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ビットコインを盛り上げて殺した張本人、金融庁「歴代最強の長官」が犯した大罪

森信親金融庁長官が7月に退任します。仮想通貨界隈では「市場を育てた」と絶賛されていますが、振り返れば失策ばかり。足元のBTC下落も金融庁が原因と言えます。(『今市太郎の戦略的FX投資』今市太郎)

※本記事は有料メルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』2018年6月27日号の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め初月分無料のお試し購読をどうぞ。

登録制の採用がそもそもの元凶。一部の投資家は絶賛しているが…


7月に金融庁長官を退任する森信親氏

通常の任期2年を超えて金融庁長官を務めた森信親氏。一時はさらに任期が延長するのではないかとの噂も飛び交ったようですが、この7月にいよいよ退任となります。

その手腕は歴代最強と謳われたものの、いよいよ退任が迫ると結構ボロが出始めました。在任期間3年が終わってみれば、大した存在ではなかったことが顕在化しつつあります。

菅義偉官房長官、麻生太郎財務相など安倍晋三政権中枢の信任が厚く、既存の金融業界からはかなり恐れられた存在のようです。

しかし、森長官が推奨した地銀生き残りのビジネスモデルとされる「スルガ銀行」は、フタを開いてみれば単なる悪辣な不動産業者への不正融資にすぎませんでした。最後に慌てて締め上げただけで、本当に地銀の状況をわかっていたの? と言いたくなるような言動を露呈しています。

そしてなにより、「この人物がいたからこそ大きく市場が形成された」と一時は賞賛された仮想通貨業界も、単なる甘い監督下で滅茶苦茶な取引所が乱立し、結局はこちらもろくな結果にはなっていないことを改めて痛感させられる次第です。

余談ですが森信親氏は、もともと大蔵省の役人でスーパー銭湯での高級時計の窃盗事件で話題になった高橋洋一氏と同期入省です。

「免許制」を取らなかったことが最初の失策

森長官は地銀の活性化と再編を視野に入れるとともに、フィンテックの育成という視点で仮想通貨の市場形成に乗り出したことでも有名な存在です。

仮想通貨クラスタでは、「この人物がいたからこそ本邦の仮想通貨業界が大きく躍進した」と、神のように評価する向きも多いようです。

2017年4月の「改正資金決済法」施行により、仮想通貨は決済通貨として認められたことになりました。そして金融庁は、いち早く仮想通貨交換業者の登録を義務付けることとしました。

しかし、参入を容易にするため、銀行・証券・保険業界のように日本のお家芸であった免許制を見送り、登録制としたことが大きな裏目に出てしまうことになります。

盗難被害のコインチェックほか問題業者ばかり

業界最大手のビットフライヤーなど11社の登録を認め、そこまで要件を満たさない業者さえもみなし登録業者として営業を認めてしまったことが、後々になって大変な事態を招くこととなったのはご存知のとおりです。

コインチェックが580億円もの仮想通貨を流出される事態になってから、おもむろに仮想通貨取引所に対する立ち入り検査を実施しました。

結局、みなし登録業者などはほとんどダメで、6月までに実に15の業者が行政処分を受け、撤退を余儀なくされるところも出始めています。

大手ビットフライヤーにも行政処分

その中で6月19日にはビットフライヤー、QUOINE、ビットバンク、ビットポイントジャパン、BTCボックスを含む仮想通貨交換業5社以上に新たな業務改善命令が出されることとなり、仮想通貨相場に大きな影響を与えています。

とくに今回の業務改善命令で致命的な状況になっているのが、大手であるビットフライヤーです。指摘を受けた同社の「新規顧客受け入れ停止」は、市場参加者にも相当なインパクトを与えました。この影響でビットコインはさらに価格が低迷することとなったのは、言うまでもありません。

ビットコインは日本人が牽引している

仮想通貨市場は世界的に拡大し、そのフラッグシップ的な役割を果たしているのがビットコインであると思われている方も多いようです。しかし、いろいろと調べてみますと、ビットコインは実に60.53%が日本円で取引されており、そのほとんどは日本人によって売買されているのです。

また国内では多様な仮想通貨取引所が営業されていますが、ビットフライヤーを利用したいわゆる仮想通貨FXである「ビットフライヤーFX」を通じた取引が、本邦投資家のほぼ88.5%に上っています。

結局のところ、現物売買ではなく、レバレッジをかけた投機的売買が市場の中心となっていることがわかります。

なんのことはない、登録制などという生ぬるい仕組みで営業をはじめさせた仮想通貨取引所は、コンプライアンス的にもシステム運用的にもガタガタで、あげくの果ての業務改善命令の連発です。本当に市場を正しく育成しようとしたのか、大きな疑問が残ります。

金融庁がビットコインを下落させた

足元のビットコインの下落は、ビットフライヤーへの厳しい業務改善命令が響いていることは確かです。

新規顧客も取り込めないとなれば、国内ビットコインの市場はクローズドなものになりかねず、金融庁のおかげでビットコイン価格が下落したといっても過言ではない状況になっています。

金融庁は本当に国内のビットコイン市場の構造を理解しているのでしょうか?

市場拡大などを掲げて放置した挙句、途中から厳しく締め上げて、結局は取引所を使い物にならないものにした

この金融庁のやり方は決して褒められたものではないですし、これが素晴らしいビジョンに基づいたやり方なのかというと、かなり首をかしげたくなります。

店頭FXの無意味な10倍レバ規制も回避か

さらに付け加えますと、昨年末あたりからいきなり国内の店頭FX取引業者に対する経営リスクの問題から、消費者保護よりも業者破綻リスク回避などを掲げて、いきなりレバレッジ10倍規制を示唆しはじめた金融庁のやり方にも相当な疑問を感じます。

足元では森長官の退任も絡んだのか、いったんは10倍レバ規制は後退し、珍しく金融庁が振り上げたこぶしを下ろすという状況になっています。

この件についても、なぜいま店頭FX業者だけを対象にして、このような措置を打ち出そうとしたのか、まったくその真意が不明です。とにかく、改悪規制が実施されなかったことで、ほっとひと安心と言えます。

仮想通貨はもっと健全に発展できた

もともとこの金融庁という組織は、90年台後半に大蔵省の検査部門が「ノーパンしゃぶしゃぶ」で接待を受け、大量処分が出たあとに苦し紛れで大蔵省から切り出して作った金融市場の監督官庁です。

その本質はほとんど今の財務省と変わらず、退任する森長官に対して「麻生財務相の信任は厚い」などと聞くと、非常に嫌な気分になります。

森体制の金融庁のこの3年は、本当に市場に役立ったのか。とくに仮想通貨に対する行政が本当にこれで適切だったのか。大きな疑問が残ります。

『今市太郎の戦略的FX投資』(2018年6月27日号)より抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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