オバマ大統領が今年の一般教書演説で、海外脱出企業を米国に呼び戻すぞ、と述べたのを憶えています?
えっ、そもそも一般教書演説って何? ってですか。
まあ、そういう方もいるかもしれませんが、オバマ大統領は、雇用回復のためには輸出セクターを強化することが必要であり、そして今後は一旦海外へ脱出していった企業に対し、米国へ戻ってくるように説得する作戦なのだとか。
まあ、こういう話を聞くと、だったら日本も真似すればいいのに‥なんて声もあるのです。
でも、そもそも海外に脱出するからにはそれなりの理由があるからであって、今後よほどドル安に戻らない限り、或いは現地での賃金が高騰でもしない限り、一旦脱出していった企業が戻ってくることを期待するのは難しいとも思うのですが‥オバマ大統領は力づくというか、お金の力にモノを言わせて海外脱出企業を呼び戻そうというのです。
お金の力というのは、ご承知のように戻ってきたら税制上優遇するということであるのですが、お金もないアメリカでそのような作戦が本当に成功するのか? そのことについて、アメリカの公共ラジオ放送がレポートしていたので、ポイントを紹介致します。
Today, the president visits a Wisconsin factory run by Master Lock, a company that moved jobs back home. American factories are hiring, adding 50,000 jobs last month alone.
「本日、大統領は、マスターロックのウィスコンシン工場を訪れます。海外から戻ってきた会社です。アメリカの製造業は今人を雇っており、先月だけでも5万人の仕事が創出されました」
But analysts say there are limits to the number of jobs manufacturers can provide, as NPR's Scott Horsley reports.
「しかし、アナリストたちは、製造業が提供できる仕事の数には限度があると言います。NPRのスコット・ホースリーがレポートします」
SCOTT HORSLEY, BYLINE: Last month, President Obama hosted a White House gathering of manufacturers who make products ranging from furniture to candles to elevators. What they all had in common was that after doing business overseas, they decided to locate factories here in the United States.
「先月、オバマ大統領は、家具、ロウソク、エレベーターに至るまでの製造業者の集いを主催しました。彼らに共通している点は、一度海外に進出した後、再びアメリカに工場を移すことを決心したことです」
PRESIDENT BARACK OBAMA: You've heard of outsourcing. Well, these companies are in-sourcing.
「アウトソーシング、つまり海外脱出ということを聞いていると思います。しかし、これらの会社は、インソーシング、つまり国内回帰の企業です」
HORSLEY: There are a number of forces driving those decisions: rising labor costs in China, rising fuel costs for shipping goods across the Pacific and rising productivity here at home.
「これらの会社が戻ってきたのには訳があります。中国で人件費が高騰していること。太平洋間を運送するための燃料費が上がっていること国内で生産性が上がっていること」
Mr. Obama says when Master Lock studied that combination, something clicked. So instead of expanding in China or Mexico, the company's been hiring at its hometown factory in Milwaukee.
「オバマ大統領は、マスターロックはそうしたことを学び閃いたのだと言います。そこで、中国やメキシコで工場を拡張するよりも、ミルウォーキーの工場で人を雇っているのです」
OBAMA: In fact, Master Lock is now exporting their products from the United States to China and Europe. And today, for the first time in 15 years...
「実際、マスターロックは、今や米国から中国や欧州へ輸出しているのです。こんなことはこの15年なかったことなのです」
(SOUNDBITE OF APPLAUSE)
OBAMA: Today, for the first time in 15 years, Master Lock's Milwaukee complex is running at full capacity.
「今、マスターロックのミルウォーキー工場は、この15年で初めてフル操業をしている」
HORSLEY: That's good news in Wisconsin, where manufacturing took a hard hit during the recession, but has since staged a partial comeback. Unemployment in Wisconsin is now 7.1 percent, more than a full point below the national average.
「製造業が不況で痛手を受け、まだ一部しか回復していないだけに、これはウィスコンシンにとってはいいニュースです。ウィスコンシンの失業率は7.1%であり、国の平均値よりい1%ポイント以上低いのです」
RICHARD VALLEJO: I mean, there's a lot of jobs out there. I mean, Wisconsin's a good manufacturing area. So if you can demonstrate you have the skills, you'llget a job.
「仕事は沢山ある。ウィスコンシンは立派な製造業地帯だ。もし、貴方が自分の才能を示すことができれば、仕事はある」
さあ、ここまで聞いて、貴方はどう感じているでしょう?
日本は、アメリカを見習うべきであるのか? そうではないのです。アメリカが日本を見習うべきであるのです。
何故ならば、アメリカで仕事を得るためには、「自分の才能を示すことができれば」という前提がつくからなのです。
では、その才能とは何か?
例えば、正確に金属に穴を開けることのできる技術。
つまり、幾らアメリカで国内回帰の動きが出ているとはいっても、単純労働はお呼びではない、と。その代り技術さえあれば、例えば1時間当たり18ドルから20ドル支払う会社があるのだというのです。
まあ、仮にアメリカが、本国に回帰した企業に税制上の優遇措置を与えることができ、プラス、中国などで人件費の高騰が続いたとしても、別途、米国人労働者の質の問題が横たわっているということなのです。
それに、そもそも機械化の進展のスピードが速く、機械が労働者にどんどん置き換わっている、と。
機械が完全に労働者に置き換われば、海外の安い賃金が全然魅力のないものになってしまうので、その意味では海外脱出の動きは止まるのでしょうが、しかし、機械が労働者に替わってしまうので、例え海外脱出の動きが止まってもなかなか雇用が回復するということにはならないのです。
結局、仕事を確保するためには、機械にはできない仕事をする能力が求められているということになる訳なのです。
機械が人々の仕事を奪うのが怪しからん! 200年前と同じような事態に今も我々人間は悩まされているのです。
そのうちお笑いロボットが登場して、お笑い芸人さんが苦労するかも。
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