- 記事
05月16日 14:50
日本の法律はガラパゴス

国交省は、関越道で7人が死亡したバス事故を受けて、バスなど公共交通の安全を確保するための「検討チーム」を設置し、どういう方向性で取り組むべきかの協議を始めたと言う。 子供でもあるまいし、今更「ど...

2011年10月の保育所入所待機児童数は48,356人で2010年に続き増加し、同年同月より2,298人増加しました。
このような空きがないために保育園に入ることができない「待機児童」の解消策として打ち出された「子ども・子育て新システム」です。
野田政権・民主党が2012年1月6日に正式決定した「社会保障・税一体改革素案」の中でも、消費税増税で生まれた財源を重点投入する“目玉施策”に位置づけられています。
政府の作業部会が1月31日に「新システム」の基本制度案をまとめたのを受け、野田政権は「子ども・子育て支援法案」「総合こども園法案(仮称)」を3月中旬に国会に提出する予定です。
しかし、この新システムには、冒頭の本が指摘する、様々な問題点があります。

現在、保育園は厚労省、幼稚園は文科省が管轄しています。民主党政権は幼稚園と保育所を一体化=幼保一体化して“二重行政や待機児童を解消”することを目的に掲げてきました。
ところが、結局今回のこの案では、一体化する「総合こども園」のほかに、幼稚園と3歳児未満の乳児保育所を残すこと になってしまい、下のように、それぞれ内閣府、文部科学省、厚労省が所管する三重行政が生まれるのです(苦笑)。
これって結局、文科省と厚労省が権益を手放さない上に、内閣府まで手を出してきたと言うことでしょう。

しかも、この新制度案では、市町村の保育実施義務を明記した児童福祉法24条が削除され、保護者と施設とが直接契約を結ぶことになっています。また、当面、施設が不足している間は、市町村が利用調整し、保護者に利用可能施設を「あっせん」するとされています。
しかし、施設が足りず「あっせん」されなかった場合、市町村にその子の保育を確保する責任が生じるかについて、政府は明確に答えていません。
さらに、一体化の“売り”だったはずの待機児童解消もほとんど見込めません。待機児童の8割以上を占めるのは3歳未満児ですが、一体化する「総合こども園」には3歳未満児の受け入れを義務付けないからです。
そもそも、下の厚労省公表のグラフのように、幼保一体化の先取りである認定こども園を作っても、待機児童は増え続けています。こんなシステムが役立たずなのは明らかです。
要は、余計な権益にお金を使わず、保育園を増設すれば良いのです。

(厚生労働省ホームページより)
この「総合こども園」全面解禁を前に、一部の地域で始まっている企業による保育園運営が頓挫し、企業参入のリスクの高さを浮き彫りにしています。
今年問題が発覚したのは横浜市中区の「馬車道保育園」(横浜市認可)です。
保育士の相次ぐ退職や保護者の苦情で運営が困難になったことから2009年12月に別の大手企業に事業が丸ごと譲渡されたものの、元の企業の親会社による税金滞納で、園舎となっているビルは、現在、財務省や横浜市から差し押さえを受けているのです。
もともと馬車道保育園を運営していた企業は2005年4月の同園開設とともに保育事業に参入し、2006年4月には横浜市港北区に同じく市認可の「ゆめみらい保育園」を新設しましたが、参入から4年余りで保育事業から撤退を余儀なくされました。
横浜市は運営費として2園に前払いしていた金額のうち、閉園後の分1千数百万円余りの返還を求めているのですが、回収は困難になっていそうで、横浜市によれば、これとは別に2園で少なくとも6千数百万円以上に上る運営費の使い道がわからない状態になっているというというのです。
これまでの法制度では、民間企業が認可保育園を開設する方法としては、(1)非営利の社会福祉法人を設立する方法、(2)企業自らが参入する方法の二つしかありません。
しかも、後者の場合でも、自治体からの運営費は原則として保育事業に支出しなければならず、株式配当に転用することは事実上不可能になっていますし、また、運営費を建物の賃借料の支払いに回すことについても厳格な規制が設けられています。
このようなルールがあるのは、運営費は原則として子どもの保育に使用すべきものとされているからです。利益捻出の目的で職員の賃金や遊具、給食などへの支出を削ることになった場合、保育の質に悪影響を与えるおそれがあるとの考えに基づきます。
このように、営利目的での認可保育園運営は容易ではないような制度設計になっています。
ところが、横浜市では、待機児童対策を目的に企業立の認可保育園の誘致を積極的に進めてきました。
公立保育園の廃止および社会福祉法人への譲渡が年間4園のペースで進められる一方、横浜市では2011年4月現在、市内459カ所の認可保育園のうち、88カ所が企業立になっているのです。そして横浜市は企業を誘致するために、保育園の賃借料や内装工事費の一部を補助する仕組みも設けています。
まさに、野田民主党政権が強行しようとしている子ども子育て新システムと「総合こども園」の先取りです。
ところが、案の定、下の本で警告されていたように、十分な財務基盤を持たず、運営能力が乏しい企業にも保育園開設を認めたことが裏目に出ているわけです。
馬車道保育園運営企業の社長は、週刊東洋経済2012年1月21号で、「別事業への流用など不正な支出はいっさいない」と説明していますが、本来認められていない、保育園会計から企業の本部会計への年度をまたがった多額の貸付金があることも判明しています。
そして、そもそも経理関係の書類の多くは残っておらず、詳細を確認するすべもなくなっているというのです。

