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『ウルフ・オブ・ウォールストリート』ばりの価格操縦がバイナンスを舞台に繰り広げられている ウォールストリート・ジャーナルの分析から

ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が今年1月から7月末までの仮想通貨取引のデータをチャット・アプリでの会話と突き合わせることで価格操縦の実態を記事にしました。

そこではまずWSJがテレグラム(Telegram)ならびにディスコード(Discord)というチャット・アプリで暗躍するトレード集団をスクリーンし、105のグループを特定しました。そしてチャット履歴を辿り、「買い指示」が出た仮想通貨に関し、その指示が出た前後の価格の動きを分析しました。サンプルになったのは121種類の仮想通貨です。

その結果、このような相場操縦が8.25億ドルの売買代金に相当するトレードを引き起こしたと結論付けています。

普通、そのような「買い指示」が出た通貨は、その直後に暴騰します。上昇幅は+50%くらいのときもあれば+100%を超えるケースもあります。

しかしそのような急騰はほんの一瞬、つまり「買い指示」が出た後1・2分の出来事であり、すぐ誰かが大きな売りを浴びせるので価格は元の水準の方へ下げてゆきます。このような「持ち上げ」と「処分」のことを、Pump & Dump(パンプ・アンド・ダンプ)と言います。

この場合、仕掛ける本尊は機敏に売り抜けるので儲けることが出来ますが、のろまな個人投資家の多くは高値を掴まされ、瞬時で大損をこうむるわけです。

WSJはこれを映画『ウルフ・オブ・ウォールストリート』を引き合いに出して説明しています。

なお株式市場でこれをやると証券法違反になります。実際、『ウルフ・オブ・ウォールストリート』の実在のモデルであるストラットン・オークモント証券のジョーダン・ベルフォートは裁判で罪状を認めています。

ポイントはニューヨーク証券取引所(NYSE)などの連邦政府に監督されている取引所でこのようなことが起きると米国証券取引委員会(SEC)が踏み込むわけだけど、バイナンスなどの海外の仮想通貨取引所の多くは規制が緩い、もしくはそもそも規制されてない関係で取り締まることすらできないという点です。

もちろん、そのようなゲームにみずから進んで参戦し、「養分になる」のは個人の勝手でしょう。ただそういうワルサは何もブロックチェーンを使わない市場でも昔から行われてきたことであり、これはイノベーションとは無縁、たんなるマネーゲームです。

このようなことはブロックチェーンのイノベーションにとってdistractionでこそあれ、仮想通貨の草の根的な普及には何の役にも立たないと思います。

【お知らせ】
広瀬隆雄のnoteもよろしく。

お問い合わせはhiroset@contextualinvest.comまで。

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