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改ざんの動機「分かりゃ苦労しない」麻生発言に脱力 ~森友文書問題にまつわる発言を総ざらいする~ - 大山 くまお

 さまざまな事件や騒動が起き続け、もはや麻痺しかかっているが、公文書の改ざんについての問題を放置しておくわけにはいかない。そもそも、なぜ改ざんが行われたのか? 誰の指示があったのか? あらゆることが明らかになっていないままだ。関連する言葉を集めてみた。

◆ ◆ ◆

麻生太郎 副総理兼財務相
「それが分かれば苦労せんのですよ」
産経ニュース 6月4日

 4日、財務省は学校法人「森友学園」への国有地売却をめぐる決裁文書の改ざん問題についての調査報告書と、当時の理財局長だった佐川宣寿前国税庁長官ら職員20人の処分を発表した。また、麻生太郎副総理兼財務相は記者会見で「あってはならないことで、はなはだ遺憾」と陳謝。これまで「書き換え」としてきた表現を改め、悪質性の強い「改ざん」であることを認めた。ただ、責任を問われると、続投を強調した。


6月4日、森友学園決裁文書改ざんの調査報告書発表を受け会見する麻生太郎財務相

 会見で改ざんの動機について問われた麻生氏は「それが分かりゃ苦労しない。そこが一番関心あるところ」と発言。麻生氏の姿勢について、産経新聞は「人ごとのよう」と批判した。

 一方、調査報告書では、安倍晋三首相が昨年2月、国会で「私や妻が関係していたなら、首相も国会議員も辞める」と答弁した後、学園側との交渉記録の廃棄や改ざんが進められていた実態を明確に指摘している。

佐川宣寿 財務省・理財局長(当時)
「このままでは外には出せない」
TBS NEWS 6月4日

 調査報告書によると、首相の答弁の後、財務省理財局の中村稔総務課長は安倍昭恵首相夫人の名前が入った書類があるかどうかを確認。政治家関係者からの照会状況をリストにし、理財局長だった佐川氏に報告した。その際、佐川氏は応接録の取り扱いは「文書管理のルールに従って適切に行われるものである」との考えを示したが、応接録や交渉記録が任意に廃棄の可能な「保存期間1年未満」の文書だったため、中村氏は廃棄時の指示だと受け止め、実際に廃棄が進められた。

 また、決裁文書に政治家関係者の名前があると報告を受けた佐川氏は「そうした記載のある文書を外に出すべきではなく、最低限の記載とすべきである」と反応。国会で提出するよう求められていた国有地売却をめぐる文書についても「このままでは外に出せない」と述べていた。また、佐川氏は改ざんについて、「昨年2月から3月にかけて積み重ねてきた国会答弁を踏まえた内容とするよう念押し」していたという(時事ドットコム 6月4日)。こうして公文書の改ざんが進められてきた。

佐川宣寿 財務省・理財局長(当時)
「必要な書き換えは行う必要がある」
NHK NEWS WEB 6月4日

 調査報告書によると、近畿財務局の職員が財務省理財局からのたび重なる改ざん指示に強く反発していたことが明らかになった。昨年4月上旬には、理財局の中村総務課長から佐川氏に対して、近畿財務局側が改ざんに強い抵抗感を示していることが報告されたが、佐川氏は「必要な書き換えは行う必要がある」という考えを示したため、改ざんは強行された。なお、今年3月7日に改ざんを指示されていた近畿財務局の男性職員が自殺しているが、財務省は自殺したのが改ざんに反発した職員かどうか明らかにしていない。

 政府の公文書管理委員会の委員を務める三宅弘弁護士は、「契約に関わる文書で、将来訴訟になるおそれもあるのだから捨てるべきではなく、近畿財務局の職員が改ざん・廃棄に抵抗したのは当然だろう」とコメントしている(毎日新聞 6月7日)。

