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アップルは当然ながらとっくにニッチな企業ではなくなっている

大西宏

2012年02月14日 12:54

過去の常識が通用しない、過去のイメージを引きずっていると現実が見えてこない、その象徴みたいな存在がアップルだと思います。アップルは、かつてはニッチな企業でした。PC時代はマイクロソフトに水をあけられ、細々とグラフィックデザイン、教育などの領域で生き伸びてきたに過ぎない敗者でした。

だから、グーグルのアンドロイドOSが登場し、スマートフォンにチャレンジする企業に提供を始めたときには、再びPC時代のアップルの敗北が再現されると思った人は少なくないはずです。

アップルがマイクロソフトに大きく引き離されたのは、windows95の発売が契機だったと思います。1995年でしたが、そのアップルが、昨年に売上高でも利益でもマイクロソフトを追い抜きました。かつて日経は企業の寿命30年説を展開していましたが、その半分のおよそ15年で逆転してしまったのです。時代変化の速さを感じます。

そのアップルの株価が上昇しつづけていて、500ドルを超えたというニュースがありました。配当もないのにです。
小飼弾さんがつぶやいておられたように、なんとマイクロソフトとグーグルをあわせた時価総額の合計を超えたのです。

時価総額は36兆円となり、第二位のエクソンモービルの31兆円を引き離しはじめています。手元資金も1000億米ドル(およそ7兆7,500億円)にまで達し、もはや資金力でアップルに対抗できる企業はありません。アップルは、もはやニッチな企業ではなく売上高、利益、手元資金でも、とてつもない巨大企業となりました。

アップルの強さを理解するためには市場のルールの変化を見ておく必要があると思います。このブログ、またメルマガでも幾度か取り上げましたが、絶対的な独占的シェアをとれば話は別でしょうが、市場のシェアで優位にたてば、利益でも優位に立てるとは限らない時代に入っていることを感じています。競争優位は取引関係での支配力、スマートフォンならそれを販売する通信キャリアとの力関係で、大きく経営成果は変わることをアップルは示してきています。その力関係をつくるのはブランド力です。


アップルは、スマートフォンの普及、またブランド重視のマーケティングを慎重に行うために、取扱う通信キャリアを制限しました。しかし、そのことが、スマートフォンの市場成長とアップルの供給力にギャップが生まれ、そのギャップをついて急成長したのがアンドロイドです。しかし、もしグーグルがアンドロイドを供給していなかったら、これほどスマートフォンの普及が進んだかも疑問です。アップルとアンドロイドの競争のもうひとつの視点は、ライバルは敵ではなく、ともに市場をつくっていく共存関係の存在だということです。

しかし、昨年アップルが通信キャリアの拡大を行ったために、この競争関係の状況が大きく変わりました。いよいよアップルがスマートフォン市場の刈り取りのステージにシフトしてきたのだと思います。

またアンドロイド側の内なる競争では、世界的にはサムスンひとり勝ちとなり、日本を除けば、スマートフォンの競争はアップル対サムスンに変わってきています。アンドロイド勢、サムスンの弱みは、OSとハードのブランドの分散、またハードのさまざまなブランドの分散、さらに通信キャリアのブランドとの分散が起こってしまっていることです。巨大ブランドとなったapple、iPhone、iPadと競うのはそれでは弱いのです。

グーグルとマイクロソフトとアップルの売上高と営業利益の推移を比較したASYMCOの記事をワイヤレスワイヤーニュースが取り上げています。アップルの成長性と規模をイメージできるグラフがでていますが、直感的にも、もはや巨大企業アップルと重なる分野では、アップルとの直接競合は避ける戦略が求められてきます。



43-PM
グラフでみる「アップル - 世界最大のベンチャー企業」- Asymco - WirelessWire News(ワイヤレスワイヤーニュース) :


そう考えると、携帯、スマートフォンの世界市場で敗北したに等しい日本ブランドは、逆にひとつの好機があるように思えます。スマートフォンが当たり前の時代を想定した徹底したニッチ戦略です。高齢者用でもなんでもいいのですが、特化した分野に絞れるのは敗者だからできるのです。サムスンにはできないことだと思います。

最初はニッチであっても、大きなイノベーションが起こると、巨大な企業にも成長できることを日本の家電はアップルから学んで欲しいものです。「総合」の看板、またその意識、プライドをはやく捨てることだと思います。

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ビジネスラボ代表取締役。自称「マーケティングの棟梁」

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