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訂正:アングル:逼迫する雇用需給、賃金より「働き方」 企業に変革も


[東京 9日 ロイター] - 都内の外食産業に勤務している原田美咲さん(24)はアパレルメーカーへの転職を考えている。動機は、給与面の待遇だけではない。「お金か、フレックスタイムか、と聞かれたら、フレックスタイム」と話す彼女が求めるのは、生活の質の改善だ。労働者の求めるものが変わりつつある中、深刻な人手不足も相まって、採用する側の企業も変革を迫られている。

厚生労働省によると、今年6月の有効求人倍率(季節調整値)は1.62倍と、44年4カ月ぶりに1.6倍台となった前月をさらに上回った。

総務省が集計している労働力調査では、同月の完全失業率は2.4%と4カ月ぶりに悪化したものの、その水準は依然として低く、企業の人手不足感は色濃い。

こうした中、柔軟な勤務形態や企業内の託児所、それに家賃補助などの福利厚生は、働き手にとって、賃金とともに重要な条件とみなされている。欧米諸国では一般的な「特典」も、日本では広がり始めたばかり。日本は最近まで、職の安定や緩やかな昇給と引き換えに、雇用主に忠誠を誓う文化が根強く残っていた。

企業にも変化が訪れ始めた。トヨタ自動車は4月、愛知県豊田市の本社工場近くに事業所内託児所を開業。

人材獲得の競合を避けるため、首都圏からあえて離れた場所にオフィスを開設した例もある。ジェイテクトIT開発センター秋田の今井深見代表取締役は、秋田県に拠点を設けた理由について「ソフトウェア開発人材を採用する上で、同業他社が少なく有利」と説明する。

一方、同じく自動車部品のサプライヤーであるデンソーは逆の手法を取る。同社は今年4月、東京都港区に自動運転などの研究開発を行うための拠点を設けた。本社のある愛知県よりも、東京の方が専門性の高い技術者が集まりやすいと判断した。

<適応を迫られる企業>

国立社会保障・人口問題研究所は、2015年に1億2709万人だった日本の人口が50年後の2065年に8808万人に減少すると推計。このうち生産年齢人口は4529万人と、3000万人余りの大幅減になると予想されている。

一部の企業では、すでに人手不足の影響が出始めている。東洋紡は、フラットパネルディスプレイに使用するフィルムを増産する必要があるとしているが、生産ラインを十分確保できていない。

企業側にとっては、従業員の退職を食い止めることも喫緊の課題だ。航空機メーカー向けに機体の組み立てなどを行う大起産業は、ベテランの職人が後輩を個別に指導する「メンター制度」を導入し、離職者をゼロにした。

求人メディアの運営等を行うインターワークスの笹生剛志メディア&ソリューション事業部長は「給与のみでは人材獲得が難しい状況になってきた」と分析する。製造業に興味のある多くの求職者の間では、給与だけではなく、仕事環境も重視する傾向が強まっているとの見方を示す。

外国人労働者の存在に加え、ロボットや人工知能(AI)などの先端技術活用も、人手不足への対応策となりそうだ。

マツダのサプライヤーなどが参加するロボット技術の研究会「ひろしま生産技術の会」で会長を務める鵜野政人氏は「24時間・365日の無人稼動」を目指すにあたり、ロボットやAIの発展が不可欠と説く。その上で「生産性向上と人手不足への対応の両方の課題解決につながると考えている」と強調した。

*9日配信の以下の記事で、本文9段落目に誤った内容の記述がありました。該当部分を削除し、訂正します。

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