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完全な非核化とKEDOの歴史

朝鮮半島非核化について費用負担の話が出てきています。ここで思い出すべきは朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)の事です。北朝鮮に軽水炉を作るための国際機関です。1994年米朝枠組み合意をベースに作られました。

日本はKEDOに対して、様々な支援、拠出を行ってきました。経緯も含めて、この質問主意書に対する答弁書が詳しいです。金銭面だけを抜き出すと、まず、国際協力銀行からKEDOに対して約473億円の貸付をしています。しかも、その貸付けに対して日本政府は利子補給をしました(約42億円)。かつ、日本政府はKEDOに対して4200万ドルの任意の拠出金を出しています。

(また、この答弁書を踏まえ、再質問主意書が出ています。こちらへの答弁書もとても面白いです。是非、ご参照ください。)

大体、日本から出ているのは550-570億円くらいかと思います。北朝鮮の核開発の進行により、2003年に軽水炉プロジェクトを停止し、2005年に終了しています。国際協力銀行の貸付が焦げ付いた分は国が補填しているので、結局、現時点では税金ですべて賄っている形になっています。これがすべてパーです。

なお、現在、日本はこの損失分については北朝鮮に請求するという事になっています。結構、この辺りは法理論上は難しいです。日本はKEDOにお金を出したわけですから、そこで出た損失を北朝鮮に請求するというのはそれなりの理論構成をしなくてはなりません。実は外務省条約課補佐時代に「研究してみて」と指示があり、KEDO設立協定、日本とKEDOの協定、KEDOと北朝鮮の協定の3つとにらめっこしながらうんうん唸った事があります。

元々の問題点は、先日ブログで書いた1994年米朝枠組み合意の脆弱性による所があります。書いた通り、大きな問題点は、①スケジュール感の無さ、②北朝鮮への前払い、③中身が詰まっていなかった、という事でしょうが、それ以前に「本当にやる気があったのか。」という点は問われなくてはならないでしょう。

本当に北朝鮮が「完全な非核化」をするのであれば、時間も費用も膨大なものとなります。このKEDOが活動停止し、現時点で日本に損失が出ている経緯にかんがみれば、絶対に逃がさない枠組みを作らない限り、費用負担の話に乗るべきではないでしょう。

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