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国際政治学講義㉞:(4)20世紀の意味 ②社会主義の世紀・・⑱

 中国の「社会主義市場経済」の実験は、その経済発展を見れば着実に成果を上げていると考えてよい。GDPで世界第2位となり、アメリカと世界の覇権を争うようになっている。

 改革開放が始まった1978年には、40年後にアメリカを脅かすまでの脅威になるとは誰も想像できなかった。ファッションを見ても、西側諸国と全く変わらない。人民服時代は遠い過去のものとなった。

 ベトナムもまた、中国の改革開放を真似てドイモイ政策を展開してきた。フランスと、次いでアメリカと戦い国土が荒廃した分、その歩みは遅々としているが、目指す方向は中国と同じである。

 ドイモイが始まった頃、ベトナムを訪ね、副大統領にもお目にかかったが、商法など法的枠組みの整備の必要性について議論したものである。

 今、ベトナムから多くの留学生や研修生が日本に来ている。介護の現場では、これからベトナム人の介護士が活躍することになる。勤勉で、色彩感覚なども日本人とよく似ているので、この国の経済発展を日本が支援していくことは大いに意義あることである。

 ASEAN加盟国として、中国の対外進出に対する牽制役として、ベトナムと日本が協力関係を深めていくことは、安全保障上の観点からも重要である。

 中国が、周辺諸国の中で最も恐れてきたのは、朝鮮とベトアムである。陸続きでありながら、中国に刃向かっていくしぶとさを差してのことである。

 そのベトナムが中国型の開放経済への道を歩んでいるのに対して、もう一つのアジアの社会主義国、北朝鮮は閉ざされた独裁政を維持している。習近平が背広に身を包んでいるのに対して、金正恩は人民服である。この服装の違いが、両国の違いを象徴的に表している。

 6月12日には、シンガポールで米朝首脳会談が開かれるが、ここでの主要議題は北朝鮮の非核化である。経済を犠牲にしてまで、核武装に拘ったのは金王朝による独裁体制を維持するためである。

 首脳会談が成果を上げ、非核化への道を歩み始めたとしても、改革開放経済への方向に動いていくかどうかは不明である。

 同じ共産党(朝鮮労働党)による独裁とはいえ、毛沢東にしても世襲ではない。北朝鮮が特異なのは、金日成、金正日、金正恩と世襲のいわば王朝であることである。毛沢東への個人崇拝を批判して、鄧小平は集団指導体制を敷いた。

 社会主義体制の中国で成功した改革でも。北朝鮮で上手く行かないのは世襲王朝だからである。社会主義という枠組みよりも、世襲独裁という別のカテゴリーで考えたほうがよいのかもしれない。

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