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トランプ米大統領、最高裁判事に保守派キャバノー氏指名

ドナルド・トランプ米大統領は9日夜、現職判事の引退で近く空席になる連邦最高裁判事の後任に、保守派のブレット・キャバノー判事(53)を指名した。上院の承認手続きが滞りなく進むかどうかが注目される。テレビのゴールデンタイムにホワイトハウスで記者会見したトランプ氏は、ジョージ・W・ブッシュ元大統領の顧問だったキャバノー判事を、「素晴らしい法曹家」とたたえた。

首都ワシントン(コロンビア特別区)の高裁判事を務めるキャバノー氏について、トランプ氏は「非の打ち所のない経歴と比類なき資格の持主で、法の下の正義の平等にこれまでも熱心に尽くしてきた」と説明した。さらに「分かりやすく効果的な文章を書く、素晴らしい法曹家で、現代における最も優れた、鋭敏な法律家と広く認識されている」と、最高裁判事としての適任ぶりを強調した。

ホワイトハウスの記者会見で、キャバノー判事はトランプ氏に感謝し、「この発表に至るまで、米国の司法の役割の重要性を大統領がいかに大事にとらえているか、私は間近で見させてもらいました」、「最高裁判事指名についてこの大統領ほど、広く相談し、この大統領ほど様々な立場の大勢に意見を求めた人はいません」と述べた。

「感謝します。私を信頼していただいて、恐れ多い気持ちでいっぱいです」と判事は強調した。

連邦最高裁は米国の市民生活に重要な影響力を持つ。人工中絶、死刑制度、投票権、移民政策、政治資金、人種偏向のある警察の行動など、激しい賛否両論のある法律について最終判断を示すほか、連邦政府と州政府の争いごとや、死刑執行停止の請求などについても最終判断を示す。最高裁判事は終身制で、死去もしくは引退するまで地位が保障される。

トランプ大統領が最高裁判事を指名するのは2人目。最高裁長官を含めて合計9人の判事の政治的傾向が圧倒的に保守寄りになった場合、その判決はトランプ氏の任期満了後も長く米社会に影響を及ぼすことになる。

上院がキャバノー判事の指名を承認した場合、今年夏で引退すると発表したアンソニー・ケネディ判事(81)の後任となる。

現在の最高裁判事はすでに保守派5人、リベラル4人で、保守派が優勢のため、キャバノー氏が就任しても直ちに大きく傾向が変わるとは限らない。ただし、引退するケネディ判事は同性結婚合法化や人工中絶権支持など多くの重要判決でリベラル派の判断を支持することが多く、「浮動票」として5対4で判決を成立させる重要な役割を担ってきただけに、リベラル派は危機感を抱いている。

トランプ氏が昨年指名したニール・ゴーサッチ判事(50)はすでに、判事9人中最も保守的な判断を重ねている。

現在の最高裁判事9人。赤で囲まれた5人が共和党大統領に指名され、青で囲まれた4人が民主党大統領に指名された

キャバノー判事とは

2006年以来、影響力の強いコロンビア特別区連邦控訴裁の判事を務める。その前はブッシュ政権の顧問だった。

1990年代にビル・クリントン大統領(当時)を捜査したケネス・スター特別検察官の、部下だったこともある。

イェール大学卒。カトリック・イェズス会系高校出身の熱心なカトリック信者で、引退するケネディ判事の下で調査官を経験した。

2009年には「ミネソタ法学論集」に、現職大統領は刑事捜査や民事裁判から免除されるべきだと書いた。

今回のトランプ大統領の指名には、キャバノー判事のこうした主張が影響したかもしれないという指摘もある。2016年大統領選のロシア疑惑とトランプ陣営の関係についてロバート・ムラー特別検察官が捜査を進めるなか、いずれ最高裁が捜査について判断を求められる事態も想定される。

これからどうなる

大統領が指名した最高裁判事候補は、就任に上院の承認を必要とする。

現在の上院(定数100)は共和党51議席、民主党49議席で、わずかに共和党が有利。ただし、共和党重鎮のジョン・マケイン上院議員(アリゾナ州選出)が地元でがん治療を受けているため、共和党が実際に確保できる票数は50票に留まる。

上院本会議での投票の前には、上院司法委員会が公聴会を開いて候補者に質問を重ね、最高裁判事としての適性を確認する。司法委公聴会には長時間かかることもある。バラク・オバマ前大統領が任期末期に指名した判事候補については、上院共和党が公聴会審議を拒否し、結局時間切れとなった。

キャバノー判事は10日にも上院議員との面会を始めると話した。

民主党は特に、人工中絶は憲法が保障する基本的権利だと認定し、人工妊娠中絶を規制する米国内法の大部分を違憲とした重要な1973年最高裁判決「ロー対ウェード事件判決」について、キャバノー判事の立場を追及する見通し。

保守派キリスト教徒を中心とする中絶反対派は1973年以来、判例を覆す最高裁判断を求めてきた。トランプ氏も、中絶権に反対する「生命支持」判事を希望していると発言したことがある。

米国では今年11月に、下院全議席と上院の35議席が改選対象となる中間選挙を控えている。そのため、ホワイトハウスも共和党も選挙前に、キャバノー判事の就任を確保したい構えだ。

(英語記事 Brett Kavanaugh picked for Supreme Court by President Trump

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