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自由すぎる……! サイボウズが最近はじめた新しい「働き方制度」について聞いてみた

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2018年4月、サイボウズは新たな人事制度「新・働き方宣言制度」の運用を開始しました。

時間と場所で区切られた9分類から選ぶ、従来の選択型人事制度は廃止。新しい制度のもとでは一人ひとりが自由に「自身の働き方」を宣言し、実行しています。

なぜ今回の変更に至ったのか。そのことで起きる問題点は何なのか。これからのサイボウズはどんな会社を目指しているのか──。人事担当執行役員の中根弓佳が語ります。

「9分類」だけでは、自分の希望する働き方を適切に伝えられない

中根弓佳まずは、新しい制度について簡単に説明したいと思います。

「新・働き方宣言制度」はその名の通り、自分自身の働き方の宣言方法を新しくするという制度です。


中根 弓佳(なかね・ゆみか)。サイボウズ株式会社 執行役員 事業支援本部長。慶応義塾大学法学部法律学科卒業後、関西の大手エネルギー会社を経て2001年にサイボウズ入社。知財法務部門で経営法務や契約法務、M&A法務などに従事した後、人事制度策定や採用などにも携わる。法務部長や事業支援本部副本部長を経て事業支援本部長に就任。2014年 8月より現任。

従来の「選択型人事制度」は、時間と場所で区切られた、9分類の働き方から自分に合ったスタイルを選ぶというものでした。

たとえば、会社に来てバリバリ働きたい人は「A1」を、仕事とプライベートのバランスをとりながら、働く場所も自由に働きたい人は「C3」を選ぶ、というイメージです。


育児、介護に限らず通学や副業など個人の事情に応じて、勤務時間や場所を9分類の中から決めることができた

中根弓佳 しかし同じ「C3」といっても、一日あたりの働く時間が短い人もいれば、週4日で働く人もいる。残業したい・できるといってもその想定する時間が人によって異なるケースもある。

同じ分類の中でも働き方は一人ひとり異なります。そのため、9分類のどれかに自分をあてはめてコミュニケーションするだけでは、自分の希望する働き方をチームメンバーに適切に伝えられない、という状態になってきました。

それなら、「一人ひとりが望む働き方を、適切に、チームにとっても分かりやすい形で宣言し実行してもらう。その方が個人としてもチームとしても効率的ではないのか」と。

これが制度変更の大まかな背景です。

「基本的に9時から17時」「日によっては18時退社」「月に3日ほど、在宅勤務」

中根弓佳 新制度では、自分の働き方を文章で記述してもらうことにしました。

たとえば私は、こんな働き方を宣言しています。

・基本的に9時から17時まで出勤しています。
・日によっては18時退社にしても大丈夫です。
・月に3日ほど、在宅勤務となる可能性があります。

働き方を登録すると、グループウェアのプロフィール欄にその情報が表示され、社内の他のメンバーがひと目でわかるようになります。

こんな社員もいますよ。

彼は副業のために基本的に週4日勤務、さらに満員電車を避けるために10時出社にしています。

中根弓佳 個人はもちろん、部署によっても働き方は異なります。営業部門や人事採用部門などは出張が多かったり、クラウドサービスの運営チームは深夜の当番業務があったり。

そのため「土日出勤可能」「出張可能」「残業可能」といった情報も業務の特性に応じて各々が登録しています。

なぜ多様な働き方を選択できるようになったのか?

中根弓佳 そもそも、なぜサイボウズは多様な働き方の可能性を追求してきたのでしょうか。9分類の選択型人事制度に至るまでの変遷をおさらいしてみたいと思います。


2013年8月28日
副業OK!独立OK! ウルトラ自由な人事制度は企業にどんな変化をもたらすのか?

中根弓佳 2005年頃、私たちは高い離職率に悩んでいました。会社としては「これ以上人が抜けるのは困る」というのが本音。辞める理由は人それぞれでしたが、長時間労働があたりまえという、ブラックな働き方も原因の一つなのではないかと考えていました。

そこで2007年からは、「短時間(DS)」か「そうでないか(PS)」という2つの働き方のラベルを作り、どちらかを選択できるようにしました。これが一番最初の「選択型人事制度」です。

そのほかにも在宅勤務制度を作ったり、副業を認めたり、働き方についての選択肢を少しずつ増やしていきました。

2013年頃になると、社内の働き方は多様性の度合いが増していきます。勤務時間はまちまち。いつも会社に来ている人がいれば、たまにしか来ない人も出てきました。

こうした状況を整理し、働き方のラベルを「時間」と「場所」を軸とした9分類に増やしました。その中から自分の希望を選択し、周囲にも宣言するという形にしたのです。


サイボウズの人事制度の変遷

中根弓佳 私たちは「チームワークあふれる社会を作る」という共通の目的を持っています。そこにコミットしたいと考えていても、毎日9時から18時までは必ず出社するという選択肢しかなかった場合、それが選択できない人は、残念だけど会社を辞めるしかない。

そうではなく、一人ひとりが「自分にとってのベストな方法で、サイボウズにコミットできる」状態が理想だと思っています。こうした対応によって離職率は低下していきました。

働き方を「ラベル分け」することの役割が終わった

中根弓佳 「2分類」や「9分類」といったように、働き方をラベル分けしたことは、サイボウズにとって大きな意味を持っていました。

それぞれの働き方にラベルをつけることは、多様な働き方を「並列」に認めるということを意味しています。それは結果的に「長時間働く人が偉いんだ」という空気をなくすことにつながりました。

「長時間働く人が偉い」という空気、以前のサイボウズにはあったんですよ。でも、長時間コミットする人も、事情があって短時間しかコミットできない人も、サイボウズの理想の実現に向かって貢献してくれているのであれば、そこに優劣はありません。

「この人が望む働き方は?」ということを互いに考え、理解することで、個性を認め合い、チームワークも少しずつ強くなってきたと思います。

中根弓佳 ただ、この「ラベル分け」の役割はもう終わりました。わざわざラベルで分けなくても、「それぞれの個性や人生を尊重する」という風土が社員の間に浸透してきたのです。

そういった風土の変化があったからこそ、今回の制度変更に踏み切れました。そういう意味で、サイボウズはさらに次のステージに進んだのかな、と思います。

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