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日本の地価崩壊はもう始まっている。東京五輪が「経済災害」になる日

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東京五輪まであと2年。アベノミクスで始まった資産バブルは、ヘッジファンドから見れば破裂させるにいい頃合なのでしょう。五輪が経済災害になる可能性があります。(『カレイドスコープのメルマガ』)

※本記事は、『カレイドスコープのメルマガ』 2018年6月1日第256号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

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国民のお荷物になった東京五輪。湾岸エリアから異変が起きている

東京の不動産バブル崩壊は、もはや時間の問題

2020年・東京オリンピックまで残すところ、あと2年ほど。安倍政権の発足とともに始まった資産バブルは、ヘッドファンドから見れば、破裂させるにいい頃合なのでしょう。

「東京の不動価格は、そろそろピーク?」、あるいは「まだピークには達していない!?」…。

日銀の量的金融緩和政策の先行き不透明を反映して、「東京の不動産バブル破裂は、オリンピックの前?」、それとも「ピークアウトはオリンピックが終わった後?」と議論が分かれています。

金融機関と直接的につながっている不動産関連のシンクタンクの予想は、それぞれの思惑に素直に反応しているようです。

いずれにしても、「2020年・東京オリンピックの前後に、不動産価格がピークを打った後、ひたすら下落していく」という見方に反対する専門家を探すのは、砂浜に落としたコンタクトレンズを探すほど難しいでしょう。

2017年6月6日付のブルームバーグの「東京・銀座の土地価格に警告シグナルが点滅している」と題した記事で、

地価は、かなりの水準になったことを示している。地価は、今後下がるだろうが、私には、それがいつ始まるのか正確に言うことができない。ただ言えることは、間違いなく、不動産物件は供給過剰状態にあるということだ

と、森トラスト・アセットマネジメントの堀野郷社長のコメントを掲載しています。

また、2017年6月7日のジャパン・タイムズの「銀座の地価はバブル時代の最高値を更新し、修正を余儀なくされる」との記事では、

私たち不動産業者の共通の見方は、銀座の過去の価格パターンに基づくと、2018年から徐々に不動産の売却が始まって、ピーク時から50%ほど下落する可能性がある。とにかく、地価が下がることだけは間違いない

と、銀座で創業100年を迎えた不動産会社「小寺」の児玉裕社長の見通しを引用してバブルに警戒感を示しています。

バブル崩壊で「3分の1」になった銀座・鳩居堂本店前の地価

海外メディアが注目しているように、日本の不動産バブルのバロメーターは、東京銀座5丁目の銀座・鳩居堂本店前の地価の推移です。

ちょうど1年前の2016年7月、鳩居堂本店前の地価は、1平米当たり前年比18.7%増の3200万円まで上昇しました。

バブル時のピークは1992年の3650万円でしたから、3200万円からでは過去最高値まで、まだ450万円のゆとりがあると不動産アナリストは様子見を決め込んでいました。

しかし、2017年7月3日の国税庁の発表によって、1年も経たないうちにバブル時代の最高値を抜いて、1平米当た4032万円の過去最高の高値を付けたことが明らかとなったのです。

1992年の3650万円は、バブル崩壊後5年あまりで、およそ3分の1以下の1136万円まで暴落しました。

このときの日本経済の基盤は、土地本位制に立脚していたため、橋本内閣で突然、総量領制が発表されると、雪崩が押し寄せるように、土地、株式、絵画などの美術品に至るまでなぎ倒されていったのです。

「小寺」の児玉裕社長は、過去の価格推移のパターンから、「50%は下落する。それは確実に起こることだ」と述べていますが、今度の資産バブル崩壊は、政府と日銀がタッグを組んで演出した官製相場で起こることなので、状況は、さらに悪くなること必至です。

現実になりそうな湾岸エリアの「2018年問題」

2016年前半から、東京の湾岸エリアで開業されている読者や、タワーマンションの居住者の方から、2020年・東京オリンピックに向けての地価がどうなるのか感想を求められました。

