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新潟県知事選が示したもの――なぜ野党候補は勝てなかったのか

「代理戦争」にした野党

10日に投開票がおこなわれた新潟県知事選挙は、花角英世候補(無所属)が当選した。

花角候補が自民・公明の支援を受け、立憲民主党・国民民主党・日本共産党・自由党・社民党・無所属の会という野党6党・会派は、野党系県議の池田千賀子候補(無所属)を推薦。
事実上の〝与野党の対決〟とも目されたことで、その勝敗の行方が注目されていた。

花角氏は、1982年に当時の運輸省に入省。99年には現在の自民党幹事長である二階俊博・運輸大臣(当時)の秘書官を務め、観光庁総務課長、大阪航空局長、新潟県副知事などを歴任。2015年からは海上保安庁次長に就いていた。

ただ、自民党新潟県連が幅広い県民の支持を得るために党派色を前面に出さない方針をとったのに対し、野党6党・会派は国政レベルで結束して池田氏の支援に全力を挙げることを決定した。

野党系は16年参院選新潟選挙区でも勝利。自由党の小沢一郎共同代表は15日の会見で「前の参院選や知事選でまとまって協力して勝利したわけだから、今度もその方向で臨む」と強調した。共闘の成果を知事選で引き継ぎ、参院選へとつなぎたい考えだ。野党6党・会派の国対委員長らは15日に会談し、そろって応援に入ることを確認した。(毎日新聞電子版/5月15日付)

新潟県は前回も野党支持の候補が当選しており、内閣支持率が低空飛行を続ける中での〝与野党対決〟だったが、接戦を制したのは与党側となった。

野党が勝たせた前知事

周知のとおり、2016年秋に県知事選があったばかりの新潟県で、再び急きょの県知事選挙となったのは、前職の米山隆一知事が週刊誌に報じられた「出会い系サイトを介した援助交際」を認めて辞職したからだった。

この2016年県知事選挙で米山候補を支援したのは、共産党・自由党・社民党であり、当時の民進党は連合への配慮で自主投票としたものの、蓮舫代表(当時)が応援演説に入るなどしていた。

その野党が勝たせた県知事が、新潟県政で最短の1年半という短期間で、まさかの「出会い系サイトを介しての援助交際」という理由で辞任したのだ。

再び約10億円といわれる費用を投じて県知事選をすることになったわけだが、共産党など前知事を推した野党は県民に不明を詫びるどころか、〝二匹目のどじょう〟を狙って、これを参院選にもつなげようと判断したのである。

花角候補が国と県を繋ぐ自身の実績と能力をアピールしたことに危機感を覚えたのだろう。野党側はわざわざ「新潟のことは新潟で決める」というキャッチフレーズまで作り、SNSでもこのハッシュタグを拡散させた。(参考:「★阿修羅♪ 掲示板」

だが、参院選を意識するあまり、党首を全員揃えて応援演説に送り込むなど、新潟で決めるべき地方自治の行方を、国政の〝代理戦争〟へと積極的に演出したのは野党のほうだった。

最終盤の8日、JR新潟駅前で池田候補の応援演説に立った評論家の佐高信氏は、

「安倍のバカなバカ騒ぎを打ち破るためにも絶対に勝たないといけない。自民党に天罰を、公明党に仏罰を」と声を張り上げた。(産経新聞/6月8日)

名護市長選挙と同じ結果

激しい接戦となった今回の新潟県知事選でも、過日の沖縄・名護市長選挙(2月4日投開票)と共通するデータが出ている。

NHKの調査では、新しい知事にもっとも期待する政策として有権者が挙げたのは、景気・雇用対策がもっとも多い31%で、原発の安全対策が24%、医療福祉の充実が22%だった。

しかし共産党などは、あえて東京電力柏崎刈羽原発の再稼働の是非を〝最大の争点〟として訴えた。 たとえば投票日前日の「しんぶん赤旗」は、こうアジテーションを高めている。

10日投票の新潟県知事選は、東京電力柏崎刈羽原発の再稼働の是非を最大争点とし、最終盤も1票をめぐってしのぎを削る大激戦・大接戦となっています。再稼働反対をきっぱり訴える池田ちかこ候補は、市民と野党の共闘の力で勝利へ駆け上がろうと8日、長岡、新潟両市で訴え、夜は新潟駅前での市民大街宣に参加。「県民の命と暮らしを守る観点から、到底(再稼働に)同意できない。新潟のことは新潟で決める」と気迫を込め、「ちかこ」の熱いコールと拍手に包まれました。(しんぶん赤旗/6月9日)

いつものように争点を単純化し、あえて有権者を是か非かで分断し、「不安と憎悪に火をつける」選挙戦に仕立てたのだが、多くの県民はそれだけではない暮らしの全般を考えていたことになる。

朝日新聞の出口調査では、「原発再稼働に反対」と答えた人のうち、じつに4割近い37%が花角候補に投票している。

さらにNHK調査(「新潟県知事選出口調査結果から」)で興味深いのは、これも名護市長選と全く同じで、10代~50代では花角氏の支持が池田氏を上回り、60代~70代になると池田氏の支持が増えている。

働く現役世代は、もちろん原発の安全性は求めながらも、経済や雇用などの発展を期待した。
北陸新幹線の延伸で活況を呈する石川県や富山県とは対照的に、野党が勝たせた前知事の1年半の新潟県にはとりたてて希望が見えなかった。

若者や現役世代が、多様な情報と視点で選挙をとらえて、より現実的な判断を下し、リタイア世代が野党の「争点の単純化」に共感した構図は、名護市長選の結果そのものであろう。

ともあれ、新しい新潟県知事には、まず県政に対する県民の信頼を回復させ、より多くの県民が安心できる舵取りを期待したい。

そして、野党はいい加減に、こうした「有権者の分断」「不安と憎悪を煽る」「対決型を演出する」という古色蒼然とした〝共産党的な〟戦術の愚かさに気づき、多様な意見を反映させるためにも、合意形成のできる政党へ成熟してもらいたい。

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