これまでにも、補助金の水増し請求や外車購入などへの不正流用、突然の全園閉園などの不祥事が企業経営の保育園で発覚しているのです。
にもかかわらず、政府は企業の本格参入以外に有効な待機児童解消策はないとして、保育に関する規制の多くを撤廃しようとしています。
新制度案は批判が出るたびに修正を繰り返し、複雑な制度設計になりました。しかし、一貫して変わらないのが施設と利用者の直接契約、利用者補助方式です。
冒頭にも述べたように、直接契約によって、市町村は保育を実施する当事者からはずれます。児童福祉法24条の、市町村は保護者から申し込みがあったときは「保育所で保育しなければならない」との文言も削除し、国と市町村が保育を提供する責任を放棄します。
「新システム」では、市町村の役割は保育の必要性の認定と利用料の一部補助だけになり、保育の供給量や質は市場原理にゆだね、児童福祉としての公的保育を解体し、市場任せの“商品”に変質させるのです
私企業の参入ルールも大幅に緩和し、職員配置基準など一定の要件を満たしていれば、原則としてこども園の指定を行う一方で、事業からの撤退については、事業者の自由意思で撤退可能な仕組みとするというのです。
下の本にあるように、保育事業で儲けを出して株主配当に充てることは、即、保育の質の低下につながりますし、そもそも株式会社立の保育園では、最低基準ぎりぎりでの運営を求める株主と、子どもや保護者、保育士の利害は一致しないのです。

(保育の「市場化」と公的責任 自治体研究社 杉山 隆一)
待機児童解消のための決定打は、民主党の株式会社立総合こども園以外にもあるのです。
たとえば、かつて1970年代に実施された手法では、1970年度からの10年間で認可保育園は7000カ所以上も増加しました。
それは、国が保育園の緊急整備計画を策定し、国と自治体の責任で小学校区ごとに一定の数の保育園を設置する方法です。その際、自治体または社会福祉法人による非営利を原則とすべきとしています。
民主党政権は2009年の衆議院選挙で「チルドレンファースト」(子どもが第一)を掲げて大勝利しました。
この子育て支援改革は、政府・与党が進める「税と社会保障の一体改革」の一環で、新システムは「恒久財源を確保しながら実施」と明記されています。恒久財源とは何かというと消費税増税のことで、1兆円余りの実施費用の内、消費増税分で年間7000億円の追加財源の確保を見込んでいます。
政府は消費税率が10%に引き上げられる2015年度に新システムの本格実施を想定しています。
つまり、消費税増税法案が成立しなかったら実施しないというわけです。
生活が第1といいながら消費税増税、子どもが第1といいながら、何時つぶれて逃げ出すかわからない株式会社立こども園。
下の本にあるように、また子どもと保護者が泣くことになりませんか?
はやく民主党の方がつぶれて消えてしまった方が良いのではないですか?

話題の記事をみる - livedoor トップページ





