ギリシャの救済がEU、ECB、IMFのトロイカ体制で進められ、やっとギリシャも閣議決定するところまで話が進んでいるが、これでギリシャ問題や欧州債務危機がすべて終息したかのような錯覚に陥るのは止めたほうがよさそうだ。アテネでは依然として数万人単位の民衆が、財政の緊縮による年金の削減などに反対してゼネストを実施しており、安心できない状況にあるからだ。
そもそも今回のギリシャ騒動は、EUやECB、IMFがなんとか「秩序あるデフォルト」に持ち込むための布石にすぎない。3月に迫っている大量償還を乗り切ったところで、民間金融機関などに5割以上の債務免除を依頼している時点で、実質的にデフォルトに陥っていると言っていいだろう。
欧州債務危機は、ギリシャが片付けばポルトガルが次に控えているし、ユーロ安で実体経済がよくなればいいのだが、最悪のケースでは今後しばらくは「スタグフレーション(不況下のインフレ)」を心配しなければならないはずだ。不況なのに物価が上昇していくスタグフレーションは、現在世界中の共通の懸念材料となっている。
たとえば、日本でもデフレが進行して、景気も停滞しているが、その一方で原油価格や食料品など、一部の商品は値上がりを続けている。まさに、不況下のインフレが少しずつ続いている状態で、今後は不況下のインフレ=スタグフレーションを心配したほうがよさそうだ。超円高で、あまり輸入物価が上昇していないのは幸いだが、日本だけは例外というわけにはいかない。
.いまの世界経済は、おそらく欧州債務危機などによる「無秩序なデフォルト」を何とか避ける方法を模索すること。そして「スタグフレーション」とどう戦えばいいのか、その処方箋を求めているのだと考えられる。無秩序なデフォルトは起きてしまったら、最低でもリーマンショック程度の経済危機を覚悟すべきだし、スタグフレーションは価格が上昇すると考えられる金などの貴金属を持つぐらいしか防衛策はない。
ちなみに、イラン問題だが、日本の原油の8割がホルムズ海峡を通過することを考えると、やはり身構えずにはいられない。日本の石油の備蓄量は、2007年 2月末現在で民間企業などが国内消費量の83日分、国が94日分あるそうだが、仮にイランとイスラエルの衝突を中心とした中東戦争になったとき、日本国民の生活はどうなるのか。いまの民主党に、そうしたシミュレーションができているのか、かなり疑問だ。
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経済ジャーナリスト。著書「手に取るように銀行がわかる本」など