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トンデモ商法に甘いままでは、出版界にも社会にも、とても危険な未来が待っている

先日、講談社が怪しげな疑似科学商売に手を出している件を書いた。今日はその関連というか、そもそもなんで薬事法違反と思われるイカサマ商品に対し、「こと出版物では」甘く判定されるかという話を。

ゲルマニウム商法が摘発されたように、薬事法違反の疑似科学商品や怪しげなマルチ商法については、消費者保護や詐欺商法撲滅の側面から、国民生活センターや、それを所管する消費者庁、厚労省などが随時摘発・情報発信をしてきた。

それは詐欺師共への抑止力になっており、一定の効果を発揮している。

翻って出版界を見渡すと、こうした抑止効果があまり機能せず、百鬼夜行の状態になっている。ことは講談社のゲルマニウム商法だけでなく、怪しげな民間療法グッズを添付したムックなどは、大手書店に行けば誰でもてんこ盛りに見ることができる。

グッズ系を離れ、単なる情報発信としての書籍で見ると、状況はもっと悪い。

ホメオパシーマイナスイオン商法、水素水などの疑似科学、占いや霊視などの宗教的詐欺、根拠レスで危機を煽る予言書などなど。誰しもいくらでも目にしたことがあるはずだ。



なぜ、これらが糾弾されないのか?

それは、出版物には「表現の自由」という原則があるからだ。地球平面説や進化論否定などの宗教的ヒステリーに満ちた本や人種差別を肯定する書籍、人類は数年後に滅びるとして信者に勧誘するカルト団体の書籍――。これらは出版社が出す気になれば、いくらでも出版でき、全国の書店に並べることが可能だ。

表現の自由は、とても重要だ。多様な視点からの提議をもたらす自由があるからこそ、社会問題に警鐘を鳴らせる。

これがあるため、デタラメ書籍の摘発については、国民生活センターなども及び腰だ。実際、書籍やムックなどでは、他の流通ルートであれば問題視される疑似科学商品ですら、なんとなく許容されてしまう雰囲気がある。「著者がそう言っている」を逃げ道に、悪党に宣伝の道を開いているのだ。

出版界は、この「特権」を錦の御旗に、目先の小銭を求め、楽な道を選びすぎているのではないか。明らかに社会に害悪を与える問題商法や、「患者の多くが支持した」レベルの伝聞根拠しかない疑似医学、あるいは危険なカルト団体の主張については、コンプライアンスやCSRの視点から、出版企画を検討すべきだ。「誰もこんなの本気にしないだろ」と、自らの良心に免罪符を与えてはならない。

「このキノコでガンがみるみる消える」式の怪しい書籍をきっかけにマルチ商法のカモにされる末期癌患者だって、実際にいるはず。疑似医学で寿命を縮め、治療に使うべき貴重な資産を無為に悪党に吸い取られるなんて、最たる悲劇だ。

出版社が自浄作用を発揮できなければ、なんらかの大問題をきっかけに、いずれ外部からの規制を招いてしまう。それこそが、真の意味で「表現の自由」を毀損する行為だろう。

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