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東京医科大学の女子受験生差別 女性に限らず医師が活躍できる場を作ることこそ国の責務

 裏口入学で一気に有名になった東京医科大学ですが、それに止まらず、女子受験生に対しては一律に減点して、合格者の男女比を操作していたというのですから、驚きです。
 裏口入学でカネを出した人に下駄を履かせる動機ははっきりしていますが、女子受験生を一律に不利に扱うのは、卒業後に医師として働くのは系列病院が多いということで、女性の場合、出産、育児で早々に医師をリタイヤしてしまうという背景があります。
 このような公正さに欠くようなやり方が許されないことは言うまでもありませんが、平成の世が終わろうとしているこの時代に未だにこのような前近代的なことが行われていたのです。人生を狂わされてしまった人たちも決して少なくないでしょう。公正と思われていた入学試験で組織的な不正が行われていたのですから、ひどいものです。

 ところで女性医師の産休や育休によるリタイヤは、これ自体、既に医師人口、つまり医師養成数を考える上では大きな問題にはなっていたことです。
医療従事者の需給に関する検討会 医師需給分科会(第1回)」(2015年12月10日)

 昨年も同様に検討が行われています。
女性医師キャリア支援モデル普及推進事業に関する評価会議

平成29年度女性医師キャリア支援モデル普及推進事業に関する評価会議 資料

 今後も女性の医師の割合が多くになることは必然的なことであり、それに対する対策を検討することは当たり前なのですが、現実には未だに対策らしい対策が出てきていないというのが現状です。
 医学の進歩の早さからすれば、数年も現場から離れてしまっては医師として復帰することが困難なことは自明のことです。
 復職のための支援で足りるはずもなかったのです。

参照
東京医大・女性差別の背景にある「医師の過酷労働」、「患者拒めない」応召義務など論点に」(弁護士ドットコム)

 もう1つ問題なのが、こうして下駄を履かせてもらった層でも医師国家試験にも合格しているということです。
 入試選抜が機能しているのかという問題です。入試さえ通ってしまえば医師国家試験にも通ってしまうでは問題があります。
 医師養成では、医師国家試験の受験資格として医学部を卒業していることが必要ですが、医師養成数は医学部の定員ということになります。
 一定の入試による選抜機能が果たされているということが医学部の質を確保することになっていますから、本来、合格させてはならない層まで合格させてしまうことには問題があります。
医学部新設解禁 法科大学院と同じ道を歩もうとしている

 医療現場での医師不足は、医師の数を増やせばいいという問題ではなく、待遇を改善することによってこそ、解決されるべき問題なのです。
 勤務医や地方の医師不足において求められているのは、医師の待遇の改善です。数だけ増やすというやり方は使い捨ての医師を増やすだけですし、入試選抜機能も低下させることにつながります。

 女性の医師も同様です。現場に残って欲しければ、求められているのは待遇の改善です。
 もとよりこれは各病院の努力によって達成できるものではなく、国が責任をもって行うべきことです。
 特に医師養成は国が費用を掛けて行っているのですから、簡単にリタイヤされてしまうのは社会の損失でもあります。女性に限らず、医師として活躍できる場を作ること、それが国の責務です。
 開業医を優遇することではありません。

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