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東京医科大学 今時の裏口入学は決して同大だけの問題ではない 入試の現状を問う

文部科学省の私立大学支援事業をめぐる汚職事件で、前科学技術・学術政策局長は自身の子の入学試験の点数のかさ上げをさせて合格させるという見返りをもらっていた容疑がもたれています。

1次試験から点数加算 前局長の息子、合格点に届かず」(朝日新聞2018年7月7日)
「同大の説明によると、不正があったとされる今年2月の入試は、1次で筆記試験を行い、合格ラインを超えた受験者だけが、2次の面接と小論文、適性検査に進むことができる。1、2次試験ともに、鈴木前学長をトップとする複数人の委員会で合否を決めていた。2614人が受験し、1次で約6分の1の451人に絞られた後、最終的に171人が合格したという。」
 裏口入学というのも時代遅れという感覚を持ちましたが、私が子どもの頃は、普通に「裏口入学」という言葉がありました。

 いしいひさいちさんの4コマ漫画もよく覚えています。

 母さんが息子のために裏口のための入学金を積む、担当者による問題漏洩。

 しかし、息子はその問題が解けない。

 母さんは解答も要求、問題が解けるくらいなら裏口のためのカネは積まないと。

 担当者から解答が手渡される。

 息子はといえば…解答を覚えられないよ…

 母さん、発狂していました。

 これはかつての司法試験問題漏洩事件の手法と同じです。これは前代未聞の事件でした。

 今回の東京医科大学の場合には、問題が漏洩しているわけではなく、理事長、学長が点数のかさ上げを指示していたというのですから、どんなに出来が悪かったとしても「合格」は保障されていたということでしょうか。

 そうなると大学内でもかさ上げされているとわかるような気もするのですが、異論が出ていないということは常態化していたというようにも思えてしまいます。

 それはともかく、今回の点数かさ上げが、それだけの問題なのかということの疑念は拭えません。要は、そもそも大学入試における選抜機能が果たされているのかという問題です。

 入試は、今後の大学での授業を充分に理解できる能力があるかどうかを判定するためのものであり、ひいては医師国家試験に合格できるかどうかの選抜のためのものです。

 医学部には定員があり、その定員を超えて合格させることはできませんが、だからといって点数が低い受験者であろうと定員いっぱい合格させるということも実は問題があります。

 特に医学部の場合は学ぶことも高度ですから、入学できればいいというものでもありません。文系のように講義を受けて適当に試験を受ければ卒業できますから、その大学に入ることが目的となってしまうこともわかりますが、医学部はそうはいかないということです。医師国家試験であれば合格率が高いとはいっても必ず合格できるというものでもありません。受験回数制限こそないものの落ち続けているのであれば問題なしとは言えません。

 既卒者の合格率は低くなります。受験勉強をそれだけやるんだから合格できると思われがちですが、そうはなりません。2018年の医師国家試験の合格率です。


参照

http://ishin.kawai-juku.ac.jp/university/nationaltest.php

 これは法科大学院も同様の傾向があります。司法試験の場合には5回までという受験制限があります。


 歯科医師国家試験も同じようなもので、歯学部の場合には中途退学者の多さも問題の1つです。

歯科医師の過剰問題 厚労省が推計するが果たして実効性ある対応が取れるのか

 医学部の場合には、まだ医師資格というものに対する社会の信頼があるが故に人材が集まってきているので、医師国家試験にすらも合格できない層は少ないとはいえます。

 しかし、他方で授業にはついていけず医師国家試験の受験勉強対策に負われている医学部もあると言われています。なので、医師国家試験の合格率の高いというだけでは問題なしとは言えないのです。

医師「不足」と医学部の定員増と新設

 今回の東京医科大学の裏口入学問題は、医学部の信用を落としたことだけは間違いありません。医師国家試験は基本的には落とす試験ではなく、大学が「甘く」してしまえば、とんでもない「医師」が誕生しかねないからです。大学に対する信頼があって成り立っているのが医師国家試験です。

 医師国家試験なのですが、こうした医師国家試験制度を悪用したものとも言えるのです。

 その意味では文科省は、それぞれの大学の入試状況を総点検すべきでしょう。



 法科大学院過程を修了したというだけでは信頼されていない法曹養成制度と同じにしてはなりません。

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