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来年3月までに日本経済の命運は決まる。消費増税後の両極2シナリオとは?=伊藤智洋

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来年10月には「消費増税」が実施されることを前提に、株式市場を見ていく必要があるでしょう。来年3月までの日経平均の動きで想定される2シナリオを解説します。(『少額投資家のための売買戦略』伊藤智洋)

※本記事は有料メルマガ『少額投資家のための売買戦略』2018年6月10日号を一部抜粋・再構成したものです。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。今月配信済みバックナンバーや本記事で割愛した全文(ドル円、NYダウの今後のシナリオ)もすぐ読めます。

プロフィール:伊藤智洋(いとうとしひろ)
証券会社、商品先物調査会社のテクニカルアナリストを経て、1996年に投資情報サービス設立。株や商品先物への投資活動を通じて、テクニカル分析の有効性についての記事を執筆。MS-DOS時代からの徹底したデータ分析により、さまざまな投資対象の値動きの本質を暴く。『チャートの救急箱』(投資レーダー社)、『FX・株・先物チャートの新法則[パワートレンド編]』(東洋経済新報社)など著書多数。

日経平均1万6,000円前後で動く政府・日銀。来春までの動きに注目

財務省の不祥事も「消費増税」に影響なし

財務省は、セクハラ問題で辞任した福田前事務次官の後任に浅川雅嗣財務官を充てる人事を固めたようです。浅川氏は、麻生財務相の信頼の厚い人で、消費税引き上げを推進する側の人だと言われています。

先日公表された「経済財政運営と改革の基本方針 2018」では、第3章「経済・財政一体改革」の推進として、消費税を引き上げで増える財源の使い道、税率引き上げによる需要変動に対する対応策などが書かれています。
参考:「経済財政運営と改革の基本方針 2018」※PDFファイル

公文書の書き換えに続き、事務次官のセクハラ問題と、財務省内部の緩んだ規律が問われ、財務省解体まで言われていた状況でしたが、それが消費税引き上げ阻止に向けた動きとして働くことはなかったようです。

2019年10月「消費税引き上げ」を前提に投資を

安倍首相は、今年の自民党総裁選挙で再任されたとしても、残りの任期が2021年までであることを考えると、残された時間で憲法改正を発議し、国民投票で半数以上の賛同を得ることに尽力したいという思惑が強いのではと推測できます。

再任後、あえて消費税引き上げ阻止へ向けて、財務省と対立することに時間を割いている暇はありません。

2019年10月は、消費税引き上げが実施されることを前提として、株式市場を見ていく必要があります。

2019年秋以降、市場は下値を試す動きへ

以前、当メルマガでは、日経平均株価は積極財政政策・金融緩和によって長く値幅の大きな上昇局面が作られて、財政均衡・金融引き締めへ向かうとき、上げた分を押し戻されるというバブル崩壊後の経緯を紹介しました。

現在の株式市場全体の上昇局面は、日銀によるETFの買いや、GPIFの積極的な買い方針によって支えられている面が大きくなっています。このことを考慮すれば、日本の上場企業全体が世界の投資家から注目されて、株価が安いから積極的に買われているわけではないことがわかります。

財政均衡を重視し、歳出削減・増税による税収増加を見込む、金融引き締めへ舵を切ることになれば、90年以降の展開と同様、上昇の大部分を削られることになると考えられます。

2019年10月に消費税が引き上げられるということが現実に現れる事象だとした場合、政府が引き締めへ舵を切ることを意味するのですから、株式市場全体は下値を試す動きになる可能性があります。

その場合、下げられる値位置は、過去の経験則から推測することができます。

1万6,000円以下で政府・日銀が動く

2014年4月、消費税を5%から8%へ引き上げたことで消費が落ち込み、13年12月に1万6,320円まで上昇してきた株価は、その後、1万4,000円を割れる程度まで下げています。

日銀は、2014年10月に追加の金融緩和を実施して、その後、日経平均が2015年に2万円を越える程度まで上昇しています。

以前にも紹介しているので、どのような規模かなどの詳細は省略しますが、1992年、1995年、1998年など、日経平均が1万6,000円を割れる場面では、必ず大規模な経済対策が実行されて、その後の株価を押し上げています

2000年以降、2003年まで継続する長い下降局面へ入り、株価は1万円以下まで落ち込んでいます。このときも、1万6,000円以下へ落ち込んだ2001年には、日銀が量的金融緩和を実施しています。

政府の緊縮財政政策の継続と、銀行の不良債権問題がくすぶり、市場全体の弱気の流れを転換することができませんでしたが、1万6,000円以下に対して、政府・日銀が反応していることは確かです。

2007年以降の低迷は、外的要因による暴落と、政権をとって間もない政党が判断の基準を持っていなかったのだと見れば、このときの値位置を除外することができます。

これまでの経緯と、前述した2014年10月の追加の量的緩和を実施したときの日経平均の値位置からは、1万6,000円以下という水準が、政府、日銀の強く意識している場所であることが推測できます。

やや極端な2つのシナリオ

ここまで、「2019年10月の消費税の引き上げ」「安倍首相の任期」「日経平均の1万6,000円という値位置が強く意識されている可能性」について紹介しました。

以下では、これらのポイントから推測できる今後の読み方の中で、少し極端な2つの展開を書いておきます。

<シナリオ1>

1つ目は、来年3月頃までの期間で、日経平均株価が1万6,000円付近まで下げる展開です。2月に前年の9月から1月までにつけた安値を割れる動きになる場合、必ず、その年のうちに大規模な経済対策が実施されて、その年の安値が底値になって、1年程度かそれ以上継続する上昇局面へ入ります。

こちらの展開になる場合、消費税の引き上げは変更せず、消費税の引き上げ分で得られる税収を越える経済対策を実施するという選択を行い、消費税引き上げを見越して下げた分を戻す動きへ入るという流れになると考えられます。

<シナリオ2>

2つ目は、本年年末の日経平均が2万円を大きく下回る展開にならなかった場合。そうなると、消費税引き上げによる株価の下落場面が2019年にあらわれると考えられます。

消費税を引き上げた後、日経平均株価が1万6,000円を目指す展開となったとしても、政府は効果のある経済対策を実施できない可能性があります。

理由は、GDPが伸び、失業率が大幅に改善している現在でも、アベノミクスの効果ではないと言っている側の勢力が強く存在しているからです。日銀がすでに引き締めを迫られている中で、さらなる量的緩和を実施し、政府が赤字国債を発行して大規模な経済対策を実施するのは難しい状況になります。

安倍首相に十分な任期が残されているなら、自分の責任においてそれを指示することができますが、その期間がありません。

2019年3月までの値動きで今後が決まる

来年の3月頃までの期間で、株価が1万6,000円程度まで下げなかった場合、2019年以降は、株式市場が低迷するだけでなく、日本全体が混とんとした局面へ入る可能性があります。

来年3月までに日経平均が1万6,000円を目指す展開になるとするなら、日経平均は、7月上旬頃までに2万円の節目へ接近する程度まで下げているはずです。まずはそうなるか否かに注目します。

どのようなケースでも、イメージのないものには対応できません。特に極端な展開は、ありそうもないと排除せず、意識しておくべきです。

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