記事

5歳の女児の虐待死 社会が放置してきたことのつけを幼児、児童が負わされる 親権制限よりも前に児相の立場を明確にすること

 5歳の女の子が実の母親とのその交際相手に虐待され、その結果、死亡するという痛ましい事件がありました。
 何故、この痛ましい事件が防げなかったのか、誰もが真剣に考えなければならない問題です。

 この虐待した当事者が刑罰を受けるのは当然ですが(虐待したということを前提にしたものであり、無罪推定の場面とは異なることを予めお断りしておきます)、日本の裁判所も法体系も何故か、幼児・児童虐待には非常に甘いのです。

 本来であれば、密室の中で保護すべき義務を負った者の行為であるが故に厳罰が必要なのですが、現状はそうはなっていません。幼児・児童への執拗な暴行や密室での監護拒否などは死に至る危険性が極めて高いのですが、こうしたものまでみな「致死」罪どまりという不可解さがあります(もちろん殺人罪となった事案もあります)

さらにひどい実態が解明されたのに殺人から傷害致死での起訴に違和感

 この事件と児相の関わり、経緯は、こちらに詳しく掲載されています。
「パパ、ママいらん」「でも帰りたい」 亡くなった5歳児が、児相で語っていたこと」(HUFFPOST 2018年6月7日)
 養父は虐待容疑で二度逮捕されていますが、その後、不起訴となり、児相が保護を解除しています。

 不起訴理由は書かれていないのでわかりませんが、嫌疑不十分のような感じがあります。容疑がありながら二度も起訴猶予にするという案件には見えないからです。

 しかし、地検の判断はともかく、児相までもが何故、保護を解除したのでしょうか。仮に地検の判断が「嫌疑不十分」であったとしても、児相の立場は児童の保護です。地検は証拠に基づいて有罪を獲得する立場であって、児相との立場は全く違います。児相が児童虐待の有無について疑わしきは罰せずの発想で虐待の明確な証拠がないというだけで何もしないでは職務放棄も同然です。調査拒否、面会拒否されたら調査がおしまいということになりかねません。

 丸亀の児相の対応は全く解せません。

 それ以上に品川の児相の対応は、全くもって脳天気なもので話になりません。

 前掲記事などでは、情報の共有の問題とありますが、それだけの問題ではなく、それぞれが与えられた情報を前提にしたとしても適切に権限を行使していたのかという問題です。

児童相談所運営指針の改正について:第5章 一時保護」(厚労省)

 児相の立場からは児童が危険だと判断すれば保護を実施することです。しかし、後からそのような危険はなかったと裁判所が判断されることがあり、実はそうしたことが現場が萎縮してしまう要因になっているのではないかとも思います。とかくこうした親は子に対する執着心が強い傾向がありますが、そうした執着心に基づく返還要求に屈してしまっていないか、後から責任を追及されはしまいかということでどうしても事なかれ主義に陥ってしまっているとしか思えないのです。

児童虐待 グレーの部分をどうするのか

虐待

 国会議員の中では親権制限が言われ始めているようです。
「子どもは親の持ち物ではない」 国会議員から「親権制限」訴える声」(J-CAST2018年6月7日)
 虐待した親が親権を剥奪されたり、停止されるのはむしろ当然のことですが、問題なのは、それが適切に行使できるような制度にはなっていないことの方にあります。

 一番重要なことは虐待を未然に防ぐことにあります。とんでもない虐待が発覚してから親権の制限では遅いということです。未然に防ぐ中で親権を制限するというのがあるべき姿です。

 この事件でいえば、児相がこの女児の身柄を確保し、安全を図ること、その上で児相の申立により親権を制限することですが、その前提である身柄を確保することこそが一番、重要な点なのです。

 現状で何故、児相が適切に権限を行使できなかったのは何故なのか、原因分析の検討はそこからです。

 そして、一度のみならず二度も繰り返されるといようであれば親権は永久停止(親権喪失)させることも必要なことですが、何故、現行の制度でそこまで至らなかったのかです。

 親権制限が制度化されているにもかかわらず、過度に抑制されている現状を変えていく必要があるのは当然のことです。

 やはり幼児・児童虐待は異常なのです。育児ノイローゼなどから精神疾患を発症してしまったような場合のケアは必要だし、そのような場合の虐待は別途に考える必要はありますが、基本的には無抵抗な幼児を虐待できてしまうのはやはり尋常ではないわけで、改心するかどうかの問題ではありませんし、親に対する啓蒙の問題でもありません。その見極めが杜撰すぎるのです。背景にあるのは現場の事なかれ主義でしょう。それを招いている原因が組織体制、予算不足であれば当然に増額されなければなりません。

 こうした組織体制の拡充こそが定期診断にも連れて来ない親に対する監視等の体制を作ることを可能にし、未然防止のためにも不可欠なことです。

あわせて読みたい

「目黒の女児虐待死事件」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    関口宏3選チクリ 自民議員が反論

    和田政宗

  2. 2

    日村の淫行疑惑に高まる擁護論

    女性自身

  3. 3

    キングオブコントV逸 痛恨のミス

    メディアゴン

  4. 4

    中居正広がTVで語った本音に感銘

    文春オンライン

  5. 5

    沖縄で選挙応援する小池氏に苦言

    おときた駿(東京都議会議員/北区選出)

  6. 6

    安倍カツカレーで思い出す陸山会

    八木啓代

  7. 7

    人生後半を「福岡に住む」選択肢

    内藤忍

  8. 8

    安倍首相の続投で国民が払うツケ

    MONEY VOICE

  9. 9

    北海道地震 観光呼び込むリスク

    赤木智弘

  10. 10

    よしのり氏が原理主義者に苦言

    小林よしのり

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。