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米中関税戦争、ハイテクをめぐる覇権争いも - 岡崎研究所

 6月15日、トランプ政権は、中国からの輸入品 1,102 品目、500億ドル相当に対して、25%の制裁関税を課すと発表した。まず 7月6日に340 億ドル分に関税を課し、残りの160億ドル分については、後に関税を課すとしている。 

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 注目されるのは、4月に発表された原案と比べて、ハイテク関連品を重視したものとなっていることである。原案からテレビなどの消費者向け汎用品などを削除し、その代わりに、光ファイバー、計測機器、電子部品の製造装置などハイテク産業関連品目が追加された。 

 これは、「中国製造2025年」(「メイド・イン・チャイナ 2025」)を念頭に置いてのことと報じられている。 

 「中国製造2025年」は、中国政府が2015 年に発表した産業高度化に向けた長期戦略である。低コストで大量生産する現在の「製造大国」から、2025年に「製造強国」、建国百周年の 2049年に「世界トップ級の製造強国」を目指すとしている。トランプ政権は、「中国製造2025年」を、ハイテク分野で米国に追い付き追い越そうとしている戦略とみなしている。USTRのライトハイザー代表は、そのために中国政府がハイテク企業に補助金を出したり、外国企業から先端技術を奪おうとしたりしているのは問題である、と批判した。 

 6月15日に米国が追加した制裁関税対象品目は、中国が「中国製造2025年」で重点投資する分野の産業関連である。 

 このように、トランプ政権の対中制裁関税付与は、当初の貿易赤字削減から、ハイテク分野での米中の覇権争いの様相を呈してきている。 

 トランプ政権は「中国製造2025年」自体を批判しているが、産業政策それ自体は批判されるべきものではない。欧州諸国も日本も実施してきた。問題は、その手段として、巨額の補助金を交付したり、知的所有権を侵害したり、中国に進出した外国企業に技術移転を強要したりすることである。これらの不正な手段は批判されるべきである。 

 実際、この中国の不正なやり方に関しては、日本や欧州諸国も認識を共有している。7月3日付の当コラムでも、「日米欧三極が表明した中国への懸念」と題して取り上げた。

 しかしながら、中国への対抗措置として、関税を使うのは、報復を招くことも含み賢明なこととは思えない。理想的には、中国の不正手段によるハイテク産業育成について、共通の利害を持つ欧州、日本やカナダなどの諸国と米国が協力して、中国に働きかけるのが望ましいだろう。もちろん、日米欧三極通商大臣会合等の試みはあるが、トランプ政権は、貿易問題となると、協力どころか、鉄鋼・アルミニウムに対する関税付与などで同盟諸国とも対立している。 

 いずれにしても、米中の関税戦争は、貿易赤字問題に加えて、ハイテクをめぐる米中の覇権争いの要素が加わり、妥協は容易ではない。米中両国とも関税戦争の弊害は理解していても、当分の間は、話し合いによる落としどころの探り合いをしながらも、貿易戦争の回避は難しいだろう。

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