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予算委員会の質問解説

河野太郎

2012年02月15日 15:57

予算委員会の質問が二日遅れでまわってきた。

正直に言うと、岡田副総理にかなり期待をしていたところがあったのだが、残念だった。

月曜日に自らの発言で委員会を空転させたので、安全運転、答弁書からは踏み出さないということになったのかもしれないが。

岡田大臣といろんな議論をしながらというつもりでいたのだが、次からは、短い質問で、立て続けに攻め込むというスタイルに戻さざるを得ない。

少し、質問と答弁を解説すると

問い 『民主党政権が再就職等監視委員会の同意人事案を国会に提出しないため、委員会の立ち上げが遅れ、官僚の天下りはチェックすることができない状態になっている。その結果、資源エネルギー庁長官が東京電力に直接天下るなどということまで起きている。再就職等監視委員会の同意人事案は、いつ国会に提出されるのか。』

公務員が、斡旋を受けての天下りをしないように、監視をするのがこの再就職等監視委員会だ。しかし、民主党は、野党時代に自公政権が出した同意人事にことごとく反対し、委員会の立ち上げを阻止した。

自らが政権の座につくと、委員会の人事案を出さない。これは担当の政務官が法律違反状態と答弁したような事態だ。

ようやく、昨年夏に人事案を内示したが、極端なイデオロギーの持ち主で、野党がとても賛成できるものではなかった。

官房長官が提出するとはいったものの、野党が飲めないものを出して、野党が賛成してくれないので云々ということになりかねない。


問い 『野田総理は、再就職等監視委員会が立ち上がるまで、その権限を代行するのか。』

法律では、この委員会が立ち上がるまで、その委員会の持つ権限を総理に与えている。これは立ち入り調査権を含めた非常に強い権限だ。

所管の大臣は、公務員を呼んで、斡旋はあったのか、いえ、ありません、程度のことしかできない。

今回、野田総理が、この権限を行使すると明言することを避けたのは、総理が権限を行使することになれば、たとえば資源エネ庁長官が東京電力に直接天下りする、といったことはできなくなるし、もしすれば、総理はどういう調査をしたのか問題になる。だから、役人の答弁書には、総理が権限を行使するとは書かれない。政治主導でなければ答弁できないのだが、できなかった。

問い 『野党は基本法に基づいた国家公務員法の改正案と幹部公務員法案を国会に提出しているので、これに基づいて与野党協議をしないか。』

与野党が合意した公務員制度改革基本法では、内閣人事局を内閣官房につくり、総務省、人事院、財務省などが持つ人事の機能をそこに集中することになっていた。しかし、役人はこれをいやがり、内閣府に公務員庁なる第二の人事院をつくり、そこに権限を与えるというように勝手に基本法を改正しようとしている。これは明らかな与野党合意違反だ。

もとの基本法に戻って、公務員制度改革を与野党でやろうというお誘いだったのだが、岡田大臣には、答弁書を読み上げる答弁に終始されてしまった。

問い 『社会保障国民会議や与謝野大臣による将来推計や、今回の民主党の試算など、厚労省の将来推計は、政策に対して中立ではない。こうした社会保障の将来推計を中立に行うために、なんらかの独立した機関が、前提条件を統一し、公開したうえで試算し、きちんと議論に付すべきではないか。』

厚労省は、現行制度がいいんです、抜本改革なんかダメですという結論ありきの将来推計をいつも出してくる。それに対して、政策的に中立な推計をやりましょうというお誘いで、年金改革の有志合意を一緒にやった岡田さんならば、賛成してくれると思ったのだが、そういう余裕はなかったようだ。これは、凄く残念だ。

問い 『民主党の前原政調会長も年末に、分限処分で公務員削減という発言をされたが、国家公務員法第78条4号の組織改廃時の分限免職は運用の指針の整備すら行われていない。この際、国家公務員法第78条4号の運用ができるような法令の整備を進めるべきではないか。』

組織改廃に伴う分限処分(解雇)は、人事院が必要な運用の指針を作っていないので、普通にできない状態にある。

社会保険庁改革で、あれだけやって、ようやくできる状態だ。きちんと分限処分できるように、ルール作りをしておかなければならないはずだが、もちろん、役人の答弁書は、できますよ、社会保険庁でもやりましたよ、という答弁になっている。

岡田大臣も、分限処分はする気がないようだ。

問い 『今回政府が提出する税と社会保障の番号制度では、金融資産の利子所得が捕捉できない。「一体改革の素案」には低所得者へのさまざまな給付拡大が盛り込まれているが、「低所得者」の定義に利子所得が反映されないのは公平性に欠けるのではないか。』

マイナンバー制度では、利子所得は把握できない。そもそも対象にしていない。そのため、利子所得だけが多い人は、低所得者扱いになってしまう。

低所得者への給付を闇雲に拡大する社会保障と税の一体改革案なので、利子所得をきちっとつかまないと、実は高所得者に給付を拡大してしまうことになる。

本来、厚労大臣が、利子所得の捕捉ができるような制度にしろと閣内で訴えるべきなのだが、その形跡は見られない。

今のままでは、災害で通帳がなくなった時に、マイナンバーでお金が引き出せますというのは嘘だ。

問い 『地方公務員にも東日本大震災の復興財源として、7.8%の給与カットを求めるのか?そのための交付税削減をするのか?』

国家公務員は二年間の限定付きだが、7.8%の給与カットを実施する。

地方公務員にも同じ幅の給与カットを求めるならば、地方交付税を削減することができる。しかし、野田政権、それはやらないと明言したに等しい。

実は、この質問でイエスという答えを期待して、『その際、すでに大幅な給与カットに取り組んできた自治体も、努力を怠ってきた自治体もある中で、一律に「7.8%カット」を求めるのか?
例えば、過去何年間かの人件費削減努力を評価し、カット率に加味するような工夫を検討しないのか?』という質問を用意していたのだが、無駄だった。

問い 『昨年、人事院が国家公務員の65歳への定年延長の意見書を提出したが、民間の定年が65歳に引き上げられるまでは、公務員も民間同様に定年延長ではなく再雇用にすべきであると思うがいかがか。』

昨年、人事院が国家公務員の定年を延長すべきという意見書を出している。民間がまだ、再雇用で対応しているのだから、国家公務員も当然、再雇用で対応し、民間で定年延長が行き渡ったら、公務員の定年延長を実施すべきという趣旨なのだが、岡田大臣は答弁書を読み上げるだけ。

今日の総理や副総理の答弁では、民主党政権では公務員制度改革はまったくできない、やるつもりがないということがはっきりした。

問い 『厚生年金の適用拡大にあたって、標準報酬月額の下限98000円を引き下げるのか。国民年金の保険料より安い保険料で、基礎年金と厚生年金の両方が給付されるのは公平性を欠くことになりないか。』

標準月収98000円を引き下げてしまうと、国民年金の保険料よりも厚生年金の保険料が安くなる人が出てくる。国民年金よりも安い年金保険料で、厚生年金と国民年金の両方がもらえるようになるのは、矛盾する。パートへの厚生年金の拡大には、こういう矛盾があるのだが、小宮山大臣は、かまわずやりたいという意向らしい。

それはさらに、年金に対する不信感を増やさないか。

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