意見をつなぐ、日本が変わる。

マスコミの罪と中央の政治家達の罪

秋原葉月

2012年02月20日 17:00

そういえば前のエントリーではうっかりして結論を明記するのを忘れてましたのでこちらに書いておきましょう(^^;

結論:橋下市長はこの思想調査を「凍結」でなく撤回、謝罪し、上脇先生のご指摘通り、職員の前でデータを破棄すべきです。

凍結は野村氏が決めたこと、とは言わないでください。決定は「全責任と全権限」がある橋下氏がすべきです。
これだけ明白な憲法違反という「職務上の義務違反」をやらかしたのだから、謝罪だけでは足りません。引責辞任ものです。
職員を命令義務違反で簡単にクビにする条例を設けるつもりなら、憲法遵守という命令義務違反をおかした自分を真っ先にクビにしてお手本を示すべきじゃないのですか?

引き続き思想調査に対して抗議の声があがっていますのでメモ。

●全日本年金者組合京都府本部
http://bit.ly/zRaQoK  
●京都革新懇
http://bit.ly/xN2gTI
●自由人権協会意見書
http://bit.ly/xxeogB

これからまだ抗議声明は出てくるのではないでしょうか。
これが民主主義国家でどれほどの異常事態か、世間ではあまり認識されていないようです。そりゃそうでしょう、本当なら新聞の一面をでかでかと飾るくらいの大事件なのに、マスコミはほとんど黙殺してるのですから。

橋下氏が真正面から憲法違反をしてきたことよりも、大手マスコミが批判の声を上げず沈黙していることの方に民主主義の危機を強く感じます。
橋下氏はマスコミは自分に非常に甘いことを知っています。憲法違反しようが独裁宣言しようが黙殺してくれるとなめきっているから、これだけの暴挙に出られるのだと思います。

マスコミが社会的使命を放棄していることを批判した記事を二つリンクしておきましょう。

◆赤旗
橋下市長の「思想調査」 批判なし
問われるマスコミの姿勢
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2012-02-18/2012021802_02_1.html
(引用開始)
ところが大手各紙は、「維新八策」など国政進出の準備を進める橋下氏ら「大阪維新の会」の動きを大々的に報じながら、今回の「思想調査」事件を真正面から批判する社説や論評は一切掲載していないのです。

 「朝日」は大阪市など関西方面向けの紙面(14日付)でこそ「アンケート」の具体的設問も含め詳しく報じています。しかし、同日付東京本社発行の紙面では、大阪市労連が大阪府労働委員会に救済を申し立てていることや、回答しない職員は処分の対象とするとの橋下市長の言い分を報じているだけで、調査の具体的設問や違憲性・違法性に踏み込んでいません。

 続きをブログで読む
マスコミの橋下氏への媚びっぷりは見ていて情けないです。「続きを読む」に入れておいたので参考にして欲しいのですが、2月19日の毎日新聞の「論説室から」も酷いもので、とても憲法違反行為に対する猛抗議がわき上がってるさなかに書かれた論説とは思えません。

そういえば、2008年の知事時代に橋下氏が自分を批判した朝日新聞の社説をこき下ろしたことがありました
まさかこの程度で新聞社が橋下氏にびびるようになったとも思えないのですが・・。

広原教授のエントリーは何故マスコミは橋下氏の重大な憲法違反を無視するのかについて言及されています。私も同感です。全文はリンク先でどうぞ。

◆広原盛明のつれづれ日記
国民の権利の「破壊者」を国政の「改革者」に仕立てるマスメディアの意図と役割、(大阪ダブル選挙の分析、その13)
http://d.hatena.ne.jp/hiroharablog/20120219/1329600371
(引用開始)
「橋下アンケート調査」の内容についてはすでに多くの方々が言及しておられるので繰り返さないが、私が言いたいのは、橋下市長に対するマスメディアの評価スタンスは政権交代で行き詰まった「国政の改革者」というもので、アンケート調査にみられるような「国民の権利の破壊者」としての“本質”は全く無視されているということだ。
(略)
本来ならば、今回の東京・大阪弁護士会および日弁連の会長声明の内容は、各紙とも1面トップに掲げてもおかしくないほどの重要な意味を持っている。ところが驚くことなかれ、各紙の取り扱いは片隅のベタ記事に近いもので、これらの声明はほとんど無視されたといってよい。その一方、「橋下紙面」の方は大盤振る舞いの連続で、毎日写真入りの大型記事が連載されている。この間の朝日新聞だけ取り上げてみても、以下のような威勢のいい見出しがズラリと並ぶのである。
(略・リンク先でどうぞ)
これらの見出しを読めば、橋下市長がまるで「竜馬気取り」になるのもよくわかる。そこにはテレビドラマか漫画か知らないが、「国政擁立」「統治機構変える」「覚悟を求める政治」「国盗り」「船中八策」「中央に迫る」といった威勢のよい言葉が飛び交い、「維新行列」「塾殺到」「国会議席取ってほしい」「政党恐々」などの刺激的なフレーズが並んでいる。これでは若者もオジサン・オバサンも「橋下サン頑張って!」と叫ぶのは無理がない。

