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<誰が嘘つき?>酷似するモリカケ問題と日大アメフット問題

両角敏明[元テレビプロデューサー]

***

「誰が本当のことを言っていて、誰が嘘をついているのかは、国民みんながわかっていると思うんですよ。(略)誰が指示したとか、忖度しすぎてやりすぎたとか、みんな見えてるんです。見えていることに対してシラを切っている。(略)(事実を)こちら側が証明しなければならないところに、壊れかけた組織の腐臭のようなものを感じてしまいますね。」

5月23日以来、財務省の森友文書公開や防衛省日報問題の調査結果公表、高度プロフェッショナル制度導入法案など国会ではとんでもないことが起きているのですが、テレビのワイド番組は日大アメフット部悪質タックル問題に席捲されています。

政治ネタでは視聴率が取れなくなったところへ、一選手のラフプレイ話かと思われた「低気圧」が、まさに日を追う毎に「巨大ハリケーン」にムクムクと膨れ上がり国民の関心はマックスへ、おかげで政治ネタはテレビから吹き飛ばされてしまったようです。おそらく安倍政権にはとても都合の良い話で、安倍晋三氏の悪運?の強さには驚くばかりです。

ところで、冒頭の文言は、5月25日「羽鳥慎一モーニングショー」における吉永みち子さんのコメントです。日大アメフット部の監督・コーチについて言っているのか、モリカケ問題に対する安倍総理について言っているのか、どちらかわからないのではないでしょうか。実際は日大問題に対するコメントですが、それほどに、両者には極めて似かよった本質的な問題があります。

【参考】「森友」文書の「書き換え」を「改ざん」に変えた在京3紙

日大は問題に対するDL(ディフェンスライン)を選手とコーチの現場責任に置き、組織トップとしての形式的責任のみという防御線で「内田常務理事を守る」戦略であることが見えています。

安倍政府は諸問題のDL(ディフェンスライン)を官僚の実行責任に置き、組織トップである政治家としての形式的責任のみという防御線で「麻生財務大臣、安倍首相を守る」戦略であることが見えています。権力者の考えることは同じようです。

実は似ているのは内田氏や安倍氏という「強い権力」の姿勢だけではありません。その権力に圧倒されている側の状態もそっくりです。強い権力の前に、自身の現在と未来を握られた人たちは追い込まれ、やるはずもない、やるべきでも、やりたくもない、行為に手を染めています。

未来を嘱望される若者は反則どころか意図的にケガをさせるという、スポーツマンとして万死に値する行為にまで突き進み、誇りあるエリートは決裁文書を改竄、破棄し、あるいは国会で嘘までつくという、官僚として万死に値する行為にまで及んでいます。

ところが、権力者はいずれも、けっして命じても指示もしていない、と言います。ですから、明らかにすべきことも同じです。なぜ若者と官僚が追いつめられたのか、その理由と経緯です。しかし、もっとも重要な相似点は、問題に気づいている日大の学生や我々一般の社会人に突きつけられていることかもしれません。

日大と言えば、筆者のようなオールドタイマーが思い出すのは、はるか昔、秋田明大を先頭に20億円の使途不明金問題などで大学の不正を糺すべく闘った日大全共闘です。ここから全共闘運動は全国の大学へ拡がって行きました。あの時立ち上がった日大の学生は時代の魁でした。今は、これだけ日大当局の対応に不始末が噴出していても、日大の学生に組織的な動きは見られません。いまどきの学生さんはどこか第三者的で自校の問題は自分の問題ではないようです。

もちろん日大の一般学生さんばかりを責めることはできません。一般社会人である我々には、安倍政権による数え切れないほどの不祥事、モリカケ問題、そして高度プロフェッショナル制度導入、カジノ法案が目の前にあります。とりわけモリカケ問題における事実が安倍政権の説明と乖離しているであろうことは、それこそ『もう、みんなわかっている』のです。

それでも麻生財務大臣の数々の無責任な対応と放言を許し続け、未だに安倍政権の無理な釈明がまかり通っているのは、どこか第三者的に傍観している筆者を含む一般社会人に因があるのでしょう。

ただし、25日になって、日大アメフット部の現役部員が事実解明の声を上げることがニュースで伝えられました。それでこそ真実を求める大学生の姿でしょう。ならば、現役官僚のみなさんもそろそろ事実解明の声を上げていただけないものかと期待してしまいます。それでこそ全体の奉仕者である公務員の姿なのではないでしょうか。アメリカンフットボールの日本語表記は『鎧球』です。正直こそ、己の人生を守ってくれる『鎧』となるのでは。

【参考】<際立つ醜態>安倍・麻生・内田の生きざま

いま、2018年5月26日17時です。妙なニュースが伝えられています。加計理事長と安倍首相が2015年2月に面談したという記載がある愛媛県文書について、加計学園は、当時の担当者に確認したところ「実際にはなかった総理と理事長の面会を引き合いに出し、県と市に誤った情報を与えてしまったように思う、との事でした」という文書を出したというニュースです。

しかし、問題の愛媛県文書の書き出し『加計学園から、理事長と安倍首相の面談結果等について報告したいとの申出があり。3月3日。同学園関係者と県との間で打合せ会を行った』とあります。とすると、加計の担当者は、ありもしない「理事長と総理の面談結果」を伝えることを目的に打合せを申し出て、愛媛県に一度、今治市に一度の二回も自治体に向かってホラ話をしたことになります。

哀しいことに、嘘の連鎖が止まらない、そんな気がするニュースです。新たな弱者が生まれるのかもしれません。『もう、みんなわかっている』のに。

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