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「ニュース女子」東京MXが辛淑玉さんに謝罪も「DHCテレビ」は開き直る(岩本太郎)

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記者会見する辛淑玉さん(左から2人目)。右から佐高信氏、上野千鶴子氏ら。(撮影/伊田浩之)

記者会見する辛淑玉さん(左から2人目)。右から佐高信氏、上野千鶴子氏ら。(撮影/伊田浩之)

東京メトロポリタンテレビジョン(MX)が昨年1月、沖縄県の基地反対運動をデマでおとしめる情報番組「ニュース女子」を放送した問題は、同番組で批判された「のりこえねっと」共同代表の辛淑玉さんに対し、MXの伊達寛社長らが7月20日に直接の謝罪を行なったことで一つの節目を迎えた。

番組の放送から既に約1年7カ月もの時間が過ぎてしまったとはいえ、問題の番組を放送したテレビ局のトップが過ちを認め謝罪したことは、辛さんを始め、これまで抗議の声をあげ続けてきた関係者のみなさんの努力の賜物といえるだろう。

とはいえ謝罪を受けた面会の後に開かれた記者会見で辛さんが涙ながらに語ったように、MX側は沖縄で基地建設反対運動に関わる人々への謝罪は依然行なっていない。なにより同番組を作った制作会社「DHCテレビジョン」(放送当時の名称は「DHCシアター」)は謝るどころか自らには何の落ち度もないといった態度を今もとり続けている。

辛さんほか関係者は今後、DHCテレビジョン(DHCテレビ)および「ニュース女子」で司会を務めた長谷川幸洋氏(当時『東京新聞』論説副主幹)を提訴する意向を表明している。MXから謝罪を勝ち取ったうえで、ようやく「真の敵」ともいうべきDHC側との戦いに踏み出せる格好が整ったともいえる。だが、正直この「第二幕」もかなり厳しい状況が待ち受けているのではないか。

MXの苦難の歴史

辛淑玉さん(左)に謝罪する東京MXの伊達寛社長。(提供/島崎ろでぃー)

おそらく多くの放送業界関係者が「ニュース女子」問題をめぐる経過を見ながら抱いている感想を一言でいうなら「確かにMXは悪いけど、ことさらMXだけを責めてもなあ……」というあたりではあるまいか。

前述の通り「ニュース女子」はDHCテレビと制作会社「ボーイズ」が共同で制作のうえ、これまでにMXのほか各地の民放テレビ約30局(他にBSやDHCシアター独自のネット配信など)で放送してきた、いわば「持ち込み番組」だ。こうした形態は放送業界では通販番組などで昔からおなじみのものである。

無論、免許事業者として自らが日々の放送に使っている公共の電波でそれをオンエアしたからには局側の放送責任も問われるし、だから今回もBPO(放送倫理・番組向上機構)において問題視されたわけだが、えてして通販番組に発生するトラブルをめぐり放送局と通販業者との間で責任の所在が曖昧にされてしまいがちなケースと、ある意味で同根の問題がそこにはある。

では、今回の「ニュース女子」のような問題が他の日本テレビやフジテレビのような大手キー局でも起こりえたかといえば、おそらくそれはなかっただろう。「ニュース女子」はMXでは月曜22時台のプライム枠の放送だったが、さすがにキー局はそんなメインの時間帯で危なそうな持ち込み番組を編成しなければならないほど経営的に追い込まれているわけではない。

他方、地方局ではゴールデンやプライム枠はキー局発のネット番組が入るし、実際「ニュース女子」もMX以外の地方局では、いずれも営業的に苦労している深夜帯での放送ばかりだ。

ならばなぜMXはそんな番組をプライムで放送したのか。その理由は同局が23年前の開局以来歩んできた苦難の歴史に求めることができる。

東京・麴町のMX本社前で番組放送後から抗議活動を続けてきた方々の間からは「昔のMXは労働運動やホームレス支援活動なども積極的に報じてくれたのに」と惜しむ声が聞かれたものだが、実際1995年11月に開局した当初のMXは24時間ニュース専門局をコンセプトに掲げ、小型カメラを携えたビデオジャーナリストが、都内の各地で日々起こる話題を機動力を生かして取材・報道するという極めて先進性に富んだテレビ局だった。しかし経営陣のゴタゴタ、問題のある営業担当者による悪行などから営業的には当初から大苦戦。優秀なジャーナリスト志向の記者たちが辞めていく中、一時は主要なスポンサーはもちろん自前での番組制作力もないような苦境へと陥ってしまったのだ。

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