈だけがもてはやされ、本来は正論だったはずの理屈はつまらない理由で揚げ足をとられる。こんな事を我々は望んでいたのだろうか。意味を書き変えられつづける「中二病」の姿は、漂流する我々の姿その者なのかもしれない。

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※1 ここでは、比喩的に「病」と称しているだけで、本当に病気なわけではない。
※2 もっとも、発端となったツイートに関しては何をもって批判しているのかさっぱりわからないが

参考:http://bunfree.hatenablog.com/entry/2012/02/21/151559

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