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「年金加入は損失」のタブー侵した野田内閣の地獄

2012年01月26日 07:30

植草一秀

世間では野田佳彦氏が二人存在することが話題になっている。

 1974年にTBSが放映した「私という他人」というタイトルのドラマがあった。
 
 主役を三田佳子さんが演じて話題になった。
 
 精神科医が書いた原案をもとにドラマ化したもので、解離性同一性障害、いわゆる多重人格者をテーマにしたドラマだった。
 
 野田佳彦氏と思われる人物による演説を収録した二つの動画映像が話題を呼び、本ブログで拡散を呼び掛けた街頭演説動画は再生回数が26万回を突破した。動画を埋め込んだサイトが拡散しているので、トータルの再生回数ははるかに多いのではないかと思われる。
 
「天下り根絶なき消費増税糾弾」街頭演説
 
「天下り根絶なき消費増税糾弾」国会演説
 
 本日から始まる通常国会代表質問でも、もう一人の野田佳彦氏による過去の演説が最大の話題になるのではないか。
 
 草の根のネット情報が拡散して国会で大きく取り上げられることになれば、ネットからの情報発信が改めて見直される契機にもなる。

野田佳彦氏は1月24日の施政方針演説でも、消費増税の方針を掲げたが、

「天下り根絶なき消費増税推進」のいまの野田佳彦氏と、「天下り根絶なき消費増税糾弾」を訴えた野田佳彦氏が同一人物であることは、常識では理解しがたい。
 
 野田氏が仮に、解離性同一性障害を患っているのなら、内閣総理大臣の職務を遂行することは困難であると考えられる。
 
 内閣法第九条に以下の条文がある。
 
第九条  内閣総理大臣に事故のあるとき、又は内閣総理大臣が欠けたときは、その予め指定する国務大臣が、臨時に、内閣総理大臣の職務を行う。
 
 疾病により、内閣総理大臣の職務遂行が困難であるなら、内閣法第九条にある「内閣総理大臣に事故があるとき」に該当する。
 
 野田佳彦氏は精密検査を受ける必要があると思われる。

消費増税の法制化強行を目論んでいる財務省が狼狽している。増税案の白紙撤回を恐れて、激しい攻撃が開始された。
 
 増税実現の前提条件になる、無駄な政府支出削減のうち、官僚利権の削減につながらない事項を懸命にアピールし始めている。
 
 それが、公務員給与削減、議員定数削減、特別会計数および独立行政法人数の削減、議員歳費の削減である。
 
 公務員給与について、与野党がすでに、2年間だけの7.8%削減方針を決めていたが、これに、人事院勧告の0.23%引下げが組み合わされることになった。
 
 しかし、笑止千万だ。
 
 民主党は公務員給与の2割削減を公約に掲げてきたのである。それが、わずか2年限りの7.8%削減ではお話にならない。継続性のあるのは、0.23%削減の部分だけだ。
 
 国民を馬鹿にするのもほどほどにするべきだ。

もうひとつ、政府が始めたキャンペーンがある。40代以下の国民が、年金制度で大損をするとのキャンペーンが始まった。
 
 つい最近まで、政府は公的年金が個人に損失を与えることはないと主張し続けてきた。厚生年金などは、保険料が本人と会社負担が折半である。
 
 会社負担は給与の一部と考えられるから、本人負担と会社負担を合計して、その保険料負担と将来の給付とを比較する必要があった。
 
 会社負担と本人負担の保険料を合計して個人の負担として計算したうえで、自分が在職中に支払う金額と老後に受け取る年金金額を比較して、納得できる制度であるかどうかが判定される。
 
 この計算をすると、概ね1960年生まれを境に、これより以前に生まれた人はプラスになるが、これより後に生まれた人はマイナスになることが明らかにされた。
 


 自分が払い込む金額すら将来もらうことができないなら、個人がこのような社会保険制度から脱退したいと考えるのは当然だ。制度に加入するインセンティブを持たない制度は、制度として持ちこたえるはずがない。
 
 年金保険料未納者が続出するのは当然で、政府が保険料納付を求めても、効果は上がらない。
 
 しかし、これまで政府は、本人負担に企業の負担を含めなかった。会社負担を含めなければ納付額は半分になるから、制度への加入が損になり始める年齢は一気に低下する。
 
 この場合には、ほとんどすべての国民にとって、支払い保険料と比べて、年金給付が多くなるから、政府は保険料を納付するべきだと説明してきたのだ。

ところが、政府が説明を変え始めた。支払い保険料に会社負担を算入しはじめた。こうすると、損失を蒙る人の年齢最高値が一気に引き上げられる。年齢が50歳以下の国民は大損失になることが喧伝され始めた。
 
 国民をコケにするのもいい加減にしろと言うしかない。これまで政府は、年金保険料を払えと言い続けてきた。決して損にはならないと言っていたのだ。 
 
 それが、今度は手のひらを返して、1960年以降生まれの人は、年金に加入することが損になりますよと言い始めたのだ。政府が直接言わなくても、これまで事実を訴えてきた民間人の言葉を借用し始めた。
 
 政府の説明が大転換し始めたのは、消費増税実現のためだ。消費増税を行って、税収を年金財政に組み入れないと、1960年以降生まれの人は大損失を蒙りますよと言いたいのだ。
 
 
 本当に恐ろしいが浅はかな政府だ。政府がこれを強調し始めるなら、年金保険料未納を責めることができなくなる。加入して損失に直面する年金制度への加入を強制することは、日本国憲法が保障する財産権の侵害に当たるからだ。 

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