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カジノ法案

 船橋市には幾つかのご当地音頭があります。その中でも、私が子どもの頃、いつも盆踊りで流れていた旧船橋音頭の歌詞が、耳にこびりついています。「男度胸の船橋競馬~。オートレースにゃ血がたぎる~」って感じです。今ならPTAがかんかんに怒るでしょうが、昭和の船橋は公営ギャンブルが代名詞のような時期もありました。

 ですから、私自身はギャンブルを毛嫌いするタイプではありません。しかし、長い間浮き沈みの激しい政界で人生を賭けてきましたので、競馬やパチンコなど他の賭け事に熱中したことはありません。従って、政府・与党が今国会成立をめざしているカジノを含む統合リゾート(IR)実施法案については、自然体で中立的に議論の推移を注視してきました。

 審議は大詰めを迎えていますが、政府の説明を聞いてもストンと腑に落ちることがありません。まずは、法律論として疑義があります。そもそもカジノは刑法の賭博罪で禁じられています。競馬や競輪は特別法を設置し、「目的の公益性」や「運営主体の性格」などから公共性が担保されていると解されています。しかし、民間企業の設置、運営によるカジノにおいて、公共の信頼を担保できるのでしょうか。戦後初の「民設民営」による賭博解禁は、違法性を阻却できていません。

 すでに我が国は世界有数の「ギャンブル大国」です。ギャンブル依存症患者も約320万人に上ると推計されています。安倍総理は「世界最高水準のカジノ規制によって、依存症などの懸念に万全の対策を講じていく」と胸を張っていますが、その対策とやらは不可解極まりません。

 カジノへの入場回数を「7日間で3回、28日間で10回」にアクセス制限することにしていますが、週末2回しか行われていないJRA(日本中央競馬会)の競馬ですら依存症は大きな問題になっています。年間120回も入場を認めたら、カジノ漬けの依存症が逆に増えるのではないでしょうか。「6千円」の入場料設定も対策の1つとされていますが、ボロ儲けを夢見ている人にとって抑止力になるのでしょうか。どこが万全の対策なのかさっぱりわかりません。

 そもそもカジノ法案の立法目的は、外国人旅行客を呼び込み、我が国を観光先進国に引き上げることだそうです。しかし、外国人観光客は東日本大震災以降6年連続で増え、昨年は2800万人を超えました。その多くは、「食」「温泉」など、日本ならではの体験に期待しての訪日です。

 我が国には四季があります。流氷の張りつく海もあれば珊瑚の海もあります。各地に独自の文化・伝統が根付いています。それらの魅力を最大限に活かすことにより、カジノなしの観光立国をめざすべきではないでしょうか。

 カジノの収益は賭博客の負け分です。誰かの散財に期待し、他人の不幸や不運を踏み台にする成長戦略は健全ではありません。以上のような理由で、私は法案に反対します。

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