Wikileaksの創立者、ジュリアン・アサンジ(Julian Assange)氏、現在、英国に滞在し、女性への暴行容疑でスウェーデン当局からの身柄引渡し要請を巡る裁判を闘っているところですが、Wikileaksとアサンジ氏を世界的に有名にしたのは、何と言ってもブラッドリー・マニング(Bradley Manning)米陸軍上等兵でしょう。その彼も逮捕されて約500日を経て、軍法会議にかけられることになり、
来る23日に罪状認否が行われます。
彼は22件に及ぶ容疑で訴追されていて、その中には
終身刑に値する「敵支援」容疑もあるそうです。なにせ軍人による裁判ですから
下手すると死刑もありうるとする説も流れています。そんな中、
マニング上等兵をノーベル平和賞に推薦(nominate)する動きが相次いでいるようです。日本のメディアでは見かけませんし、これまでWikileaksのことは何度か取り上げてきたので、これも整理しておきます。
今月1日、アイスランドの国会議員3人が連名で、ノルウェーのノーベル平和賞選考委員会に推薦状を送りました。メンバーの一人、
Birgitta Jónsdóttirさんが自身のブログでその意図と委員会への手紙(推薦状)を公開しています。要約すると「Wikileaksによる独裁政府の腐敗や残酷さ、戦争犯罪などの公表は、アラブの春につながり、イラクからの米軍撤退というオバマ政権の決断に役立った。
世界市民はWikileaksに大きな負債を負った。その源になったマニング氏に素晴らしい賞を与えるべきだ」といったところです。
9日には、米国オクラホマ州のOklahoma Center for Conscience and Peace Research(OCCPR)というカソリック系の平和活動団体が
「マニング氏をノーベル平和賞にノミネートした」というプレスリリースを公開しています。その推薦理由は、アイスランドの国会議員のものと大筋で一致しますが、それに加えて、彼を告訴した軍人たちによる一方的な見世物裁判(show-trial)では、「国際的な圧力がないと、
終身刑はおろか死刑もありうる」ので、彼の苦境に対する関心を呼び起こすことが大事だ、と述べています。
こうした動きに呼応するように、米国のリベラルなブロガーの集積サイトで様々なオンライン活動を行なっているFDL(Firedoglake.com)が、「ノルウェーの委員会に、マニング氏に平和賞を与えて欲しいという嘆願書を送るので、
同意の方はネット上で署名を」と呼びかけています。ここの主張も、マニング氏の大義を称える点で同じですが、同時に、「マニング氏が裁判にかけられるということは、
ジャーナリストや同じような内部告発者にも重大な影響がある」と主張しています。つまり、狙いは同じ。関心を高めることです。
ただし、マニング氏礼賛一辺倒かというとそうではありません。とりわけ強烈なのが、Time誌に掲載されたRon Capps氏の「
The Nobel Betrayal Prize?」と題する一文。直訳すれば「
ノーベル裏切り賞?」。こういう内容です。
ーーアイスランドの国会議員が推薦するのは勝手だが、それは、マニングがなんで告訴されたかに全く無知なことをさらけだした。なぜなら、Wikileaksに文書を流したことで、
米国への協力者、外交官、市民の命をひどく危険に晒したのだ。同胞の命や情報源を危機に陥れることなど平和賞の基準に合ってない。
Capps氏、フリーランスのライターですが、元は海兵隊出身で、国務省の外交官としてコソボ、ルワンダ、イラク、スーダンという紛争地域に赴任した経歴だそうです。ならば、こういう声も、当然、あるのでしょうが、一方で、Jazz Shawという人は、「
ノーベル平和賞って、なんだかジョークみたいだ」って皮肉っています。
これは、全米トップ10ブログとされる保守系サイト
Hot Airに掲載されたものですが、こうです。まず、the Nobel Peace Prize has really gotten something of a
rotting fish reputation over the last decade or two.ノーベル賞って、この10年か20年「
腐った魚のような名声」を得てる、と腐します。で、「マニングがノミネートされたってスゴイ。イラクでの戦争犯罪を暴いて、拘置所で英雄的に耐えてるんだから受賞に値するんだろう。でも、マニングを酷い目にあわせてるのが、2009年の平和賞受賞者、オバマ大統領だって忘れてないか!」 つまりマンガみたいだと。そういえば、こんなニュースもありました。
オバマ大統領の平和賞授賞はおかしかったんじゃないか?再調査を、という動きがあるというAP電。
これからも、ノーベル平和賞候補を守れ!というような動きは続き、様々な話題を広げるでしょうが、平和賞の発表は例年10月。軍法会議の進み具合が気になるところです。
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"デジタル社会の落ち穂拾い"をするITジャーナリスト