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【商店街】、大型店出店を阻止した町の商店が苦境!ウォルマートを憎むもアマゾンは別?

180619メインストリート

■今から25年前、ウォルマートの出店を阻止して有名になった小さな町がある。マサチューセッツ州の西部にあるグリーンフィールドは、全米一の巨大企業の出店で住民投票を行い、僅差で出店を否決し、町の商店街であるメインストリートを守った町だ。

これを支援したのが、グリーンフィールドに住んでいたアル・ノーマン氏だった。ニュース等でグリーンフィールドの勝利が全米に知れ渡ることになり、ノーマン氏のウォルマート出店阻止運動が全米に広がっていった。

彼は各地のウォルマート出店反対グループに助言する活動家になり、「被告人・ウォルマート : 市民、顧客、従業員、納入企業等による反社会的行為との戦い(The Case Against Wal-Mart)」や「スラムダンキング・ウォルマート―まちを守る戦略・アメリカの郊外開発実例に学ぶ(Slam-Dunking Wal-Mart! How You Can Stop Superstore Sprawl in Your Hometown)」など出店阻止の著作からウォルマート出店反対運動支援サイト「スプロール・バスターズ(spral-busters)」も運営している。

彼の活動は2005年のドキュメンタリー映画「ウォルマート:毎日低価格の高い代償(Wal-Mart: The High Cost of Low Price)」でも取り上げられていたほどだ。実際、彼のアドバイスにより456ヶ所のコミュニティーが一度は、ウォルマートなど大型店の出店を阻止したのだ。

しかし守られたはずの商店街が再び危機にひんしている。消費構造の変化となる「地殻変動」がメインストリートを破壊しているのだ。アマゾンで買い物する人が増え、これまで地元を応援する人でさえ町の商店街で買い物しなくなっている。店にはくるが、欲しいモノを見つけるとショールーミングでオンラインで買ってしまう。

調査会社フォレスターによると、2017年の小売全体の売上のうち13%がオンライン売上となっている。2022年には17%に成長すると予想しているのだ。ECが成長すると、その分リアル店舗にしわ寄せが来る。オンライン売上のほとんどをアマゾンが握っている。メインストリートにある商店の実に9割がアマゾンからのネガティブな影響を受けているという。いまやアマゾンに売上を食われているのだ。値段の安さから3億以上と言われる品揃えの豊富さ、商品を宅配してくれる利便性、さらにはプライム会員になることでの数々の特典で、商店街に客が行かなくなっているのだ。

これまで市民グループの活動で守られた商店街が特に影響を受けている。厳しい競争環境に晒されなかったことで、かえって競争に弱くなってしまったのだ。変化しなかったつけが回ってきたということだ。

一部の地方では「地元ファースト・アリゾナ(Local First Arizona)」や「ポートランド・バイ・ローカル(Portland Buy Local)」などのキャンペーンによる運動を行なっており、グリーンフィールドも地域通貨「グリーンフィールド・ドル(Greenfield Dollars)」で地元商店街での消費を奨励している。

しかし、アマゾンの品揃えや利便性には勝てないのだ。

ウォルマートに強い嫌悪感をもつノーマン氏は、アマゾンに対して反感を持っていないという。そればかりか彼の奥さんはプライム会員であり、彼自身も地元の商店では見つからない商品をアマゾンで注文しているのだ。買い物の仕方が根底から変化している現在は、地元商店街を守ろうにも手のうちようがないのだ。

トップ画像:イリノイ州ガリーナにあるメインストリート。19世紀に鉛採掘で栄えた古い町を観光地化して蘇らせたメインストリートだ。

⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。アメリカのメインストリートとは一般的に町の商店街のことをさします。ちょっと古い映画ですが「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の時計台(クロックタワー)の周囲にあった町並みです。80年代後半から90年代にかけてウォルマートなど巨大チェーンの出店により多くがメインストリートとして機能しなくなりました。安さと品揃えで住民の多くがウォルマートで買い物するようになり、多くの店がメインストリートからの撤退を余儀なくされたのです。

一部にウォルマートが撤退することもあり、店がなくなったメインストリートで買い物もできず、地域住民は買い物に遠い隣町まで行かなければならない問題がありました。「スプロール(Sprawl)」というのは、巨大チェーンが出店する場所が町の郊外であり、それに合わせて住宅街も場当たり的に作られることで、町の開発が中心地(メインストリート)から無計画に広がっていく様子を意味します。

⇒メインストリートの小さな店を守り、スプロール化を抑えるために多くの地域が住民投票等でウォルマートなどの巨大店出店を阻止できたのです。地域住民による草の根運動を支援したのがアル・ノーマン氏なのです。1993年に彼の地元であるグリーンフィールドを様々な運動を通じてウォルマートから守ったことで活動家になったのですね。

ノーマン氏が主催するスプロールバスターズのサイトをみると、これまで500ヶ所近くのコミュニティーが一度はウォルマートなどの巨大チェーン出店を食い止めることができたとあります。10年ぐらい前から様子が変わってきたのです。アマゾンが台頭したことで、地域住民がオンラインで買い物をしだしたことで、町の商店街で買い物をしなくなったのです。

消費構造の変化である地殻変動で、メインストリートの商店が危機に瀕しているのです。アマゾンを叩こうにも叩けません。なぜなら自分もアマゾンで買い物をするし、アマゾン・マーケットプレイスに出店して商売を行う、町の商店もあるからです。

巨大店から守られたことであぐらをかき、地殻変動に対応しなかった商店がどんどん潰れているのです。

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