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20世紀文明論(8):生活革命②長寿社会・・・❸

 高齢社会は、二つの要因によってもたらされる。長寿化と少子化である。長寿化は誇るべきことであり、否定的にとらえるのではなく、積極的に評価することが、社会の新しいビジョンの提示につながってくる。少子化のほうは、将来の人口が減り、社会の活力が失われるなど、様々な問題を孕んでいる。

 長寿化という観点から、日本人の生活に焦点を当ててみたい。日本では、介護保険の導入など高齢者福祉に関する施策が進んでおり、20年前に比べると格段の進歩を遂げたと言ってよい。医療技術や医薬品の進歩もまた、長寿化に貢献している。

 しかし、制度の乱用という問題も起こる。かつて野末陳平氏は、その著『老人栄えて国亡ぶ』(1997年)の中で、

「老人がいつまでも弱者意識で社会に甘える時代はとっくに過ぎた。・・・全国の老人たちよ、元気なら年金返上の覚悟で死ぬまで働け。年金にすがる愚痴と不平の隠居暮らしなんか、捨てろ。老人の自立こそが日本を救う道だ」
と皮肉を言っている。

 定年退職後働いて一定以上の収入があると、年金が減額される(在職老齢年金)が、これが高齢者の働くインセンティヴを殺いでいるとして、最近では見直しの議論も出始めている。年金支給年齢を引き上げてきたが、長寿化に伴って、さらなる引き上げやその他の改革を断行する必要がある。

 これまで4人の現役で1人の高齢者を支えてきたが、やがては2人で1人を支えなければならないようになる。年金制度は、積み立て方式ではなく、賦課方式で運用されてきたが、両方式とも利点と問題点があり、現行方式を変更せねばならない格段の理由はない。少子化に歯止めをかければ解決する問題だからである。

 日本人にとっては、20世紀は平均寿命を倍増させるという、とんでもない「異常な世紀」であった。とくに第二次大戦後の平和と繁栄がそのような果実をもたらしたのである。社会福祉の充実は瞠目に値する。

 しかし、1960年代の高度経済成長は過去のものであり、今日では20年以上のデフレが続いており、日本は、低経済成長下で高度福祉社会を構築するという難しい課題に直面している。

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