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おじさんおばさんの「横着」について思うこと

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 先日、FNNプライムニュースさん関連でインタビューをお引き受けする機会があって、拙著『「若者」をやめて、「大人」を始める』について色々な話をした。
 
 その後、身の回りで色々な出来事があって、おじさんやおばさんの「横着」について(どちらかといえば肯定的に)考える機会があったので、紹介がてら、ちょっと書き残しておく。  

「歳を取ったら横着できる」の意味がわかるようになってきた

横着
1 すべきことを故意に怠けること。できるだけ楽をしてすまそうとすること。また、そのさま。「横着を決め込む」「横着なやりかた」「横着して連絡しない」
2 わがままで、ずうずうしいこと。ずるいこと。また、そのさま。
(goo辞書より)

 私が十代の頃から、四十代、五十代の人々が「歳を取ると横着がきくようになるよ」「あの人、自分の年齢を意識して横着した」といった言葉を耳にすることがあった。歳を取ると、すべきことを故意になまけたり、楽をして済ませることができる……という意味が、当時の私にはいまひとつわからなかった。
 
 ただ、年を追うにつれて、私もなんとなく「歳を取ると横着ができる」の意味がわかってきた、ような気がする。
 
 十代の頃は、とにかく目の前の現実を生きること・生き残ることに精一杯だった。今から思えば些細なことにも一生懸命にこだわって、笑ったり泣いたり怒ったりしていた。思春期のありかたとして、それは自然なことだったのだろう。二十代の頃もそれはあまり変わらない。覚えなければならない仕事はあまりにも多く、コミュニケーション能力をはじめ、社会人として求められるものがあまりにも多かった。とうてい、横着もクソもあったものではなかった。
 
 それが変わり始めたのは三十代になった頃からだ。
 
 二十代の頃は全神経を集中させなければならなかった事柄が、あまり頑張らなくてもこなせるようになった。仕事のなかでもルーティンにあたる部分は、短時間に片付けられるようになった。衣服を買うこと・大人向けの飲食店でそれらしい食事をとること・ラッシュアワーの山手線に乗ること──そういった日常の細々とした行動に際して、頭や身体を使う度合いが少なく感じられるようになった。緊張したり肩ひじ張ったりしないで済むようになった、とも言えるかもしれない。
 
 「歳を取るとは、若さを失うことで、可能性を喪失することだ」と捉える人がいる。
 それはそれで事実の一面なのは否めない。
 

シロクマ

「若者」をやめて、「大人」を始める 「成熟困難時代」をどう生きるか?

 

 だが、実際に三十代になってみると、若さと引き換えに身に付けた経験によって、できることが大幅に増えていた。二十代の頃には100の力が必要だったことを40ぐらいの力で片付けたり、三か月はかかったであろうタスクを一カ月でこなせるようになった。生涯、という尺度でみれば確かに可能性がすり減っているのだろうけれども、二十代の頃と三十代の頃を比べると、一年あたりでこなせることは圧倒的に三十代のほうが多い

 少なくとも私の場合、子育ても、書籍やブログの執筆も、若さと引き換えに手に入れた経験によって成り立っている部分が大きく、到底、若けりゃできるってものだとは思えない。
 
 さらに歳を取り、四十代になると、なるほど、横着の世界が見えてきた気がした。

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