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政治家はどこまで公営競技を見誤るのか?

野田元首相が、現在進んでいるIR整備法の審議にあたって以下のようなコメントをしています。

すでに我が国は世界有数の「ギャンブル大国」です。ギャンブル依存症患者も約320万人に上ると推計されています。安倍総理は「世界最高水準のカジノ規制によって、依存症などの懸念に万全の対策を講じていく」と胸を張っていますが、その対策とやらは不可解極まりません。

 カジノへの入場回数を「7日間で3回、28日間で10回」にアクセス制限することにしていますが、週末2回しか行われていないJRA(日本中央競馬会)の競馬ですら依存症は大きな問題になっています。年間120回も入場を認めたら、カジノ漬けの依存症が逆に増えるのではないでしょうか。「6千円」の入場料設定も対策の1つとされていますが、ボロ儲けを夢見ている人にとって抑止力になるのでしょうか。どこが万全の対策なのかさっぱりわかりません。

間違い:
嫌カジノ派の論の定番なのですが「ギャンブル依存症患者も約320万人に上ると推計」は間違いです。2017年に発表された320万人という数字は「生涯のうちに一度でもギャンブル依存が疑われる状況になったことのある人の推計値」であって、その中には既に長らくギャンブル行為自体に参加していない人の数が多数含まれて居ます。現役で(間近12ヶ月)依存の疑われる人の数として発表されたのは70万人という数字であって、人口比率に直すと0.8%程度。320万人という数字は、日本のギャンブル依存問題を実態以上に煽ろうとする人間がしばしば持ち出す数字のトリックです。

そんな事は良いとして(良くはないのだけど)、問題は公営競技に対する野田元総理の認識です。「週末2回しか行われていないJRA(日本中央競馬会)の競馬ですら依存症は大きな問題になっています。年間120回も入場を認めたら、カジノ漬けの依存症が逆に増える」とのご高説でありますが、まったくもって現状認識を誤っていて失笑すら出来ません。

競馬も含め、全ての公営競技は既に競技場や場外馬券場など「施設依拠のビジネス」から離れ、現在はネット販売を中心とするオンラインビジネスへと移行しています。2017年度のJRAによる事業報告によると、2兆8千億円の総売上のうち、ネットを介して販売される投票券は1兆8千億円。構成比率でいうと全体の66%をネットによる販売に頼った産業となっており、年間入場回数120回どころか、公営競技ファンは全国津々浦々、ほぼ毎日朝から晩までどこかの公営競技場で行なわれているレースに対して手元のスマートフォンからアクセスして投票券の購買が出来るようになっている。

競馬のみならずあらゆる公営競技はここ数年、このオンライン販売を通じて大幅に業績を上げており、既に殆どの競技場が赤字を脱却。「競技場で投票券を握り締めてレースを観戦する」などという伝統的な公営競技の姿などは寧ろ今はマイナー姿であって、今の公営競技シーンはネットで投票券を購買して、ネットでその結果を見るもの。実は今、日本国内で365日朝から晩まで最もお手軽にアクセスできるギャンブルは、パチンコでもなく、これから新設されるカジノでもなく、公営競技であるのが実態です。

別にこれをもって、カジノと公営競技のどちらが「良い/悪い」などという比較をするつもりはさらさらないですが、少なくとも現状を大きく見誤った認識の上で間違った論考を流布する事は辞めて頂きたいなぁと思うところであります。

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