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新聞少年! Come Ba~~ck!

最近、何回か新聞配達員募集のチラシを見かけました。人手不足のおり、朝が早くてきつい仕事の要員確保は難事でしょうね。どっかの新聞社の中期計画では「宅配網の維持・強化」が第一に謳われているようですが、これも早い話、要員確保ってことでしょう。

縮小しつつあるとはいえ、世界有数の新聞大国を支えているのは”世界最強”の販売店システムによる戸別配達ですから、日本的な特殊事情かと思っていましたら、米国でもローカル新聞社のCEOが「読者のみなさん、助けて!」と悲鳴をあげていました。

米国北東部メイン州ポートランドに本社があるPortland Press Heraldの発行人も兼ねるLisa DeSistoさんが先月末の同紙に書いた「配達難が我々の義務を蝕んでいる」と題する記事でのことです。

この記事は、メイン州の失業率が1957年以来の低さもあって、配達要員の人出不足に陥り、月曜〜土曜は朝6時までに、日曜版は7時半までに新聞を読者の家に届けるという約束が守れなくなっている上、配達不能なルートが27にのぼっているという嘆きで始まります。

で、今は販売担当だけじゃなく、「記者や部長、局長まで配達業務に投入されている」とのことですが、広い大地に散在する読者の家を暗がりの中で見つけて(しかも、鹿を避けて!)配達するのは”にわか配達人”には大変で、プロでも3時間かかるところに倍の6時間かけて配ることになり、定時配達が守れない、というわけです。

昔のアメリカ映画では、自転車に乗った小・中学生が玄関先や庭先に新聞を放り投げていくシーンがあったような記憶がありますが、今は、そんなシーンはほぼ無いようです。

映画のシーンで配っていたのは、かっては米国で多かった夕刊紙のことで、放課後のアルバイトだったのですね。しかし、今は夕刊紙は激減し、かつ、朝刊の配達は18才以上で車を持ってることが条件になっているようです。

こうして、日本同様、新聞少年は姿を消し、失業者が少ない今、朝早くてきつい仕事に人は集まらない。そこでLisaさんはこう書くのです。

「夕刊配達にいい思い出のある元新聞少年の人は隠居生活から出てきてください。冗談言ってるんじゃないの。早い時間を気にしないなら副収入を稼ぐにはいい手段ですから」

「大学でジャーナリズムとかマーケティングをやってるそこの君、配達員に加わることで、<Press Herald>って文字を履歴書に加えようよ」

「夏休みのある先生方へ。日の出前に新聞を配って、その後に美しい夏の日々を楽しみましょう」

「引退したカップルさんへ。家の近くのルートで星の光の元、二人のロマンスに再び火を付けましょう」

「真面目な話です。配達に関心のありそうな人を知ってたら配達ホットラインに電話して。ここよ791-XXXX」

新聞社で一番エライ人がここまで書くか?というような書きっぷり。恥も外聞もなく助っ人探しに懸命なのが窺えます。

それもこれも、おそらくは遅配や欠配の苦情がPress Herald紙に絶えないからなのでしょう。でも、それは< Silver Lining?>ー希望の光なのかも?と続けます。

「読者と我々の関係を再確認できたからだ」

どういうことか。「朝刊がないと一日が始まらない」と言う読者が多く、「新聞を定時にポストに入れなければ、どんなに読者をがっかりさせるか」を我々は再認識したから。

そこで宣言です。「我々は夜昼なく働いて、サービスの改善を図ることを約束する。新聞の発行を続け、配達する。我々の仕事はコミュニティに不可欠なんだから」

なかなかカッコいいです。この記事にはコメントがたくさん付きました。「待遇をよくすれば解決する問題じゃないの?」「もう、紙の新聞を諦め、ウェブだけにしたら」「夕刊紙に戻ろう。そして少年、少女を呼び戻そう」「私の夫は子供の頃の配達で責任を学んだって言ってる。大事な仕事だ」から「木炭ストーブの焚き付けに欠かせないから頑張って!」まで。

で、この力の入った記事についての反応が知りたくて、発行人Lisa DeSistoさんにメールしました。応募が何人ぐらいあったとかを聞きました。返事がないので催促のメールを2回、計3回出したけど、今時点で返事がありません。残念。

その返事の内容を書きたくて、この件の紹介を遅らせてましたが・・・・きっと、全社員の督励に忙しすぎるんでしょうね。応募殺到でその応対に忙殺されている?なら、いいんだけど。

不朽の西部劇映画「シェーン」のラストシーンでの名セリフは「Shane! Come Back !」。Shane が後日、戻ってきたかどうか知りませんが、かっての「新聞少年」はどうでしょうか?知りたかったなあ。(また、催促メールをします)

(なお、Portland Press Heraldの発行部数はWikipediaからの孫引きで平日版が4万弱、日曜版が5万台と日本の水準からすると少部数ですが、メイン州のローカル紙ランキングでは3位です)

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