意見をつなぐ、日本が変わる。

ビジョンで競いあえば、もっと日本は元気になる

大西宏

2012年02月16日 12:30

橋下市長と維新の会の「船中八策」についていろいろ議論があって面白くなってきました。対米従属からの独立を目指せ派の天木直人さんにいたっては、環太平洋経済連携協定(TPP)への参加と、日米同盟を基軸とした外交政策だともうカンカン。そうなると、もうすべて気に入らないという感じでしょうか。いましばらく様子を見たらどうかと感じますね。むしろ今は停滞した政治にプレッシャーをかけるほうが意味があると感じます。

橋下徹の正体が見えた! :
悪い事は言わない。橋下大阪市長はお笑い弁護士に戻るべきだ :

しかし、対米関係をどう変えるのかは今議論したとしても、橋下さんがいつもおっしゃるように、なかなか結論のでない神学論争みたいになりかねません。外交も日本の本来の強みである経済の活力を取り戻さないと、ジャパン・パッシングは今後とも続くわけで、残念ながら諸外国から相手にされないのではと感じます。

現実直視が大阪気質なのだし、喧嘩は勝てる時にしかけるべきものです。アンケート問題に関しては、組合側が抵抗しているわけですが、抵抗すればするほどいかに政治に関わり、また一般職員にたいして圧力をかけていたかを自ら証明したようなものです。恥ずべきことをやっていなければ堂々と白日に晒したらいいと思うのが庶民感覚です。

むしろ、橋下市長や維新の会が掲げている大阪都構想、政策、また今回の「船中八策」については、これまでも議論されてきたことを集めたものであり、言ってみれば、多くの人が、そうなんだよなと納得できる内容であることに意味があると思います。しかし鮮度を感じるのは、構想や価値観を掲げたことです。なにも新しいことばかりを並べることがイノベーションではありません。それは、アップルのスティーブ・ジョブズが見事に見せてくれました。

政治もビジネスも、戦略を組み立てる力と、実行する力があってはじめてものごとが動きますが、橋下市長が先鋭なのは思想ではなく、その行動力、行動のスピード感でしょう。
そんな議論のなかで、大阪都構想に対して、もっと大きな構想を描けという面白い記事がありました。日本は潜在的に天災のリスクが高く、それが外国の企業、人材は日本を敬遠している大きな原因だとしたうえで、「大阪都構想」を「自然災害リスクの少ない新・首都建設構想」へと発展させてはどうだろうかという「新・首都建設構想」のアイデアです。

橋下維新の会は新鮮味のない船中八策より「大きな政策提言」を、夢もスケール感もない大阪都構想より「新・首都建設構想」を!|上久保誠人のクリティカル・アナリティクス|ダイヤモンド・オンライン:

まず、新首都の場所は、海外から企業・人材・マネーを呼び込む成長戦略と、内陸部で津波など「自然災害リスク」が極小化するという観点から、大阪府・京都府の間にある「京阪バレー」を中核とする。「京阪バレー」とは、メガチップス、ローム、村田製作所、日東電工、デジタル、シマノ、日本電産、キーエンス、三洋化成工業、任天堂、オムロン、京セラなど、世界でオンリーワンの技術力を誇り、グル―バルな経営展開を誇る優良企業が集積する地帯である。


そして、新しい経済拠点を中核として、関西の他府県に立法・司法府を配置していく。立法府(国会)は、三権分立の徹底、官僚支配の排除の観点から、官庁街と離れた滋賀県に設置する。大津市は手狭だが、草津市や新幹線から見える琵琶湖周辺には国会と「永田町」を建設するのに十分な平地がある。「料亭政治」をやる場所がない田舎だが、これからの政治には、むしろそのほうがいい。

書いていらっしゃるご本人も思いつきで「荒唐無稽」だとされているのですが、面白いですね。もし、選挙に敗れた平松さんが、関西広域連合との話し合いで改善していくという主張、それは絶対に改革しない、なにも変えない、既得権を守りぬくという主張ではなく、こういったスケールの大きな主張を掲げていれば、選挙はもっと湧いたでしょう。

大切なことは、日本の政治は、なにか問題が起こっている、それにどう対処するのかという「改善脳」は働くのですが、それだけが働き、結果として細部にこだわり、重箱の隅をつついたり、それを焦点として政局ゲームを展開することにエネルギーを注いでしまっています。日本をどう変えていくのか、どこに導いていくのかの「構想脳」を失ってしまっているのです。だからダイナミックな政策もでてこず、国民の将来への不安が広まり深まるばかりになってしまっています。それではどんな政策を打っても景気は浮上しません。

大阪のダブル選挙でわかったことは、「構想」と「計画」の違いすら理解していない人が多いことでした。「構想」は荒唐無稽でも、具体性が充分に詰め切れられていなくてもいいのです。

具体性は計画段階でしっかり知恵を集め固めるものです。旅行でも、まずは行き先を決めなければ、日程も、ルートも決まりません。「ビジョン」や「構想」をもっと議論する、「ビジョン」や「構想」でコンセンサスをとる、そのプロセスがないかぎり、日本の政治の迷走は、どこが政権をとろうが際限なく繰り返されてしまいます。

与党は政策の実現能力や結果で評価されますが、野党は、もっと国民に鮮度を感じてもらう「ビジョン」や「構想」づくり、その提案に徹し、国民に将来への確信を感じてもらうことにエネルギーを注ぐべきです。そうすればきっと支持率もあがってきます。それがないから、選挙目当てで集まる烏合の衆だという不信感が高まるのです。

もっと「ビジョン」や「構想」で競い合う、それが日本が元気になっていく大切な鍵だと思います。かつて、欧米に追いつけ追い越せで目標がはっきりしていたときは日本は元気でした。しかし欧米に追い付き、追い越したとたんに目標を失ってしまい、失速してしまいました。

自ら「ビジョン」や「構想」を描き、自ら「目標」を生みだす能力をもつかどうかに、日本の今後の命運はかかっているように感じます。そのためには、まずはもっと「ビジョン」や「構想」、その根底にある「価値観」で議論する風潮、文化を育てたいものです。たとえ荒唐無稽でも、なにも持たないよりははるかにいいと思います。

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ビジネスラボ代表取締役。自称「マーケティングの棟梁」

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