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オウム死刑執行 今も残る教義、今後の「教団」は?

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 オウム真理教の元教祖・麻原彰晃(本名:松本智津夫)死刑囚の死刑が執行された。逮捕から23年だった。一時は1万人以上の信者を抱えた教団も、今では「アレフ」「ひかりの輪」など後継団体に分派している。「教祖の死刑」を受け、麻原元死刑囚を神格化した信者らがテロなどの暴力行為に及ぶのではないかと懸念する見方がある。元公安調査庁東北公安調査局長で日本大学危機管理学部教授の安部川元伸氏に寄稿してもらった。

[写真]オウム真理教の元教祖、麻原彰晃(松本智津夫)元死刑囚(ロイター/アフロ)

 2018年7月6日朝、松本サリン事件、地下鉄サリン事件、その他の重大犯罪に関与し、2006年に死刑が確定していたオウム真理教の元教祖・麻原彰晃の死刑が執行されました。ほぼ同時に、当時の教団の幹部だった6人も執行されました。筆者はまず、死刑執行に絡んで、教団関係者らによる不穏な動向、死刑制度に反対する内外の批判が予測される中、決断した上川法務相並びに法務省首脳の「法治国家の根本を守り抜く」という強い信念に敬意を表したいと思います。

 オウム真理教という、未曽有の無差別大量殺りくを引き起こしたテロを行った組織については、これまでも外国政府の専門家や我が国の有識者により、その不可解な組織の実態と教祖・麻原彰晃に焦点を当てた論議が数多く行われてきました。筆者も、当時の記憶をたどりながら一連の事件を紐解き、筆者なりにオウム真理教の謎を追ってみたいと思います。

教祖・麻原の少年時代と巨大教団

 麻原元死刑囚は熊本県出身で生まれながらにして片目が見えず、もう一方の目は弱視でした。そのため、小学校から盲学校に通いその後、鍼灸師の道を歩むことになります。中学生のころから粗暴な性格が目立つようになり、自分よりも障害が重い全盲の同級生に暴力を振るい、力で同級生をねじ伏せて自分に服従を強いて一人悦に入るという少年だったといわれています。

こうした粗暴な性格が、その後の麻原の人格形成期に大きな影響を与えたと考えられます。さらに、麻原少年の性格の重要な要素と考えられることに、異常なほどのプライドの高さと、自身を愚弄した相手に対して強い怨念と復讐心を抱くということがあると思われます。

 そう考えていくと、麻原が教祖として個人が受けた屈辱への報復をどのような手段を弄しても果たそうとしたことが理解できるのではないでしょうか。最盛時には1万人を超える信徒に完全服従(絶対帰依)を強い、善悪も判断させないようにして殺人をも平然と行うような“ロボット”を作り上げたのでした。

 オウム真理教は、当初は「衆生救済」の思想で純粋な宗教活動を行い、古い幹部たちは麻原の宗教観や神秘性に魅かれて入信していったと考えられています。しかし、麻原のあまりに強欲で身勝手な教団運営に途中から疑問を感じるようになった信徒もいたと思われます。麻原が信徒に自我を消滅させるほどの厳しい修行を強要し、薬物なども使って暗闇に何日も閉じ込め、恐怖体験をさせて洗脳していくという方法も修行と称して日常的に行われていました。

 このような通常では考えられないような非人間的なやり方も、全ては麻原の個人的欲求を満たすためのもので、それを信徒に疑問も持たせず実行させるためだったのでしょう。

宗教団体がテロ集団に変貌した瞬間

 1990(平成2)年2月に衆議院選挙が行われました。麻原は自分の欲望を満たすために、教団から自分を含め25人の候補を立てて国政に乗り出そうとしました。選挙キャンペーン中のマスコミインタビューに自信たっぷりに全員の当選を吹聴する麻原は、大真面目に政権奪取を視野に入れていたように見えました。しかし、結果は全員落選でした。当時から有権者はオウムの欺瞞性、独善性に十分気づいていました。いくら嘘で固めた言い訳をしても世間の目を欺くことはできませんでした。

 この時点で麻原のプライドはズタズタになったのでしょう。選挙妨害をされたと妄信して社会への復讐を誓ったのもこの頃と考えられます。猛毒ガスのサリンやVXなどの大量破壊兵器を製造し、自作自演の「ハルマゲドン」が来ると予言しました。こうしてオウム真理教は無差別テロを含む一連の事件を引き起こし、破滅へと向かったのです。

 近代国家では、このような大罪を犯した犯罪者は法で裁かれるのは当然です。虚言や黙秘だけで裁判まで誤魔化すことはできません。その意味で今回の7人の死刑執行は極めて理にかなった正しい決断だと思います。

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