 それからもうひとつ気になるのは、つい最近まで“地域政党”だったはずの「大阪維新の会」が、第2話になると、マスメディアの世界ではいつの間にか「大阪」が外されて「維新の会」になり、もう「船中八策」という国策にまで手を広げているのが当然視されていることだ。こんな「即席の変身」(変節というべきだ)をキチンと批判するのではなく、それをあまつさえ「改革者」と誉めそやし、天まで持ち上げて次の行動を煽る。これが現在のマスメディアの正体だとしたら、彼らはいったに何を意図してこのような紙面をつくっているのだろう。

 私が考える理由は3つある。ひとつは「橋下新党」を「改革者」に仕立てることで、民主・自民両党に裏切られた国民の怒りをガス抜きし、世論の支持が革新政党に向かうのを阻止すること、もうひとつは「橋下新党」の脅威を煽ることで民主・自民両党に妥協を迫り、当面の政権運営を軌道に乗せることだ。そして、これらのいずれも成功しないときは、第3の道として「橋下新党」を突破口に保守大連立政権樹立へと一挙に政局を転換させるためである。
あるマイミクさんのコメントがぴったりなので拝借します。
橋下って、腐敗したマスメディアが生み出した鬼子みたいなものですよね。これは、ヒトラーの時代にはなかった現象だと思うわ。とにかく、日本のメディアって「みんなで渡れば怖くない」「バスに乗り遅れるな」「寄らば大樹の陰」を三原則にしているみたいなもの。
その通り、もしマスコミがきちんと権力に対するウォッチドッグの役割を果たして橋下氏の反民主主義的な暴挙をきちんと報じていたら、今みたいに橋下氏がブームになることはなかったでしょう。
テレビという媒体や大手マスコミのヨイショ、リカバーがなければ彼がここまでのし上がることはできなかったと思います。マスコミに多いに助けられてる点がヒトラーよりもうんと小物だと私が評価する一つの要因です。

これも私が共感したツイートです。
想田和弘 @KazuhiroSoda
僕が今回の事件をとりわけ重大視しているのは、「社会悪の膿を出し切るためには、人権侵害もやむを得ない」という橋下徹による宣言に、大手マスコミと少なからぬ国民が同意しているようにみえるからである。その合意から魔女狩りや強制収容所への道のりは、人々が想像するよりもずっと短い。

「目的のためには手段を選んでいられない。もう待った無し」というのは、橋下徹とその支持者が言うことだ。しかし、平和のために戦争をするのが愚かであるように、手段が誤っていれば良い結果が出ることは絶対にない。むしろその人が採用する手段にこそ、その人の本質が現れる。
公務員に君が代斉唱を命じる条例について橋下氏は 「思想良心じゃないんです、これは。『条例違反をしません』という宣誓書なんです」と言っています。

これは、規則は規則、職務命令ならその内容がどうであれとにかく従えという「悪法も法である」の論理ですね。君が代を強要する人はこの論理を強調したがります。

では憲法はどうなのですか?

「悪法も法である(だから守られなくてはならない)」というくせに、悪法ではない憲法は守らなくていいのですか?

「社会悪の膿を出し切るためには、人権侵害もやむを得ない」「目的のためには手段を選んでいられない。」というのは、私にはご都合主義なダブルスタンダードにしか見えません。

公権力が憲法違反をおかすと言うことは、国民の基本的人権や民主主義が根底から覆される非常に高度な危機的な状況にあると言うことです。レッドゾーンに突入しているのです。
それに対してマスコミが警笛を鳴らさないなど、通常の民主国家では考えられないことです。
でもこの国の大手マスコミは、その考えられないことを今現在やっています。

また、橋下氏のこの暴挙を批判する声が中央の政治家から聞こえこないのも民主国家では異常事態です。
本来なら政権を担当する与党や第一野党から批判の声があがるものです。海外の民主国なら間違いなく中央の政治家がこぞってこの暴挙を非難するでしょう。
ところが、思想調査を批判した政党は共産党と遅ればせながら社民党だけ。
国の最も大事な憲法の基本的人権を蹂躙しようとしているのに、中央の名だたる政治家達はこれに一切口をつぐみ、橋下氏にすり寄ろうとするばかり。
「船中八策」よりも憲法違反を論ずる方が先決でしょうに。
(まあ自民主党も憲法変えたくてうずうずの反民主的政党ですから、憲法蹂躙されてもこの反応はさもありなんです)

ハシズム、ファシズムに同調してしまう世の空気を憂える記事をいくつか書いたことはありますが、せめてマスコミや中央の政治家がもう少ししっかりしていたら、こうはならなかったとの思いが強くあります。
民主主義は一度失えば、それを取り戻すのに膨大な犠牲を払わなくてはならないことは、既に歴史が教えています。
マスコミは歴史に学ぶべき、再び翼賛報道の愚を繰り返してはなりません。

ところで「思想調査」に関して忘れないようにもう一度メモ
テレ朝がスクープだと報じた大阪交通局の怪文書(平松氏応援しないと不利益を被ると脅した文書)あの調査、どうなりました?
その後の続報がないので気になるのですけど・・・

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