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アングル:貿易戦争による人民元安、最も直撃受けるのはどこか


[ロンドン 11日 ロイター] - 中国人民元は、米中貿易摩擦の激化で中国の景気が悪化して資本流出が起きるとの懸念から売られ、6月の下落率が月間で過去最大となった。中国人民銀行(中央銀行)は人民元相場の安定を図るため市場介入に踏み切ったが、トレーダーの多くは効果は一時的とみている。

人民元の秩序だった下落は、中国にとって米制裁関税の影響を和らげるのに役立つ。しかし中国が世界の全輸出に占める比率は20%近くに達しており、人民元が急落すればアジアや中南米のみならず欧州にも影響が及ぶだろう。

人民元安の直撃を受けそうな市場をチャートで点検する。

●欧州を含む全世界に打撃

中国は世界貿易における存在感が絶大で、中国の景気減速すればほぼ全ての国に影響が波及する。ソシエテ・ジェネラルのストラテジスト、キット・ジャックス氏は「地政学的に中国との距離が近いほど影響は甚大だ。しかしすべての国が大きな影響を受ける」と話す。

欧州諸国も例外ではなく、特に輸出依存度が高いドイツはリスクが高い。既にドイツの主要株価指数は汎欧州株価指数をアンダーパフォームしている。

欧州連合(EU)諸国は貿易全体に占める中国の比率が15%強で米国とほぼ同じ。ユーロは6月初めから対人民元で4.5%、対ドルでもほぼ同じ率で上昇しており、中国向け輸出を手掛ける域内企業を圧迫している。

人民元安のペースが緩慢ならば他の通貨への影響は限られそうだ。半面、人民元が景気減速や資本流出によって10%ないし20%急落すれば、コモディティが値下がりし、世界的に貿易が縮小して中国の需要に依存しているすべての国に打撃が及ぶのはほぼ確実だ。

●近隣アジア諸国

アジア諸国は輸出面で中国の需要への依存度が高い。既に米制裁関税による中国経済減速の見通しとドル高により痛みが生じている。

台湾ドル<TWD=>の対米ドル相場は6月初旬から2.5%下落。韓国ウォン<KRW=>は4.8%、タイバーツは<THB=>は4%、インドネシアルピア<IDR=>は3.4%それぞれ下げた。

TDセキュリティーズは、日本と韓国、台湾は中国向け輸出が多く、とりわけ通商関係悪化の影響を受けやすいが、円は資金の安全な逃避先となるため売り込まれることはないとみている。一方、韓国ウォンや台湾ドル、タイバーツ、シンガポールドルなどアジアの低利回り通貨は影響が避けられず、経常赤字を抱えるフィリピンペソやインドネシアルピア、インドルピーも引き続き痛みを被ると予想した。

●コモディティ輸出国

中国は銅、石炭、アルミなど主要コモディティで世界最大の消費国となっており、中国経済が減速して需要が鈍ればコモディティ関連通貨は直撃を受ける。既に6月初旬から7月初旬にかけて豪ドル<AUD=>は対米ドルで3.4%下落し、ニュージーランドドル<NZD=>も年初来で4%下げた。ブラジルレアル<BRL=>も年初来で18%下げている。

バンク・オブ・ニューヨーク・メロンの市場戦略チームヘッド、サイモン・デリック氏は、オーストラリアは鉱業が中国の需要頼みの部分が大きいので、中国リスクを測る目安になると指摘した。

●新興国

新興国は今年に入ってからドル高と景気の先行きに対する不安に見舞われており、厄介な時期に人民元安に襲われた。人民元安の進行はドル高に拍車を掛ける形になっており、ソシエテ・ジェネラルのジャックス氏はドル上昇加速リスクがあると指摘する。

ドル高が進むと新興国は調達コストが上がって景気を圧迫するほか、債務負担も重くなる。

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