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アングル:米国でリチウム生産復活か、EV業界が中国依存を警戒

[12日 ロイター] - 米国でリチウム生産の復活に向けた兆しが出ている。中国への依存を警戒する同国の電気自動車(EV)業界で、国内産のリチウムを求める動きが出ていることが背景だ。

米国はかつて世界最大のリチウム生産国だったが、1990年代に首位の座から陥落。現在、複数の鉱山会社がノースカロライナ州、ネバダ州など8州で、リチウム産業の再興を目指している。

世界のリチウム需要は2025年までに現在の4倍に増加する見通し。バッテリー業界や自動車業界では、中国への過度の依存を警戒する声が多く、鉱山会社は米国での生産拡大に商機があるとみている。

世界のリチウム処理施設の半数以上は、中国に存在。一大生産国のオーストラリアのリチウムは、大半が中国に輸入されている。

ノースカロライナ州でリチウムの生産再開を計画しているピードモント・リチウム<PLL.AX>には、ここ数カ月で米国の大手自動車メーカー2社から問い合わせがあったという。生産再開計画は現在、初期段階にある。

同社のキース・フィリップス最高経営責任者(CEO)はインタビューで「(自動車メーカーは)中国以外からリチウムを調達する考えに前向きだ」と指摘。

他の鉱山会社も、ユタ州、カリフォルニア州、アーカンソー州などでリチウムの生産プロジェクトを進めている。

米国が昨年生産したリチウムは世界の生産高のわずか2%。ネバダ州の1つの鉱山から生産したものだ。だが、米地質調査所(USGS)によると、世界の確認埋蔵量の13%前後は米国に存在しており、価格が上昇すれば、採算がとれる可能性がある。

米政府は5月、重要鉱物35種の1つにリチウムを選定。採掘の許認可に弾みがつくことも考えられる。

米国のある大手自動車メーカーは取材に対し「距離的な近さやサプライチェーン多様化のチャンスという点で、米国産のリチウム資源には当然関心がある。ただし、長期的に調達可能であること、環境に優しいこと、価格競争力があることが条件だ」とコメントした。

世界最大の生産企業であるアルベマール<ALB.N>のエリック・ノリス最高戦略責任者によると、同社は25年前に閉鎖したノースカロライナ州の鉱山を再開するかどうか、初期段階の調査を進めている。

リチウム・アメリカス・コープ(LAC)<LAC.TO>も、ネバダ州で世界5位以内に入るリチウム鉱床を開発中。同鉱床は、米電気自動車大手テスラの電池工場「ギガファクトリー」の南320キロの地点にある。

ネバダ州の鉱床では粘土からリチウムを取り出すため、新たな抽出方法を開発する必要があるが、アレクシ・ザワズキー北米事業社長によると、埋蔵量が多いため、コストに見合うという。

同社は、リチウム生産世界2位のSQM<SQMa.SN>と提携して、アルゼンチンでも事業を進めている。

USGSのアナリスト、ブライアン・ジャスクラ氏によると、米国は1990年代半ばまで長年にわたって世界最大のリチウム生産国だったが、チリが塩水からのリチウム資源回収を始め、コスト競争に勝てなくなったという。

米国のリチウム資源の大半は硬岩、地熱・油田塩水、粘土中に存在。南米の塩水から回収するよりも一般にコストがかかる。価格上昇を背景に資源開発の見通しは改善しているが、一部の鉱床では新しい採掘技術の開発が必要になる。資金調達上の競争もあり、米国での開発が停滞する可能性も残されている。

コンサルティング会社ベンチマーク・ミネラル・インテリジェンスのアナリスト、アンドリュー・ミラー氏は「今後4─5年前後で(現在計画中の)プロジェクトの1つか2つで生産が始まる可能性は十分にある」との見方を示した。

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