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元請けと下請け

元請けと下請けは日本の歴史の一面として語りつくせないほど奥が深いテーマだと思います。ところが案外これを研究したものは一般には少ない気がします。これをお読みの方も元請け、下請けの枠組みの中で仕事をされている方も多いことでしょう。そのあたりを今日は少し考えてみたいと思います。

私は二度、元請けを経験しています。一度はゼネコンにいた時。もう一度は自社で不動産デベロッパーをしていた時です。両業種とも典型的な元請けであり、多くの協力業者をうまくコントロールし、工期、予算、安全、品質などに最新の注意を払いながら施主やクライアントに契約に沿った物件をお届けするという仕事です。

その体質上、いわゆる管理業務が主体になりますが、ゼネコンの現場社員は現場に出て管理指導することがほとんどで事務所仕事する時間は限られてます。デベロッパーの時は事務所の管理業務が主流でありました。

先日、工事現場で大きな火災があり、多数の死傷者が出る事故がありました。ウレタンに溶接の火花が飛び散ったことで完成間際の物件が燃えてしまったわけです。これなどはゼネコン側の非が問われやすい典型的事故でしょう。勿論、保険は掛けているでしょうけれど、溶接の火花から生じた会社の損失はあまりにも大きいことになります。

私がデベロッパーの仕事を辞めた一つの理由は潜在的資金負担が私の身の丈を超えるというリスクを認識したからです。私も事故を起こしたことがあります。完成間際の建物の最上階で水道管を飛ばし、工期が3カ月遅れる失策をしたのです。勿論、直接的損失は保険が出ますが、払い戻しがすぐに全部出るわけではなく、金策に非常に苦心いたしました。身をもって元請けの意味の重さを感じたわけです。

元請け業務を25年もやっていると元請けに求められる素養も感じ取ることができます。一言でいうと「おやじ力」なのだと思います。「おやじ」に求められるものは指導力と失敗した時の叱責と愛をもったフォローアップでしょうか?

協力会社に無理強いをし、挙句の果てに「お前はクビだ」なんていう下請け哀愁物語はドラマなどでたまにありますが、そんな元請けはリーダーシップではなく、単なる体育会系のしごき以外の何物でもありません。

日経ビジネスに公正取引委員会の杉本和行委員長のインタビューがあります。その中で公取が市場の番人として目を光らせる一方で企業の自由な事業展開のハードルを下げていかねばならないと述べ、「ただその場合でも企業がより挑戦的な姿勢を持ってくれないと効果は上がりません。このままでいくと日本企業は全部下請け企業になってしまうのではないかと心配しています」とあります。

つまり、企業側の挑戦を促し、元請けとしての能力を高め、世界でその指導力を発揮すべし、ということかと思います。

日本はよく「サル山の大将」の話が出てきます。一国一城とも言います。しかし、近年の資本主義は近隣との共存ではなく、弱肉強食という過激な競争社会へと変貌しています。戦国時代にあった「誰につくか」というあの話と同じです。現代風に言えばアライアンスを組み、負けない連携を作りながらリーダーとしての地位を維持し続けるということでしょうか?

それは相手を貶めるのではなく、上手く能力を引き出しながら組織の強大化を図るとも言えます。日本が持てる能力は相当高いはずですが、下請けや小さな元請けにとどまってしまっている方は多い気がします。時代が変わりつつある今、もっと協業して日本企業は難攻不落、という体質づくりができればと思っています。

では今日はこのぐらいで。

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