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前キャプテンの福井章吾が明かす、優勝候補筆頭・大阪桐蔭の強さの秘密!

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いまや、誰もが認める「横綱」――大阪桐蔭高校である。春夏通じて7度の甲子園制覇。出場19回にしてその成績は57勝12敗。圧倒的だ。いかにしてこの強さは作られてきたのか。ベストセラーシリーズの最終巻『野球ノートに書いた甲子園FINAL』(高校野球ドットコム編集部)には、球児、指導者たちが全力で夢へと向き合った「言葉」があった。今回は、本書に収録された、大阪桐蔭高校の野球にとどまらないその「力」に迫る。

衝撃の結末、後輩に伝えた言葉「主将力」

なぜ、セーフ?

一塁塁上には仙台育英の選手が胸をなでおろした様子で立っている。

甲子園球場がざわついていた。いや、多くはすでに大阪桐蔭の勝利を喜び、仙台育英の敗退を嘆いていた。整列が始まらない。内野手は途方に暮れた様子で一塁塁審を確認した。塁審は、セーフを宣告しなおした。

第99回全国高校野球選手権3回戦、春の甲子園の覇者・大阪桐蔭と仙台育英の一戦。名門校同士の一戦は、引き締まった好ゲームとなっていた。7回まで0対0。8回表に大阪桐蔭がようやく1点を入れると、そのまま9回裏2アウトまで試合は進んだ。大阪桐蔭の勝利まであとアウトひとつ。

しかし、仙台育英も最後の意地を見せ、五番・杉山拓海がセンター前ヒットを放つと、盗塁を決め2アウト2塁のチャンスを作る。次打者・渡部夏史はボールカウントが先行したことで敬遠気味に歩き1、2塁。七番は途中からファーストについていた若山壮樹、その初球を叩いた打球は……平凡なショートゴロだった。大阪桐蔭のショート・泉口友汰がなんなく捕球し、一塁へ。完璧な処理、試合終了のはずだった。それが「セーフ」。

なぜ――?

その理由が分かっていたのは、目の前でプレーを見ていたファーストコーチャー佐藤と、ファーストの2年生、今大会注目のスラッガー・中川卓也本人だけだったであろう。それも確信ではなく、可能性のレベルの話である。

セーフかも、しれない……。

2アウト満塁となった試合の結末はあっけなかった。仙台育英のサヨナラ逆転勝利。1対2で、優勝候補筆頭、春夏連覇を目指した大阪桐蔭の夏が終わった。

あのシーン。高校野球ファンでは広く語られるものとなったが、中川の右足はファーストベースを踏んでいなかった。サヨナラ負けの瞬間、泣き崩れた2年生は「あと1アウトからあせってしまったことと実力不足で、試合を落としてしまった。3年生に申し訳ないです」と声を絞りだした。

その日の夜。中川は3年生の部屋を順にまわり、頭を下げた。当時の主将・福井章吾の部屋を訪れたのは一番最後。そこで福井は、自身のバッティンググローブを手渡して言った。

「お前のせいじゃない。明日から元気を出してやれ。主将力だ」

中川にバッティンググローブを手渡し「主将力」の言葉を伝えたその福井は、ショートゴロの瞬間、キャッチャーとしてファーストのカバーに走っていた。右手にガッツポーズを作りながら。

中川と同じくサヨナラ負けの瞬間には泣き崩れた。普段の落ち着き払った物腰、言葉。西谷浩一監督をして「福井のチーム」と言わしめるほど絶大な信頼を得ていた福井からは想像できない姿だった。

現在は慶応大学の一年生の福井章吾。

現在は慶応大学の一年生、野球部に所属しながら脳科学を専攻するつもりだ。
「スポーツのパフォーマンスと脳の関係性を調べたいなと思っています。あの仙台育英戦で、ベストパフォーマンスが発揮できなかった理由を、科学的に根拠づけて説明できれば同じ失敗はしないんじゃないかと思って」

福井は凛とした雰囲気を漂わせながら専攻の理由を語った。ただその言葉には、疑問が湧く。あのプレーに関与していないキャッチャーには防ぎようがないのでは――。

「もちろん、あのプレーに100%自分が関われたかと言われたら、それはあり得ないと思います。でも、1、2%は僕の何か要因があって、ああいうプレーが起きていると思うんです。その前に一声かけるとか、サインを出すとか……何かできた可能性がある。確率的な問題で、僕が何かサポートして、何かを変えられたのであれば、それを勉強するのは面白いんじゃないかな、と思っています」

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