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北海道発ローカルコンビニ「セイコーマート」は本州で成功するか

コンビニ業界の知られざる裏側を、内情に詳しいライターの日比谷新太さんがレポートする当シリーズ。前回の「セブンの新サービス導入に対する加盟店の苦悩」に続き、今回取り上げるのは「セイコーマート、デイリーヤマザキの現状」について。特に北海道で高い知名度を誇るセイコーマートは、如何にしてその一大チェーンを北海道で築き上げたか、なぜか関東の一部に出店している現状などを、日比谷さんが詳しく解説しています。

【関連記事】沈むデイリーヤマザキ、6期連続赤字で山崎製パンの足を引っ張る

3大チェーン以外のコンビニの現状は?

最近のコンビニ業界は、セブンイレブンの一人勝ち状態が続き、ファミリーマートやローソンといった大手チェーンでさえ苦境が続いていることは、当連載で何度もお伝えしていますが、それでは3大チェーンに続く中堅チェーンの状況はどうなっているのでしょうか。

そこで今回は、北海道を中心に埼玉や茨城にも出店しているセイコーマート、山崎製パンが運営するデイリーヤマザキの現状を紹介していきたいと思います。

北海道民にダントツで支持されているセイコーマートの秘密

北海道に1000件以上の店舗を抱えるセイコーマート(以下、セコマ)。道内ではTVCMも放映されるなどすっかり定着していますが、逆にそれ以外の地域の方にはあまり馴染みがないかもしれません。実はこのセコマ、1971年に1号店がオープンし、日本で現存する最も古いコンビニエンスストアのひとつなのです。現在セコマは、北海道のほか、埼玉と茨城にのみに出店しています。

埼玉県内のあるセコマ店舗
埼玉県内にあるセコマ店舗

セコマの他チェーンにないサービスといえば、なんといっても店内調理されたお弁当やホットスナックが並ぶ「HOT CHEF(ホットシェフ)」でしょう。コンビニ店舗という限られたスペースに最適化された厨房設備と製造オペレーションを整え、「時間帯ごとにどの商品を何個製造するのか」「それに伴い人時生産性が目標を達成できるのか」を厳しく管理しつつ、各店舗でお弁当などを製造。その出来立てを店内に並べているのです。

例えば夕方の時間にセコマ行くと、おつまみ系のホット商材が多数陳列されているなど、時間帯に応じてフレキシブルな商品展開ができるところが、店内調理の大きな強み。セブンイレブンをはじめとした大手3チェーンでも成功できていないシステムです。

いっぽうで、100円ちょっとで買えるパスタや焼きそばなどの麺類も存在するなど、格安商品を多く揃えているところもセコマが支持を集める所以。PB商品も、大手コンビニチェーンではありえない価格帯のものが数多くあります。

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埼玉のセコマで売られていた、セコマブランドのPB商品や北海道限定品

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北海道フェア棚。山わさびやメロン関連の商品が多い

直営店への切り替えを進める理由

そんなセコマですが、経営面ではFC契約の解約を進め、直営店での運営を実現している点が、大きな特徴として挙げられます。

ホットシェフはもちろんのこと、PB食品も自社(関連)企業で製造するなど、SPA(製造小売)としての一面も持つセコマ。その効果を最大化するためには、店頭での最適な販売に加えて、配送効率や製造効率を検討してフレキシブルに商品製造を行う必要があります。

そこで通常のコンビニチェーンのような店舗(オーナー店)主体での商品発注だけでなく、本部からの一括発注(計画生産の実現)も実行すべく、直営店への切り替えを進めているのです。

赤字が続くデイリーヤマザキ

このようにセコマが独自の店舗つくりで局所にはですが支持を集めるいっぽうで、デイリーヤマザキのほうは苦戦が続いています。

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山崎製パンの決算短信情報を確認すると、前々年度が約8.5億円の赤字前年度も同じく約8.5億円の赤字となっています。また店舗数は1,553店舗(前々年度と比較すると▲18店舗)となっています。

デイリーヤマザキの出店戦略は、山崎製パンの工場近隣に出店していき、工場で生産された商品を効率的に配送・店舗販売するというもの。業界の中ではよく「山パンの商品を販売するチャネルがデイリーヤマザキだよね」と言われています。小売事業が赤字であろうと、山崎製パン全体のパン出荷量が増え、グループ全体で収益が上がれば良いと考えられている節もあります。

とは言え、毎年約8.5億円の赤字を垂れ流したままというのは、企業経営として許されるものではありません。そこで既存店舗をリニューアルし、店内での焼きたてパンを含め店内調理を強化しています。また山崎製パンでは2013年頃から、深夜営業を行わない小型新店舗フォーマットの「ニューヤマザキデイリーストア」の展開を進めており、全体の店舗数は減るなかで同形態の店舗は増えています。

とはいえ、この取組みだけでは根本的な業績回復にはなかなか繋がらないのではないでしょうか。そこで今後の方向性としては、以下のような形が想定されます。

①従来通り基本的な「工場⇒店舗」の販売チャネルを維持しながら、業態変更などの努力を続ける
②従来通り基本的な「工場⇒店舗」の販売チャネルを維持しながら、業態変更などの努力を続ける。加えて、ローコストオペレーションに繋がるスマートストアに変更する
③抜本的な対策として不採算店舗を閉店する。関連する工場の規模を縮小する
④大手3社と提携して業態変更するが、山崎製パンの商品棚は大きく維持することで、山崎製パンの販売チャネルの役割は続ける

あくまで私案ですが、今後どうなっていくのか大いに気になるところです。

関東にあるセコマはどうなる?

最後に見ていただきたいのは、デイリーヤマザキとセコマの出店状況を整理した表です。

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こうしてみると、デイリーヤマザキが山崎製パンの工場のある地域に店舗出店を行っていることがよくわかります。そのため、業績回復のための施策を講じる際には、不採算の商品供給を行っている山崎製パンの工場ごとスクラップする案などを検討する戦略オプションも取れます。

いっぽうでセコマで気になるのは、なぜかポツンと存在する茨城県・埼玉県の店舗です。自社(関連企業)の工場が茨城県にありますが、約100店舗弱の規模ではとても大手コンビニの攻勢に立ち向かうことはできません

FC加盟店から直営店に切り替えているので、加盟店オーナーの不満は発生していないでしょうが、100店舗規模では効率的な物流網を構築することもできませんし、想像するに関東地区では業績が苦しいのでしょう。恐らく関東にあるこの約100店舗は、大手3チェーンのどこかとコラボ、あるいは買収されるのではと注目しています。

image by: MAG2 NEWS

日比谷 新太(コンビニ業界ジャーナリスト)

文/日比谷 新太(ひびや・あらた)
日本のコンビニエンスストア事情に詳しいライター。お仕事の依頼はコチラ→のメールまで: u2_gnr_1025@yahoo.co.jp

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