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参議院の制度改革

久しぶりに「これはヒドい」と思う選挙制度改革が出て来ました。自民党が出してきた参議院の選挙区割りと比例への拘束名簿方式導入です。これ程、党内の複雑な事情を制度を歪める事で解消しようとする動きはありません。

具体的には、①埼玉選挙区の定数を2増やす(各選挙では定数1増)、②比例代表の定数を4増やす(各選挙では定数2増)、③拘束名簿方式(比例の当選順位を予め決めておく)を一部導入する、という3点です。

元々、私は人口減少県の代表制については、とても問題意識を持っており、究極的には憲法改正でやるべきものだという意見を持っています。具体的には「国土(州)を代表する」院というイメージでして、アメリカ、フランスの上院のコンセプトと同じです(私のブログはココ)。ただ、それは時間が掛かるし、来年の参議院選挙で「一票の格差を3倍以内」に収めるための制度改正が必要だと事情は分かります。

まず、埼玉選挙区(現在定数6で3人区)の定数2増ですが、これでなくては最高裁の要求する「3倍以内」を満たせないのであればやればいいと思います。ただし、他の選挙区を削ってプラマイゼロでやるべきです。恐らく対象となるのは、現在2人区で人口が最も少ない京都府を定数2で1人区にするか、現在3人区で最も人口が少ない福岡県(!)を定数4で2人区にするかだろうと思います。仮に京都か福岡で定数減となっても、「3倍以内」に収まるはずです。

そして、更に筋が悪いのが比例の定数増と拘束名簿方式の問題です。これは合区の問題、更には先の参議院選挙での自民党内のゴタゴタが関係しています。

まず、前回、人口減少のため、島根と鳥取、高知と徳島をそれぞれ1つの選挙区にしました。

高知と徳島のケースでは、自民党内で高知での候補者が比例区に回り、徳島の現職が高知・徳島選挙区で出馬し、両名とも当選しました。徳島の現職が麻生派だったので、選挙区を譲ってもらった麻生派の議員が高知出身の候補者を比例で通すためにとても頑張ったと言われています。逆に島根と鳥取のケースでは、島根の候補者が選挙区に立ち、鳥取の候補者は比例に回りましたが、島根の候補者は選挙区で当選したものの、鳥取の候補者は比例での当選には至りませんでした。そういう背景があります。

まず、自民党内で合区の候補をどの県出身者にするかというのは、偏に自民党内の話であって、そんな事は国民全体からするとどうでもいい事です。基本的に、3年毎に両県で分け合えば少なくとも各県は1人の参議院議員を確保できます。それが党内事情で出来ないというのは、それは派閥間の争いに過ぎず、どうぞ内部でご解決ください、という話でしょう。

そして、選挙区を取れなかった県出身の候補者に全国比例に回ってもらうのは、何の問題も無いと思います。そういう地域性の強い全国比例代表候補は結構居ます。全国比例で当選できるよう、選挙区で出馬した候補者と協力しながら当選ラインを目指してもらえばいいのです。

それらの事が苦しいからといって、選挙区から外された候補者が必ず当選できるように拘束名簿方式を一部導入するというのは邪(よこしま)以外の何物でもありません。しかも、その高知・徳島、鳥取・島根から流れてくる4名(各選挙で2名)分の比例枠が、現在の比例枠を邪魔しないように定数4増(各選挙で2増)とするに至っては論外です。既存の比例選出議員の枠は守る、そして、合区で外された方が確実に当選出来るような仕組みを作る、つまりはこういう事です。

鳥取の衆議院議員である石破茂さんがこのようなブログを書いています。普段はとても論理的で尊敬すべき方なのに、この書き込みはとても変です。問題点を微妙にずらしています。まず、合区の結果として鳥取県出身の参議院議員が出て来にくくなっている事情は、①前回島根との関係で鳥取の候補を選挙区に押し込めなかった、②前回比例に回った鳥取の候補を当選させられなかった、これだけです。少なくとも前回は、徳島・高知で上手く行っているのです。それが上手く行かなかった怨みを制度改正を歪める形で解消しようとするのは筋違いでしょう。自民党内で、島根、鳥取選出の衆議院議員は大物議員が多いです。皆で両県で頑張れば、比例で当選者を出す事は出来るはずです。

今回、選挙制度改革をするのであれば、埼玉選挙区の定数を2増、それに応じて定数2減とする選挙区を一つ作る、これだけでいいはずです。自民党内の派閥間争いに、国の制度がお付き合いする必要は全くありません。しかも、それを議席増の形でやるに至っては我田引水の極みです。そして、繰り返しになりますが、最後は憲法改正で人口減少県にも手当てできるような選挙制度にすればいいのです。

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