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安倍首相「労働者のニーズに応える高プロ待ったなし」→事実はたった1人の労働者のニーズしかなかった

 共同通信の報道によると「働き方改革一括法案」に含まれる高度プロフェッショナル制度について、国会に法案が提出される前に「労働者のニーズ」を聞いたのはたった1人であることが判明しました。高度プロフェッショナル制度の立法事実は「たった1人の労働者のニーズ」だったのです。

 その唯一の「労働者のニーズ」は、研究開発職(製造業において研究開発業務に従事)で「1日4~5時間の研究を10日繰り返すよりも、2日間集中した方が、トータルの労働時間は短くて済む。」(厚労省「高度専門職に対するヒアリング概要」)というものです。これが高度プロフェッショナル制度の唯一の立法事実になるわけですが、2日間集中して働くことは高度プロフェッショナル制度がなくても今でも可能です。何も問題がありません。逆に高度プロフェッショナル制度が導入されると、残業代ゼロ、休日出勤手当ゼロになり、労働者に裁量性は全くないので、さらに残り8日間も使用者に命令されれば24時間労働を継続することになるまさに高プロ地獄が待っています。

 安倍首相は5月23日の衆議院厚生労働委員会において次のように発言しています。

安倍首相「まるでこの高プロを導入すると過労死が増えるかのごときのお話をされているわけでございますが、そうではなくて、今、それぞれのニーズ(※厚労省「高度専門職に対するヒアリング概要」のこと)があって、働く側にも自分の好む働き方をしたいという方々がいらっしゃるわけでございまして、このグローバルな経済に対応していく中において、いわば9時~5時の働き方では対応できないという方もいらっしゃるわけでございまして、その中で、成果を上げて、しっかりと自分たちも収入を上げていきたいと考えている人はいるわけでありまして、その中で自分の能力を、達成していきたいという人はいるわけであります。」(柚木道義衆院議員に対する答弁より)
安倍首相「いわゆる時間ではなくて成果で評価されるという働き方が可能となれば、例えば9時から17時といった画一的な勤務時間に縛られることなく、自分に合ったペースや段取りで仕事を進め、そして創造性を遺憾なく発揮することが可能となるわけであります。新しいアイデアがひらめいたときには、一気呵成に、集中的に仕事をして成果を上げることが可能となるわけでありまして、短時間で仕事が仕上がれば、余暇を楽しみ、あるいは自らのさらなる成長にチャレンジすることも可能になる、このように考えるわけでございます。このように、高度プロフェッショナル制度は、時間ではなく成果で評価される働き方を望む労働者のニーズ(厚労省「高度専門職に対するヒアリング概要」)に応えるものであります。」(高橋千鶴子衆院議員に対する答弁より)
安倍首相「時間ではなく成果で評価される働き方を選択できるようにする高度プロフェッショナル制度の導入は、わが国にとって、これは待ったなしの課題であると考えています。法律案から高度プロフェッショナル制度を削除する考えはございません。」(柚木道義衆院議員に対する答弁より)
 さらにこの日、加藤勝信厚生労働大臣は、高橋千鶴子衆院議員に対して、「12人しかおられないということでありますが、聞いた方が12人ということで申し上げさせていただいたところでありますし、また、今の裁量労働制の中にあっても、自律的に働きたいという希望がその中でも示されたということでございますので。まさに、先ほど総理が言われたような意味の中において、こうした時間の、そうした今までと、規制とは異なるもとで、その思う、能力、それを十二分に発揮したい、そういう希望に対応するということで今回提案をさせていただいているところでございます。」と答弁しています。

 上西充子法政大学教授が、この「高プロニーズ聞き取り」について、加藤厚労大臣が虚偽答弁悪質な「ご飯論法」を駆使していることを告発していますが、今回加えて「高プロの立法事実はたった1人の労働者のニーズ」であることが判明したわけです。

 安倍首相によると、たった1人の労働者のニーズに応える高度プロフェッショナル制度は「待ったなしの課題である」とのことです。そして、加藤厚労大臣によると、たった1人の「希望に対応するということで今回提案」されたのが高度プロフェッショナル制度であるとのことです。



 上のグラフにあるように、2006年度から2016年度までの11年間で5,074人の労働者の命が過労死で奪われています。安倍政権にとって、「5,074人の労働者の命」と「たった1人の労働者のニーズ」のどちらの立法事実が重いものなのでしょうか? この日本社会で毎日1人以上の労働者の命が過労死で奪われているという極めて重大な立法事実を捨て去って、さらに過労死を促進する高度プロフェッショナル制度を「たった1人の労働者のニーズ」で強行採決することは許されません。高度プロフェッショナル制度の廃案を求めるネット署名や、 #0615仕事帰りの新橋デモ などにぜひ皆さん、ご協力いただければと思います。

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