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医学部入試"女子は男子より不利"の裏常識

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息子を不正合格させるため東京医科大学に便宜を図ったとして、受託収賄の疑いで文部科学省の局長が逮捕された事件。こうした不正はほかの大学でも行われているのか。

フリーランス麻酔科医の筒井冨美氏は、「一部の医大が女子より男子の受験生を優遇していることは、医大関係者の間では常識になっている」と指摘する。医学部受験における「裏常識」とは――。

■医学部受験「女子より男子の受験生を優遇」は本当か

逮捕された、文部科学省の前科学技術・学術政策局長の佐野太容疑者(58)(写真提供=文部科学省)

7月4日、東京地検特捜部は文部科学省の科学技術・学術政策局長の佐野太容疑者を受託収賄の疑いで逮捕した。佐野容疑者は私立大学支援事業の対象校選定の見返りに、自分の子を東京医科大学の一般入試で不正に合格させてもらった疑いがもたれている。

この事件で、東京医科大学の臼井正彦理事長と鈴木衛学長が辞任。特捜部は贈賄側の臼井理事長と鈴木学長についても在宅で捜査している。

▼そもそも、東京医科大学とは?

東京医科大学は新宿駅から徒歩圏内にある私立医大だ。SNS上の書き込みでは「東京医科歯科大」や「東海大医学部」と混同したものを見かけた。一般にはなじみの薄い医大かもしれない。

受験の難度としては「中堅クラスの私立医大」と分類されることが多い。近年、医学部受験は難化しており、それを踏まえると、合格には「早慶理工レベル」の学力が要求されるといえる。

▼医学部受験の裏常識(1)性別:

「男子受験生を優先的に合格させる私立医大」

「学力だけで勝負すれば合格者は過半数が女になってしまう」。筆者は複数の医大幹部からこうした話をたびたび聞いている。一部の医大は性別のバランスを考慮して男子受験生を優遇しているようなのだ。こうした事実はどの大学も公式には認めていないが、医大関係者の間では“常識”となっている。

かつては、「女の子が医大なんか行ったら結婚できなくなる」と敬遠されていたが、近年では「女性が一生働ける」「医師夫をゲットする近道」といった理由で、学力優秀な女子高校生が積極的に医大を受験するようになった。また、昨今の「働き方改革」や「女性活躍促進」といった政策を受け、産休・育休が確保でき、当直・残業は免除する、という医療現場も増えつつある。

しかしながら、医療現場では「男手」の必要なシーンが多い。病気は365日24時間いつ発生するかわからない。大病院であれば必ず当直の医師が必要だ。

とりわけ医大附属病院の運営には、当直可能で元気な若手医師を多数確保する必要がある。また、外科などの多忙な診療科は女医には不人気であり、女医率の上昇に伴い人手不足は深刻化している。

そうした背景もあり、とりわけ私大医学部の入試では、女子に比べて男子を優遇するケースがある。具体的には、小論文や面接などで「男子学生にゲタを履かせる」という手口が多いようだ。実際に、女子のほうが男子より入試レベルが1~2ランク難しくなる、とされる医大は複数存在する。

医学部生の「女高男低」ぶりは、医師国家試験の合格率にも反映されている。過去5年間の合格率は、男性が「87.8~90.7%」であるのに対し、女性は「90.5~93.2%」となっており、一貫して女性が高い。

■裁判所も認めた「合否は大学側が“総合的”に判断」

▼医学部受験の裏常識(2)「年齢」:

「浪人生より若い現役高校生が合格しやすい」

東大や京大など難関校の医学部では、浪人生より現役生の占める割合が高い。「医学部受験ラボ」のまとめによると、直近で東大は77%、京大は71%が現役生だ。こうした傾向の背景には、「若い学生ほど合格しやすい」という事情もある。

2005年には医学部生の年齢をめぐって裁判が起きた。55歳の女性が群馬大学(国立)の医学部を受験。不合格となったが、入試成績の開示を大学側に求めた結果、筆記試験や面接などの総得点が合格者の平均点を約10点上回っていた。女性は「年齢を理由に不合格にしたのは不当だ」として提訴。

だが、大学側は「年齢による差別はなく、総合的に判断した」と反論。前橋地裁は「年齢により差別されたことが明白であるとは認められない」として女性の訴えを棄却した。

医療現場では裁判所の判断に好意的な声が多い。たとえば筆者の知人は「50代で入学しても、研修などを経て一人前の医師になる頃には定年になってしまう。貴重な枠は若い人に譲るべき」と話していた。この判決は、結果的に「特定の学生にゲタを履かせることは違法とは認められない」とも解釈でき、影響は大きい。

▼医学部受験の裏常識(3)「出身地域」:

「都市部より地方の医大のほうが合格しやすい」

地方の医師不足を受け、「卒業後に地元で一定期間(9年程度)働く」といった条件で、一般受験生より早めに合否を出す制度がある。

1997年に札幌医科大(国立)と兵庫医科大(私立)で始まった制度で、2017年度の入試では全医学部定員の18%の1674人分が「地域枠」だった。定員に占める地域枠の割合が最も高い札幌医大は、定員110人のうち82%にあたる90人が地域枠だ。

地域枠の場合、一般枠に比べて入試の偏差値は1~2ランクほど低くなるケースが多い。「受験テクニックを磨きぬいた都会の進学校出身者」よりも「地元高校現役トップ層」を優遇する仕組みだといえる。

▼医学部受験の裏常識(4)「寄付金」:

「かつては開業医のアホ息子が多額の寄付金で裏口入学」

河合塾によれば、現在、国立・私立を問わず医学部の偏差値は65以上となっている。国立トップは東大理科3類の72.5、私立トップの慶應義塾大は同じ72.5となっている。ところが1980~90年頃には「偏差値50以下の私立医大」が実在した。

当時、筆者の周囲では「開業医のアホ息子が多額の寄付金で裏口入学」「面接試験では寄付金の交渉をする」「1点100万」といった話が公然とされていた。

この頃は日本経済のバブル期でもあり、医師以外にも待遇のいい仕事がたくさんあったので、現在のように偏差値の高い高校生が医学部に集中することはなかった。このため新設の私立医大は、学生と金を集めるためにさまざまな手だてを講じたのだろう。

しかしながら、医学部に合格すれば医師になれるわけではない。医大進学の目的は医師免許取得である。この医師国家試験はマークシート式の学力試験なので裏金は効かない。そのため「金持ちアホ学生が、留年や国家試験浪人を繰り返して、無職のまま30代」といった事例もあった。

現在では医学部人気(というか、医師以外のエリート職の凋落)を受けて、地方の私立医大でも偏差値60以上の学生を難なく集めることができる。このためなのか、旧知の医大幹部は筆者に「点数の操作は、小論文・面接の加点レベルにとどまっている」と打ち明けた。

私立医大は「目先の寄付金でアホ学生を入れると、医師国家試験で大変なことになる」ということを思い知らされているので、大幅加点を避けるようになったというのだ。

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