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安倍総理の「小さなミス」と霞が関の「大きな事件」 - 自民党国対の「事なかれ主義」が生んだ「過剰な国会対策」 -

本日4日、森友学園に係る決裁文書の改ざんについて財務省が調査結果を公表し、野党5党が改めて「野党合同ヒアリング」を行っている。今週末10日には原子力政策の未来をも左右しかねない新潟県知事選の投開票があり、来週12日には米朝首脳会談が予定されているのに、本当に、暗澹たる気分になる。

「モリカケ日報」問題について忘れてはならないのは、当初、「森友学園に国有地を払い下げるにあたっての地中ゴミの鑑定評価がおかしい」とか、「加計学園は石破四条件を満たしていない」とか、森友学園への国有地払下げや加計学園による獣医学部新設申請に係る疑惑を議論していたはず、だったことだ。

ところが、昨年10月の解散総選挙を経て、いったん収束したかに見えたモリカケ問題が本年3月に息を吹き返して以降、論点がすり替わってしまった。それらは、森友学園用地の鑑定評価でもなければ、加計学園に関する石破四条件でもない。むしろ、政府与党による国会対応の杜撰さに起因している事柄だ。

すべてが「過剰な国会対策」の過程で発生した問題なのだ。例えば、本年3月に初めて国民の知るところとなった財務省理財局による決裁文書改ざんと森友学園に対する「口裏合わせ」要求。これらは何れも国有地の払い下げが完了した後の国会対応の過程で、財務省理財局が手を染めてしまった禁じ手だった。

加計学園についても、柳瀬元秘書官が「記憶の限りお会いしていない」と答弁したから、後から議事メモが出てきて国民の不信を買ってしまった。4月以降続々と発見された南スーダン日報等も、日報が省内にあるのは当然なのに稲田防衛相が「ない」と答弁したために、ここまで大きな騒動になってしまった。

もちろん、安倍総理が加計理事長と会食をしたのは「李下に冠を正す」ことになったし、昭恵夫人の名誉校長就任も不適切、安倍総理が「関与していれば総理大臣を辞める」と啖呵を切ったのも不要だった。しかし、何れも「小さなミス」に過ぎない。一年以上にわたり国会を混乱に陥れる問題では決してない。

一方、財務省理財局による決裁文書改ざんは、不起訴になったとはいえ、永田町をも震撼させる大事件だった。絶対にあってはならないことであり、公文書管理法の改正も必要だ。要するに、安倍総理の「小さなミス」が霞が関の「大きな事件」を招いてしまった、というのが、モリカケ騒動の顛末なのである。

では、なぜ、佐川氏は決裁文書の「改ざん」に手を染めてしまったのだろうか。なぜ、柳瀬氏は「記憶の限りお会いしていない」とはぐらかしてしまったのだろうか。そしてなぜ、稲田防衛大臣は「日報はない」と答弁してしまったのだろうか。こうした疑問には懲罰動議を出された私だから分かる答えがある。

それは、国会の中に歴然と存在する「事なかれ主義」という強烈な「空気」だ。与党議員が少しでも物議をかもすような発言をすると自民党の国対幹部から「なぜ波風を立てるようなことを言うのか」と叱られる。官僚に加え、閣僚までもが「忖度」せざるを得ないのは、安倍総理ではなく、自民党国対なのだ。

確かに、安倍総理が「関与していれば総理大臣を辞める」と啖呵を切ったことも背景の一つではあろう。しかし、一部のアホばか識者が言っているような「安倍総理が権力を集中させ過ぎたから官僚が忖度した」とか、そういう紋切り型の批判は、単に、政権の足を引っ張るためだけのもので、何の意味もない。

そもそも、総理と官邸に権力を集中させ、何も決められない状況を変えてきたのは、まさに選挙制度改革をはじめとする政治改革の成果なのだから。一方、官僚のみならず閣僚までをも支配している国会の「空気」をつくってきたのは、官邸の権力ではなく、むしろ自民党が強いてきた「事なかれ主義」なのだ。

平成27年9月の参議院平和安全法制特別委でのことだ。採決に当たって大荒れの委員会室で、民主党の津田弥太郎参院議員(当時)が自民党の大沼瑞穂参院議員に暴行を働き、ケガを負わせた事件があった。残された映像を見る限り、女性議員を羽交い締めにして抱きかかえ膝の上に乗せて投げ飛ばしている。

国会の外なら現行犯逮捕されてもおかしくない事案だが、参院自民党が不問にしてしまった。国会審議を円滑に進めるために民主党側との「手打ち」を急いだのだ。つまり、自民党国対の手に係れば、暴行され傷害を負わされた女性議員も沈黙を強いられる。これが、国会を支配する「事なかれ主義」のなのだ。

私は、こうした猿芝居に終始する与野党のことを「なんでもありの野党、ひたすら我慢の与党」と批判し続けてきたが、国対政治というのは暴行傷害事件でさえなかったことにできる。そこには正義もなければ真実もない。私が国会で戦っているのは他でもない、こうした自民党国対の「事なかれ主義」なのだ。

そして、そうした与党に気を遣うだけの今の国政維新も同じ穴の狢と化している。2月5日の私の予算委質疑に対して野党6党が懲罰動議を出したら、自民党国対も「謝れ」と同調し、国政維新は、あろうことか、率先して処分してきた。国会の「事なかれ主義」は残念ながら国政維新にまで浸透しているのだ。

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