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世界はフェイクニュースにどう立ち向かうか――諸外国のメディアリテラシー教育から学ぶ - 耳塚佳代 / ライター

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4.ゲーム感覚で学べる

欧州でも取り組みが加速している。イギリスでは国営放送BBCが、11-18歳を対象に最大1,000校で、フェイクニュースの見分け方を学ぶプログラムを開始。BBCのジャーナリストたちが実際に学校に赴いて授業を行うほか、無料オンライン教材も提供する予定という。

BBCはこの試みの一環として、メディアリテラシーを学べる「BBC iReporter」というゲーム教材も作成している。生徒がソーシャルメディア・チームの記者になり、偽情報にだまされないようにニュースを速報していくという設定だ。ソーシャルメディアのコメントは報道に使えるのか、一般ユーザーが投稿した写真をもとに速報していいのか、情報源は正しいのか……こうした状況ごとに判断しながら、ニュースの仕組みを学んでいく。

シェアしたリンクの内容が間違っていたり、数年前に撮影された動画が最近の出来事として拡散されていたりと、実際にソーシャルメディアを使う際にもあり得るシチュエーションが盛り込まれている。アカデミー賞を受賞したこともある「アードマン・アニメーションズ」が制作に関わっており、楽しみながら学べる内容だ。

(2)ゲーム教材

欧州では、国単位にとどまらず、地域レベルでの取り組みも強化している。欧州委員会(EC)は、「Media Literacy for All」という枠組みの中で、メディアリテラシーに関する先進的な取り組みを支援。ソーシャルメディアの情報について批判的に考える力を養い、メディアへの理解を深める試みが対象だ。今年本格的に始まったプロジェクトの一つ「Media In Action」は、学校の教員や図書館司書など、リテラシーを「教える側」にトレーニングを行っている。欧州全体で約70人の教員を対象にワークショップやイベントを行い、将来的には誰でも活用できるオンラインコースも開設する予定だ。

5.進む対策への投資

こうした流れを受けて、プラットフォームもメディアリテラシー教育の支援に乗り出している。

グーグルは、中高生向けの教育を推進するプロジェクト「MediaWise」に、今後2年間で300万ドル(約3.3億円)を出資。スタンフォード大学やジャーナリズム研究機関のポインター・インスティテュートなどと連携し、学校用カリキュラムの構築や、10代向けのオンライン・ファクトチェックの試みを進める予定だ。約100万人の生徒がアクセスできるようにし、低所得家庭など教育機会が十分でない生徒たちにも届けることを目標にしている。

また、フェイスブックも、ブラジルで行われている2つのニュースリテラシープロジェクトに計30万レアル(約1千万円)を提供している。ブラジルでは今年10月に大統領選を控え、フェイクニュース拡散の影響が懸念されていることが背景にある。

6.学校教育にリテラシー教育を

もちろん、メディアリテラシーの取り組みがすべてを解決するわけではないだろう。プラットフォームのさらなる自助努力や、報道機関によるファクトチェック強化など、多角的なアプローチが必要だ。だが、メディアの仕組みを知り、情報の真偽を見抜く力は、日常的にネットを使用する私たちにとってはもはや必須の能力である。実際、米イリノイ大が行った研究では、ニュースやメディアに関するリテラシーが高い人ほど、根拠のないうわさや陰謀論を信じる割合が低いという結果も出ている。

日本でも、2019年度から中学校で使われる道徳の教科書に、情報モラルをテーマにスマホやソーシャルメディアについて考える内容が盛り込まれた。メディアリテラシーに対する関心は高まっているものの、現在のメディア・情報環境を反映したカリキュラムはまだまだ不十分だと言える。海外の事例も参考にしながら、国内でも取り組みを進めていく必要があるだろう。

耳塚佳代(みみづか・かよ)

ライター

ライター・翻訳家。2008年に共同通信社入社後、松江支局や国際局海外部を経て、フリーランスに。メディアリテラシー教育やフェイクニュース対策に関心を持ち、主に海外事例について発信している。日本ジャーナリスト教育センター(JCEJ)運営委員。

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