牛丼大手の松屋がオーストラリア産の米を試験的に導入するようです。これは日本米の相場が震災後、高止まりしている中で牛丼チェーンのように価格競争の激しい業界において身を削るようなコスト削減に取り組んでいる中、輸入米との価格差は魅力的に映ったのかもしれません。
私はオーストラリア米は食べたことがありませんが、カナダで食べるのはほとんどがカリフォルニア米。ジャポニカ米は他の種類の米に比べて数十%高いのですが、味は結構いけます。個人的には外国産でこれだけのレベルならばむしろ、焚き方などの工夫次第では日本のそれとまず変わらない気がします。
さて農林水産省が心配しているTPP後の国内消費量800万トンの9割が外国産に取って代わる、という言葉が独り歩きしている感があります。今回の松屋の決定は農家やTPP反対派をより刺激することになるかもしれません。
ですが、以前にも申し上げましたが海外に日本の消費量、800万トンの9割である720万トンは机上の計算でしかありません。ジャポニカ米が海外でそんなに生産されていないのです。ないものは輸入できません。
ところで日本の米価格を価格.comで見ると極めて幅広い価格帯。魚沼産コシヒカリが5キロ4500円程度に対して他のブランドならその半額から下といったところでしょう。ここまで安いならば一部ブランド米を除けば単純に価格だけ見ても競争力がないとはいえないと思います。私がカナダで買っている5キロ当たりの価格は1700円程度。日本産の米が価格的に圧倒的不利とまではいえないかもしれません。
ところで日本ではかつて、商店街が一気に下火になり駅前などの大規模店舗=デパートやスーパーに取って代わりました。その後、一部の商店街は努力の結果、今でも人ごみでごった返しておりますが、8-9割の商店街はほぼシャッター街と化してしまいました。
この商店街の変遷は今後の農業の姿に重なる気がしております。商店街が復活できなかった最大の理由は跡継ぎがいなかったことであります。高齢化した店舗主が徐々にリタイアしていき、行き詰った点において農業が商店街のシャッター街化に重なって見えるとすることにさほど無理はないでしょう。一方、商店街に取って代わった大規模店舗はまさに経営ノウハウと規模を追求しています。
日本の農業において米作農家は116万戸、そして、94万戸が兼業である点を考えればTPPをしょうがしまいが日本の農業は確実に崩壊の道を歩んでいるのです。問題はそのテンポがゆっくり進むことで対策を後回しにしてきてしまったことにあります。
その状況を考えればTPPはむしろ、農家と農業のお尻に火をつけることになります。そして、94万戸の兼業農家がいよいよ変化を受け入れなくてはいけない時を迎えます。私は結果として改革が加速化することになると思います。農業改革は日本の商店街と同じ時代変化への対応を迫られていた、そして、商店街は大規模店舗が、農業はTPPがそのきっかけと考えたらどうでしょう。TPP反対による農業保護よりも時代にマッチした「経営する農業、規模の農業」にすることが結果として日本の食糧自給化向上にはつながる可能性が高いと思います。
今日はコメントオープンディです。皆様のご意見、お聞かせ下さい。
この記事を筆者のブログで読む

カナダ在住の経営者。海外居住者ならではの視点で日本人を考察。