伊藤豊 財務省・秘書課長
「国会審議において森友学園案件が大きく取り上げられる中で、更なる質問につながり得る材料を極力少なくすることが主たる目的であったと認められる」
TBS NEWS 6月4日

 調査報告書では、安倍首相の答弁が文書の廃棄や改ざんのきっかけになったと指摘しているが、忖度の有無には触れられていなかった。記者会見では、安倍首相や昭恵夫人に対する忖度があったかどうかについての質問が相次いだが、財務省の矢野康治官房長は「忖度をした、あるいは忖度に類する言葉遣いでも結構だが、そういう事実はありませんでした」と全面的に否定した。

 では、なぜ財務省は改ざんや記録の廃棄に手を染めたのか? 財務省の伊藤豊秘書課長は「質問につながり得る材料を極力少なくすることが主たる目的」だったと結論づけている。一連の問題の方向性を決定づけたのが佐川氏で、実行のため中核を担ったのは中村氏だ。

 なお、昨年、佐川氏について「冴えているね」としていたのは安倍晋三首相で、今年、「極めて有能」と持ち上げていたのは麻生氏だった。森友学園問題追及のための質問の材料を極力少なくしてくれていたのだから、褒めたくなるのも無理はない。

安倍晋三 首相
「公文書の在り方を徹底的に見直し、再発防止策を講じていく。麻生副総理にはその先頭に立って責任を全うしてもらいたい」
時事ドットコム 6月4日

 安倍首相は4日、財務省が決裁文書改ざんの調査結果と関係者の処分を公表したことについて、「公文書の改ざんはあってはならない。行政府の長として責任を痛感している」とした上で、麻生太郎副総理兼財務相を続投させる考えを示した。

 安倍首相は「政治責任とはこうしたことが二度と起こらないよう対策を徹底して講じていくことだ」と強調したが、対策を徹底して講じるには原因の究明が欠かせない。

麻生太郎 副総理兼財務相
「首相答弁が問題行為のきっかけになったとは考えていない」
東京新聞 6月8日

 4日の記者会見で改ざんの動機について「分かりゃ苦労しない」と述べた麻生氏だが、8日の閣議後会見では「(2017年2月の)首相答弁が問題行為のきっかけになったとは考えていない」と述べ、安倍首相の答弁が改ざんの動機になったことを全面的に否定した。これまで述べてきたとおり、首相の答弁の直後から理財局が昭恵氏の名前を記した書類の確認を始めて、その後、改ざんと廃棄を始めたことが財務省の調査報告書では明らかになっているが、麻生氏はそれを真っ向から否定した形だ。

 また、改ざん・廃棄の方向性を決めた佐川氏にあらためて説明させる場を設けさせることについても、麻生氏は「今の段階で全く考えていない」と話した。これで完全に改ざん・廃棄の動機は闇の中だ。安倍首相の言う「再発防止策」はどのように講じられるというのか。

 公文書管理に詳しい右崎正博獨協大名誉教授はこう言う。「麻生氏に任せていては自分の失敗を糊塗するばかり考えているので、きちんとした調査も再発防止策も期待できるはずがない。疑惑を受けてきた当人たちの調査結果や処分など、到底受け入れられるはずがありません」(AERA dot. 6月4日)。

吉永泰之 SUBARU社長
「会社に宿るうみを出し尽くすことが喫緊の問題と考えている」
日本経済新聞 6月5日

 出荷前の自動車の排ガスと燃費の検査の測定値を改ざんしていた問題が発覚したSUBARUでは、5日、吉永社長が最高経営責任者(CEO)の辞任と代表権のない会長に就く人事を発表した。

 吉永氏は記者会見で「確実にやり切るためには社長を辞するだけでなく、代表権を持たず、新職に専念することが責任ある対応と考えた」と述べている。麻生氏も「分かりゃ苦労しない」だなんて言ってないで、財務相を辞職して再発防止に専念してみたらどうだろうか。

(大山 くまお)

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