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医師が執筆する「食事本」が大ブーム 主張に違いが出る理由


【「食事本」が大ブーム】

 医師が執筆する「食事本」が一大ブームになっている。『医者が教える食事術 最強の教科書』(牧田善二・著)は42万部、『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』(津川友介・著)が発売10日で10万部のベストセラーに。

 その他にも、書店に行けば医師が健康になるための食事法を説く書籍がズラリと並んでいる。

 たとえば、ザッとあげるだけでも『医者が教える最強の食事術』(白澤卓二・監修)、『医師が実践する超・食事術』(稲島司・著)、『脳の専門医が教える脳が若返る40代からの食事術』(熊谷頼佳・著)、『医者が教える あなたを殺す食事 生かす食事』(内海聡・著)、『医師が教える疲れが抜けない人の食事法』(本間良子、本間龍介・著)などがある。

 タイトルが非常に似ているため、『牧田本』『津川本』『白澤本』などと著者名で示す。

 これらの書籍のヒットを支えているのが「医師が奨める」というキーワードである。ネットや様々なメディアで健康情報が紹介されているが、その中身は玉石混淆。その点、健康管理のプロである医師が診療経験や研究データをもとにして示す食事法に信頼が集まるのだろう。

 しかし興味深いのは、同じ「医師の食事本」でも、著作によって紹介される食事法が少しずつ異なることだ。

 例えば『牧田本』では、「果物は朝食に少量だけ食べればいい」といっているのに対し、『津川本』では「果物は心筋梗塞や脳卒中のリスクを減らす」として、1日の摂取量が増えるごとに死亡率が減るデータを紹介している。いずれも「果物が体にいい」という点では同じなのだが、少しでいいのか、たくさん食べたほうがいいのか──健康のために本を手に取った読者は、“両立”し得ないアドバイスだけに困ってしまう。

『牧田本』が推すのはコーヒーだ。そのメカニズムはまだ解明されていないものの、コーヒーに糖尿病を抑える実証データがあるという。

 ただし「挽き立てをブラックで飲む」以外はNG。砂糖を入れたり缶コーヒーを飲むことは、糖質を過剰摂取してしまうデメリットのほうが大きい。

『白澤本』は、緑茶の認知症予防効果を強調する。

「緑茶を飲んでいる人はホモシステイン酸という神経毒性物質の血中濃度が低いことがわかっていました。そこで1か月間、高齢者の食事にお茶の葉を加えてみたところ、ホモシステイン酸の濃度が下がり、認知機能も改善したという研究があります」(白澤医師)

『牧田本』と『白澤本』はどちらも赤ワインの効能を説いている。抗酸化作用があるポリフェノールが含まれ、動脈硬化や心臓疾患などの予防になるという。

 ここで取り上げたのは、いずれも医師がエビデンスを元に教える食事術ばかり。それでも様々な“違い”が出てくるのはなぜなのか。前出・『医者が教える最強の食事術』の監修者で、日本のアンチエイジングの第一人者であるお茶の水健康長寿クリニック院長の白澤卓二医師がいう。

「どの本も、それぞれ医師の専門や対象とする読者層が異なっている。抗加齢医学を専門としている私なら高齢者が健康で若々しくあるための食事を勧めますし、糖尿病専門医なら血糖値を上げない食事、副腎外来の専門医なら疲れにくい食事、大学病院の教授なら国内外の論文に基づく食事法を紹介するでしょう。食事を考えるうえで重要なのは自分の年齢や体調に合わせて“カスタマイズ”すること。情報の取捨選択が肝要です」

「究極」が上か「最強」が上か──と決めつけず、それが「誰のため」に書かれているのかを確かめることが健康への近道なのだ。

※週刊ポスト2018年6月22日号

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