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記事 日本経済

55年体制の終焉〜 日本の新しい幕開けへ

中田宏

2012年02月21日 19:30

昨年から今年にかけて私は、「今、日本は転換期の渦中にある。小手先の改革ではなく、抜本的な改革が必要だ」といった主旨のオピニオンを本欄で述べています。国内外に山積するさまざまな課題を目の当たりにすると、本当にそう思わずにはいられません。

先に発表された家電大手各社の今年度決算は、まさにその一端を物語っています。2012年3月期において、パナソニックは約7800億円、ソニーは約2200億円、シャープは約2900億円の赤字を計上する見込みだと発表されました。パナソニックの赤字額は2009年3月期に日立製作所が計上した7873億円に匹敵する業界最大規模の損失であり、シャープも創業以来最悪の赤字だそうです。

今まで長い間、日本経済は自動車や家電などの「モノづくり」を柱に繁栄してきましたが、もはや従来型の産業構造では世界の競争に太刀打ちできないということを突きつけられたと理解すべきと思います。

これらの現象は、政治で言うならば「55年体制」の終焉を象徴しているのではないかと思います。要は、55年体制がつくってきた日本の構造の限界ということです。

戦後の荒廃から立ち直るため、日本は輸出型製造業、いわば加工貿易を主として産業育成に力を入れてきました。人材育成、税制など、国の舵取りはそのためのものだったと言えます。例えば、教育であれば「個性的・創造的」であるよりも「規律遵守・没個性的・忍耐力」などを重視し、税制ならば「消費」よりも「倹約・貯蓄」を奨励するものでした。欧米諸国に比べて極端な累進課税制は少数の突出した才能よりも平均的な能力に価値をおくという現れでもありましたし、累進雇用制は労働者の流動化を抑える働きがありました。また、金融機関の護送船団方式は自動車や家電など莫大な設備投資が必要な重厚長大型産業を育成する上でも必要不可欠なものでした。

もともと日本人は勤勉で器用であるところにもってきて、〝欧米に追いつき、追い越せ〟という国家的な目標を国民が共有し、邁進したのですから、国家ぐるみの方策が成功しないわけがありません。1960年代には早くも世界第2位の経済大国にのしあがりました。

しかし、いつまでも日本のモノづくりの優位性が保てるはずがありません。世界最高水準の賃金、先進国で最高クラスの法人税、高い電気料金など、日本の製造業を取り巻く環境は国際競争力を削ぐものだらけで、加えて技術力の優位性や付加価値づくりにおいても韓国などの新興勢力に猛追されています。

ここで私たちに必要なことは、まず、各国情勢や情報通信技術など日本が置かれている環境があらゆる面で劇的に変わっているという認識をはっきり持つことだと思います。今までのやり方に固執するのではなく、むしろ率先して今までの枠組みを変えていくというくらいの気概が必要です。TPPはそういった意味でも「変えていくため」の千載一遇の契機でもあるのです。

アメリカの『ウォールストリート・ジャーナル』誌は、〝TPPにおける最大の勝者は日本になるだろう〟と論評しています。どのような根拠をもとにその記事が報道されたのかはわかりませんが、日本の潜在力を、当の日本人よりも世界の方が認めているということの証でもあるでしょう。長い歴史において自然と共存してきた日本人の感性や知恵、勤勉さをもって創意工夫を重ねれば、農業はお家芸になるかもしれませんし、また、日本人の器用さやホスピタリティを発揮すれば医療の分野でもじゅうぶんに国際競争力をもちえると思います。

2009年、最大規模の赤字に転落した日立製作所は、事業を大胆に転換し、今年3月期は4000億円の営業利益を見込んでいるといいます。農業や医療も、世界水準の競争力を持つに至ると私は確信できます。

本気になれば,日本人はとてつもない底力を発揮する。経済は言うに及ばず、政治においても……。

私はそう信じ、日々東奔西走しています。

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前横浜市長。地方首長・議員を中心とした日本創新党を結党

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