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歴史が予見する"北朝鮮はまた必ず裏切る"

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中国との連携を強め、米副大統領を罵倒したかと思えば、「トランプ大統領を内心評価してきた」と手のひら返し。その一方でロシアにも接近し……。金正恩・朝鮮労働党委員長のあからさまな「コウモリ外交」について、著述家の宇山卓栄氏は「強大な中華帝国に隷属し続けた朝鮮半島の過酷な歴史がその背景にある」と指摘する――。


大国の間を上手に飛び回りつつ、自国の生き残りを図るのは朝鮮半島の伝統だ――。平壌を訪問したロシアのラブロフ外相(左)と、笑顔で会話しながら歩く北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長。(写真=AFP/時事通信フォト)

■米中ロの間を渡り歩く北朝鮮

『イソップ寓話』の中に、「卑怯なコウモリ」という一話があります。かつて、獣の一族と鳥の一族が戦争をしていました。両者の戦いを見ていたコウモリは、獣の一族が優勢な時、彼らに「私は全身に毛が生えているので、獣の仲間です」と言いました。鳥の一族が優勢になると、コウモリは彼らに「私は羽があるので、鳥の仲間です」と言いました。

『イソップ寓話』は紀元前6世紀に、ギリシアのアイソーポス(英語読み:イソップ)という人物によって編纂されました。こうした寓話には、時代を超越した普遍の真理が隠されているものです。

北朝鮮の外交はまさに、イソップのコウモリと同じです。北朝鮮は中国との連携を強め、ペンス副大統領を罵倒するなど、アメリカを揺さぶっていました。トランプ大統領が5月24日、米朝首脳会談を中止すると発表すると、突如態度を変えて、「トランプ大統領を内心高く評価してきた」などと言い、今度はアメリカに抱き付いてきたのです。

その一方で、5月31日、ロシアのラブロフ外相との会談で、金正恩委員長は「(アメリカの)覇権主義に対抗して、(ロシアの)指導部と綿密に意見交換していきたい」と述べ、プーチン大統領を持ち上げました。

■反故にされるとわかっている「合意」

6月12日の米朝首脳会談やそれ以降の会談で、どんな合意がなされようとも、北朝鮮はお得意の「コウモリ外交」で、また手のひらを返し、約束を破ることは間違いありません。北朝鮮との外交において大切なのは、「どのような合意をするか」ではなく、合意が破られた後、軍事オプションも含めて、「どのように制裁するか」ということです。アメリカが多少の妥協をして、何らかの合意をしたとしても、どうせその合意は紙屑になるだけのこと。「トランプ大統領が妥協するかどうか」を詮索すること自体、無意味です。

ボルトン補佐官をはじめとするトランプ政権の強硬派の面々は、「卑怯なコウモリ」が裏切ることを前提にして、その首をどのように斬るかということを考えていると思います。それが彼らの最大の役割だからです。もし、それができないのならば、トランプ政権はオバマ政権と同様に、歴史に汚名を残すことでしょう。

■19世紀末李氏朝鮮の「コウモリ外交」

とはいえ北朝鮮には、「コウモリ」を演じているという自覚がありません。なぜならば、それは歴史的に培ってきた彼らのDNAであり、体に染み付いた自然の習性であるからです。

19世紀後半の李氏朝鮮時代に閔妃(びんひ)という人物がいました。彼女は王妃でしたが、夫の高宗に代わり、実権を掌握していました。

中国の歴代王朝は、朝鮮を属国にしていました。閔妃の時代の清(しん)も同様です。閔妃は宗主国の清にすり寄る一方、明治維新後の日本にも接近しました。日本を後ろ楯にすることで、清を揺さぶることができると考えたのです。

日本は閔妃の「コウモリ外交」を知りながら、惜しみなく朝鮮に資金を援助し、技術開発を支援しました。また、日本人の教官が派遣され、近代式の軍隊を創設して軍事教練を施したりもしました。

清は日本に対抗するため、朝鮮への駐在軍を増強し、朝鮮支配を強化します。この時、清の駐在軍を指揮していたのが、若き日の袁世凱でした。袁世凱らの軍勢は朝鮮で略奪・強姦を繰り返し、暴虐の限りを尽くします。こうして清の支配が強まると、閔妃は日本を裏切り、清にすり寄りはじめました。

しかし、この時、日本は閔妃を非難しませんでした。当時の対朝鮮外交の責任者であった井上馨は、閔妃の「コウモリ外交」を、属国ゆえの悲哀として憐れんだのです。

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