不動産の高騰を当て込んだ外国人投資家が、「2018年問題」によって投資用に購入した物件を投げ売りするのではないか、という心配から、私に感想を求めてきたのです。

お台場は気分転換にたまに行く場所でもあったのですが、問題の勝どきから晴海、豊洲にかけてのエリアは交通の便が良くないので、行く機会がほとんどありませんでした。

そこで、半日潰して、このエリアを車でくまなく回ったのです。

まず最初に誰でも気が付くことは、整備された広い道路に人が歩いていないことです。夕暮れどきになっても、林立するタワーマンションの窓には明かりが灯らないのです。

中国人の富裕層が、湾岸のタワーマンションを投資用に買い漁っていたというのは本当だったのです。

東京の不動産市場に訪れる「2018年問題」とは、このとき私が勝手に名付けたのですが、つまり、東京の不動産の高値売り抜けが始まる最初の年であると位置づけたのです。

中国人富裕層の行動パターン

湾岸エリアのタワーマンションを大量に買い込んでいる中国人富裕層は、2008年の北京オリンピックのずっと前に北京の不動産を買い漁り、北京五輪の1年前にすべてを高値で売り抜けて資産を築いた中国人たちです。

ですから、東京オリンピックによる地価高騰を当て込んだ今度も、2013年あたりから湾岸の物件を仕込んでいるので、同じように2018~2019年の間に手持ちの物件を売り払おうとするでしょう。

不動産を売る場合、5年以内の短期譲渡所得の場合は売却益の35%に課税されますが、5年以上の長期譲渡所得の場合は、売却益21%に税金が減額されるので、もし、長期ローンを組んで2020年までに期待していたより不動産価格が上がらなかった場合は、いわゆる逆ザヤとなって損失が発生してしまうのです。

今年、マンションを購入しても、東京五輪がやってくるまでに売却した場合、キャピタル・ゲインの35%に課税されてしまいます。

なぜ、中国人の富裕層が、「東京五輪までに売却を考える」のかというと、おそらく、2013年頃、都内の新築・中古のマンションを爆買いしていた彼らが、5年間の所有期間が過ぎて売却益への課税が21%に減額される2018年から、所有している物件をいっせいに売りに出すことが予想されているからです(※当メルマガ第147号パート2「2016年から始まる米国と日本の悪夢ー見えてきた資産バブルと戦争経済」より抜粋)。

【関連】迫る2018年の悲劇「不動産バブル大破裂」と東京オリンピック後の無残(日本編)

2016年の暮れに、再びこのエリアを訪れたとき、「2018年問題」が現実のものとなるであろうことを確信して、中国の資産バブル崩壊と関連づけて、日本の不動産バブル崩壊のプロセスについてまとめました(※当メルマガ第184号パート1、パート2「買ってはいけない!迫る住宅バブル破裂と東京五輪後の無残(日本編)」にて詳述)。

誘致決定で即座にタワマン爆買いが始まった

バブル崩壊後、「失われた20年」は、さらに「失われた30年」に延長されました。2020年のオリンピックの東京誘致は、長い閉塞状態から日本を再び飛躍させる起爆剤として期待されました。ただし、これは、政府と日銀の異次元の量的金融緩和が日本株を押し上げていた2013年時点のことです。

2012年12月、安倍政権が誕生して9ヵ月後、2020年夏季オリンピックとパラリンピックの開催都市を決める国際オリンピック委員会(IOC)総会がブエノスアイレスで開かれ、56年ぶり東京が選ばれました。

日本が、アジアで2回目の開催となるはじめての国になった、この瞬間、日本の運命が決まったのかも知れません。

このときに、中国人富裕層による湾岸エリアのタワーマンションの爆買いが始まったのです。

「国民のお荷物」になった東京五輪

あれから5年経った日本の現状はどうでしょう。

実質賃金は下がり続け、国際競争力は削がれ、一方的に国力が衰退していく中、永田町と霞が関は、目前に迫った高齢化社会を乗り越える気力さえ失いつつあります。

今や「希望の東京オリンピック」は、もっとも厄介な「国民のお荷物」となってしまったのです。

海外メディアは、早くも「2020年のオリンピック後の日本の運命」と題して、バブル崩壊に突き進む日本の似た現状を取り上げ出しています。

中でも、2018年4月25日付のジャパン・トゥデイは、「2020年のオリンピックは、東京の商工業に災害をもたらす」と、東京オリンピック特需の光と影を描き出しています。

週刊金曜日が、2016年7月15日号の「呪われた東京五輪」に続いて、2018年4月20日号の「東京オリンピックなんて、大っ嫌い! 最後の一人になっても2020年開催に大反対する理由」と題して特集を組み、「反東京オリンピック宣言」を行いました。

2016年の特集では、東京オリンピックが腐敗の温床になることを警告したのに対して、今回の特集は、どちらかというと経済災害を警告したものになっています。

14ページにわたる今回の特集では、2020年の夏季オリンピックとパラリンピックが、東京や日本経済にもたらす経済被害に焦点を当てています。

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